夢ノコリ

hachijam

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待ちぼうけする夢

7.

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嫌な予感と言うのは、最初からあったそうだ。赤岡さんは割と映画の事前情報をしっかりと確認するタイプらしく、前評判と言うのが良くないのを知っていたみたいだ。だから、沢島さんや加山さんを強く誘う事も出来なかったようだ。

だけど、シリーズ物なので、見たいという気持ちが強かったそうだ。どうしようかと迷っていた時に、海での僕との会話があり、丁度良い、赤岡さんはもう少し柔らかい言い方をしたけど、と思ったようだ。

でも、この間、映画の話が流れて、博物館に行くことになり、やっぱり、この映画は見るべきでは無いのかなと少し思っていたけど、僕の提案で結局見る事になったという事のようだ。そうなると、その責任の一端は僕にもあるんだろうか。そんな事を思ってしまった。それはそれで申し訳ない気分にもなる。

「なんか、ごめんね」

一通り考えて、思わずそう言ってしまった。

「えっ何で謝るの?」

確かに謝る必要があったのかは分からない。でも、僕は続ける。

「いや、この間の帰りに強引に誘ったみたいな感じになったのかなと思って」

「ううん。そんなことないよ。私の方こそ。ごめんね。無理矢理誘ったのに。もう少しは面白いと思ったんだけど」

何だか良く分からないけど、お互いに謝り始めてしまって、変な空気になった。

「違う違う。あの映画が面白くなかったからいけないの。私たちは悪くないよ」

その空気を察したのか、赤岡さんが言う。

「そうだそうだ」

僕も大げさに頷いて、賛同を示した。赤岡さんが笑ってくれて、場が和んだ。

映画の話は、その後も続いて、何かあるたびに、あの場面はとか、いろいろと行っている。何だかんだで細かいところまで、チェックしていて、僕のように単純につまらないというだけではないんだなと思う。意外とこだわりが強い性格なのかもしれないと思ったりした。この間の博物館の時の、お姉さんのような赤岡さんの姿と言うのも初めて見た気がするけど、こういう赤岡さんの姿と言うのも初めて見た気がして、楽しかった。

もっと、いろいろな赤岡さんの表情が見てみたいとか純粋に思ってしまった。何だろう、前より分かりやすく気になる存在になっていると自覚してしまった。

今後は面白い映画を見に行こうという話になった。今度があるかもしれないというのが、嬉しくなった。楽しい映画を見た時の赤岡さんの表情がどうなるのか気になったけど、つまらない映画を見た時の文句ばかり言う赤岡さんの姿もまた見てみたいなとも思ってしまった。
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