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待ちぼうけする夢
9.
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こうなると、悔しい。最後の最後、これで本当に最後。そう言いながら、もう一回だけチャレンジしてみる事にした。赤岡さんが横から、もう少しとか、そことか、合図する。感触的にも完ぺきな気がして、良しっと思う。でも、なぜか、アームが意図していたぬいぐるみとは、違うぬいぐるみに引っかかってしまう。
「あー」
赤岡さんの悲鳴のような声が聞こえる。これは無理だなと思っていたら、その引っかかりが上手い具合にぬいぐるみを転がし、そのまま、ぬいぐるみが景品の穴に落ちた。
「おー」
今度は赤岡さんの歓声が聞こえた。僕はぬいぐるみを取り出すと
「はい」
と、言って赤岡さんに渡す。
「ありがとー」
赤岡さんは嬉しそうに受け取ってくれた。赤岡さんの嬉しそうな表情に僕も嬉しくなったけど、近くで見たぬいぐるみは意外と不気味でこういうのが好きなんだなと思ってしまった。
ゲームセンターにはエアホッケーもあり、対戦する事になる。負ける訳にはいかない、でも、圧倒しすぎては引かれるだろう。名勝負を演じるにはどれくらいでやるのが良いんだろうと思ったけど、実際、始めると赤岡さんの攻撃が激しくて、余裕は全くなかった。大人げないだろう。あまりにも勝ち誇っている顔を見て、そんな事を思ってしまった。
「怒らない怒らない。今度は手加減してあげるから」
上機嫌で言われて、悔しかった。今度、密かに練習して次は圧倒してやるとか思ったりする。
その後も、少しゲームセンターをウロウロしたり、良く分からない雑貨屋を見たりして、時間を過ごす。ちょっと歩き疲れたなと思っていたら、美味しいと評判のアイス屋さんがあると言われた。
長蛇の列で見ているだけで、うんざりしそうだったけど、赤岡さんは並ぶのは当然だと思っていたようだ。仕方なく並ぶ、思っていたよりも時間は掛からなかったけど、まだ、暑さは残っていたので、大変だった。でも、アイスは美味しくて、待った甲斐はあった。わざと暑い中を待たせて、美味しさを増幅させているのではと思ったりした。赤岡さんは上機嫌だ。
気が付くと、もう夕方と言う時間だった。あっという間に時間が経過していく。大学生の初デートってどんな感じなんだろうか。今だにデートだと思って良いのか良く分かっていない僕は考える。この後、どうするんだろう。そんな事、思っていたら、
「そろそろ帰ろうか」
と言われてしまった。そう言われてしまうと、何も予定していない僕は従うしかない。
「あー」
赤岡さんの悲鳴のような声が聞こえる。これは無理だなと思っていたら、その引っかかりが上手い具合にぬいぐるみを転がし、そのまま、ぬいぐるみが景品の穴に落ちた。
「おー」
今度は赤岡さんの歓声が聞こえた。僕はぬいぐるみを取り出すと
「はい」
と、言って赤岡さんに渡す。
「ありがとー」
赤岡さんは嬉しそうに受け取ってくれた。赤岡さんの嬉しそうな表情に僕も嬉しくなったけど、近くで見たぬいぐるみは意外と不気味でこういうのが好きなんだなと思ってしまった。
ゲームセンターにはエアホッケーもあり、対戦する事になる。負ける訳にはいかない、でも、圧倒しすぎては引かれるだろう。名勝負を演じるにはどれくらいでやるのが良いんだろうと思ったけど、実際、始めると赤岡さんの攻撃が激しくて、余裕は全くなかった。大人げないだろう。あまりにも勝ち誇っている顔を見て、そんな事を思ってしまった。
「怒らない怒らない。今度は手加減してあげるから」
上機嫌で言われて、悔しかった。今度、密かに練習して次は圧倒してやるとか思ったりする。
その後も、少しゲームセンターをウロウロしたり、良く分からない雑貨屋を見たりして、時間を過ごす。ちょっと歩き疲れたなと思っていたら、美味しいと評判のアイス屋さんがあると言われた。
長蛇の列で見ているだけで、うんざりしそうだったけど、赤岡さんは並ぶのは当然だと思っていたようだ。仕方なく並ぶ、思っていたよりも時間は掛からなかったけど、まだ、暑さは残っていたので、大変だった。でも、アイスは美味しくて、待った甲斐はあった。わざと暑い中を待たせて、美味しさを増幅させているのではと思ったりした。赤岡さんは上機嫌だ。
気が付くと、もう夕方と言う時間だった。あっという間に時間が経過していく。大学生の初デートってどんな感じなんだろうか。今だにデートだと思って良いのか良く分かっていない僕は考える。この後、どうするんだろう。そんな事、思っていたら、
「そろそろ帰ろうか」
と言われてしまった。そう言われてしまうと、何も予定していない僕は従うしかない。
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