夢ノコリ

hachijam

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遅刻する夢

4.

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目が覚めて、最初に思ったのが、夢で良かったという事だ。遅刻する夢を見た時には、まず、そんな事を思う。そして、半分、寝ぼけたままの状態で、時計を見る。7時5分だ。夢の中では遅刻かもしれないと騒いでいた時間だ。でも、大学生になっている僕にとって、その時間は焦る時間帯ではない。しかも、今日は午後から講義があるだけで、朝はゆっくりで良い日だった。むしろ、早起きしてしまった事にガッカリしている。

まだ、眠いからもう少し寝ようかなと考えていた時に、寝る前に置いていたノートが目に入った。すぐに夢の事を日記に書くという話を思い出す。そこで一瞬、頭がシャキッとなる。まだ、ちょっと寝ぼけている気もした、と言うより、こういう日記を書くという事自体、意識がはっきりしていたらやらなかったのかなとも思う。どういう形でこういう日記は書く物なんだろう。そう考えるが、寝ぼけている頭の中では考えがまとまらなかった。とりあえず、覚えている事を書いていこうとだけ思う。

高校に遅刻する夢。
7時5分。
人がいない電車。
髪の長い女の子。
授業が始まり、焦って起きる。

記憶している事を箇条書きしていく。でも、そこで手が止まってしまった。

何か、もっといろいろと合った気がするし、思った事も感じた事もたくさんあった気がした。思い出そうと考えてみた。でも、寝ぼけている頭ではこれが限界のような気がした。それに思い出して書こうとすると、後付けでいろいろと付け足してしまい、見た夢とは異なってしまうような気もした。

夢なんてのは記憶は曖昧だから、これぐらいで良いのかなと思った。これ以上、書くのも面倒だなと思ったのも正直なところだ。そもそも、正しい書き方なんてあるんだろうか。話していた時には、夢の内容を書くぐらいしか聞いていなかった。

もっと、具体的に聞いた方が良かったのかなとも思った。でも、こういうのを始めた事は何となく知られたくなかった。いつまで続くか分からないし、なんか気恥ずかしい気がした。とりあえず、これでいいか。また、眠くなってきたので、それで納得する事にした。まだ時間はあるので、もうひと眠りしても大丈夫だった。時計をもう一度、確認する。そう言えば、課題の事も考えないといけないんだな、今日ある講義の事が少し気になった。でも、眠気が勝ってくる。遅刻はしないようにしないといけないなと思いつつ、そのまま、眠りにつく。

次に目が覚めるまで、夢は見なかった。
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