夢ノコリ

hachijam

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完璧な準備をする夢

10.

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「じゃあね、連絡するから」

と言うと、さっさと赤岡さんは行ってしまった。呆気に取られる僕。二人きりで映画、これってデートのお誘い?本当に?自分の中で混乱する。呼び止めて確認するべきだろうか。でも、赤岡さんは立ち止まる事無く歩いていって、見えなくなってしまった。

ポツンと残される僕。時間としては三十秒にも満たなかったと思うけど、十分も、二十分も、その場で固まっていたような気もしてしまった。慌てて我に返る。周囲の人に怪しげに思われるというのは、多分、考え過ぎだけど、何でもないですよと言う風に自然を装う。誰も見ていないのに咳払いして落ち着こうとしたりする。とりあえず、帰るか、そう思う。

「ええっと」

ワザとそう小さく声を出して、落ち着こうと思う。映画に誘われた。それは事実だ。間違いない。しかも、二人きりだ。いやいや、待てよ。二人きりとは言っていない。みんなで行こうという話だったのかもしれない。

えっでも、そうなのか。みんなで何て言ってなかった気がする。だったら、二人きりだ。と言う事はやっぱりデート?いやいやいや、見たい映画があったけど、一人で行くのは抵抗があったから、そうかたまたま、沢島さんとか、加山さんが忙しいとか、好みの映画とは違ったとか、そういうのだろうか。うん。その可能性はあるなと思う。

だったら、どういう映画だ。何の映画かも聞いていなかった。最近、テレビでやっている映画のCMなどを思い出すけど、見当もつかなかった。どういう映画が好きなんだろう。やっぱり、恋愛ものだろうか。でも、それだったら僕を誘うだろうか。だったら、アクションものとか、怖い奴だろうか。

そう言えば、夏だからなのか、怖い映画で話題になっているのがあったりしたなと思ったりした。怖い映画だったらどうしよう。はっきりと苦手だと言った方が良いだろうか。怖すぎて情けない所を見せてしまったらどうしよう。もしかして、そういう僕の姿を楽しもうとしている。そうだとすると、これはドッキリ?でも、そんな事はしないだろう。もしかしたら、充とかが絡んでいて、仕組まれているのかとか?でも、赤岡さんがそんなのに協力するだろうか。

考えがグルグルと頭の中で回ったけど、そんな事で結論が出る訳では無かった。赤岡さんからの連絡を待つしかないと思う。ドッキリでもなんでも、少なくとも、デート気分は味わえるのではと思うと、何だかんだで楽しみにしている僕がいた。
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