夢ノコリ

hachijam

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遅刻する夢

5.

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二度寝した結果として、起きようと思っていた時間からは、少し遅れていた。でも、午後からの講義なので、遅刻ギリギリと言う感じでは無い。最初の予定では、少し早めに行って課題をどうするか考えようと思っていた。今日中に提出しなければいけない課題では無かったが、講義の中で進捗を聞かれるかもしれないと思った。やってないので、正直にやっていませんと言うべきなのかなとも思うのだが、それだと、小言を言われそうだった。

少なくとも何をやるかぐらいは言えるようにしておかないとまずいかなと思っていた。実際の所、課題をどうするかと言うよりは、どうやってみんな誤魔化すのか、その情報収集をすると言った方が正しいのかもしれない。ただ、この時間だとそうはのんびりできないなと思った。

平日の昼間に走っている電車はとても空いている。朝のラッシュアワーの時間とは雲泥の差だった。たまにラッシュアワーの電車に乗る必要があるけど、本当にうんざりする。

空いた時間帯の電車でもたいがいは立っている事が多い。何となくドアに寄りかかって、外の風景を見ているのが好きだからだ。ふと、朝に見た夢の事を思い出した。乗っている電車は違っていたが、こんな感じだったなと思う。

とは言え、人がまるっきりいないわけでは無く、仕事で移動中のサラリーマンが疲れた顔で眠っていたり、ちょっと上品そうな年配の女性が本を読んでいたりした。視線を外に戻して流れる風景を再び見る。少しの時間の後、電車の中の静けさにふと気が付いた。

電車の音が全くしない訳ではないのだが、それ以外の音はせず、こんなにも静かだったのかなと思った。これまで意識していたから気が付かなかっただけだろうか。

また、少し夢の感じと似ているような気がしてきた。

と、その時、電車が急ブレーキを掛けて停車した。よろけた体が倒れないように、ドアに手を掛けて力を入れた。

夢と重なっている。

ちょっとだけ、そんな事を思った。少し、ドキドキする。これで女の子が現れたら、そう思っていたら、すぐに車内アナウンスが流れた。それで現実に戻された。停止信号のための緊急停止だったようだ。すぐに電車が動き出す。静けさもどっかに行ってしまったようだ。

眠っていたサラリーマンがその急停車で目を覚ます。今どこらへんで何時なのかを確認している。まだ、目的地では無いようで、大きく伸びをするとまた目を閉じてしまった。意識し過ぎだなと、自分の事を思ってちょっと笑ってしまった。
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