夢ノコリ

hachijam

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遅刻する夢

3.

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女の子がクスッと笑った気がする。それはそうだろう、間抜けな質問をしてしまった事を僕は後悔していた。何か、もっと気が利いた事が言えないだろうか。でも、見ず知らずの女の子に話しかけるなんて事を普段しない僕は何を話しかけて良いのか分からなかった。そんな僕の様子を見て、もう一度、女の子がクスッと笑った。今度は間違いなかった。僕は照れたように頭をかく。相変わらず、髪の毛でその表情は見えないのだが、女の子は僕の方をじっと見ているのを感じた。ちょっと、ドキッとした。物凄く見つめられている気がする。そして、

「私に気が付く人がいるんだ」

と、そう言った。

「えっ」

と、僕が聞き返すと女の子は首を振って、自分の言った事を取り消そうとする。そんな女の子の様子を見ながら、最初、いた事に気が付かなかったことを思い出す。クラスでも目立たない存在の子なのかもしれないと思った。同じ学校の子だったら、直接話した事が無くても何となく知っている子は多い。そういう子で無いという事は、やっぱり、目立たない子なんだろうと思った。あまり、話しかけられるのも好きではないのかもしれない。迷惑だったのかなと、そこまで考えて、申し訳ないと思ってしまった。

「あぁ、ごめんなさい。何だか、誰も乗っていなかったから。この電車、学校に行くのか不安に思っちゃって…」

これまた、訳が分からない言い訳めいた事を言っているなと自覚しながら言っている。

「ううん、大丈夫。ちょっと、びっくりしただけだから」

そう言ってもらえて、何となく安心する。

「きっとすぐ着くよ」

女の子は続ける。

「君がそれを望むのなら…」

その不思議な言い方が少しだけ気になったが、それを気にする余裕は僕にはなかった。次の瞬間、グラッと景色が歪んだからだ。そして、気が付いたら、僕は教室の席に座っていた。時計を見ると、二時間目が始まろうとしている時間だった。さっき見た、時計の時間と違っているのを不思議に感じる。でも、それよりも授業が始まるという事が重要だった。

(あれ、何の授業だ。教科書はどこだ。)

慌てて机の中を探るが出てこない。混乱する中で授業が始まる。良く知っているはずなのに、名前を思い出せない先生が教室の中に入ってきた。

(やばい、やばい、どうしたら良い。宿題が合った気がする。でも、やってない。どうする、どうする。)

そして、その焦った気持ちのまま、目が覚めた。それが、その日、見た夢の内容だった。
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