夢ノコリ

hachijam

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迷路に迷い込む夢

1.

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真っ直ぐな道を進んでいながら、嫌な予感はしていた。薄々と道を間違っていて、迷っている気がしていた。でも、分かれ道なんてなかったはずだ。一本道なのに何で迷っているんだろう。

そう思っていたら、いきなり、壁が現れた。ガシン、ガシンと音が響く。何だ何だと思っていたら、左右を壁に囲まれていた。まるで立体迷路のようだなと慎重に前に進んで行ったら、いつまでも壁に囲まれていて本当に立体迷路だった。

こわごわという感じで進んで行ったが、だんだんと慣れてきて、そうなると、早くここから脱出したいと前に進みたくなった。気が付いたら、小走りになっていた。そして、目の前に分岐が現れた。本当に立体迷路の中に紛れてしまったようだ。さて、どうしようか。直感的に考えるか、それとも理性的に考えるか。

僕の直感では左かなと思っている。でも、右手の法則と言うのがあるというのを思い出した。右手の壁に従っていけば、迷路に迷わないという話だ。別に左手で同じことをやっても良いんだけど、でも、左手、右手で分からなくなったら混乱するかもと思うと、法則の名前に従った方が理性的だと思った。さて、どうするかと思っていたら、後ろから、ワンと言う鳴き声が聞こえた。犬っぽいなと思って振り返ったら、おっかない顔をした犬が追っかけてきた。のんびりと考えている時間は無いようだ。

やっぱり、ここは直感だと思いながら、でも、右の選んでいた、壁に手をしっかりと付けていた。理性的な方を選んだのか、直感が変わったのか、良く分からないけど、犬に追いつかれては噛み付かれそうなので、さっさと進んだ。少し進んだら、犬の声は聞こえなくなってきたけど、またいつ現れるか、分からない。のんびりしないで進むべきだと思う。

右に進んだ以上、理性的な判断をするべきだと思い、右手の法則に従って進んで行く。分岐はいくつもあるが、もう迷わないで進む事が出来た。あくまで法則に従ってと思えば、考えなくてすむなと思った。でも、迷路はいつまでも続いていて、本当に脱出できるのか分からなくなった。

心の迷路に迷い込むなんて、詩的な、哲学的な、言葉が浮かんだりしたけど、そんな高尚な物なのかと考え直す。もしかしたら同じところをグルグル回っているだけなのではないか、その可能性に気が付く、そもそも、右手の法則は入り口からやらないとダメだったはずだと思い出す。どこにいるのか分からなくなって途方に暮れる。最初の場所がどこなのか、その手がかりも無かった。
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