夢ノコリ

hachijam

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また遅刻する夢

5.

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「何で今度の土曜なの、日曜じゃダメなの。来週の土曜じゃ無理なの?」

充がブツブツと文句を言っていた。

講義はどうにか遅刻ギリギリで間に合った。その講義が終わり、食堂で日替わり定食を食べている時に、僕は赤岡さんからの誘いを話した。それに反応した充の言葉だった。どうやら、1日バイトの予定が入っているらしい。

「いや知らないよ。向こうが指定してきたのが土曜日だから。三ヶ嶋君は?」

「特別、用事はないけど、課題やろうかなと思っていたぐらい」

「そうだよな。忙しいよな。良し、じゃあ、違う日にしよう」

充はそう言う。

「日曜だとこっちは厳しいかな。来週だと分からない」

と、三ヶ嶋君。

向こうの目的が三ヶ嶋君なら、三ヶ嶋君がいる事が絶対条件のはずだ。だとすれば、今度の土曜日かまた別の機会に改めるかどちらかになりそうだなと思った。充には悪いが、充の予定は重要ではない。ちなみに三ヶ嶋君の事が気になっている子がいるという話はしていない。今の時点ではしない方が良いと思っていた。

「3対3じゃないとバランス悪いだろ」

もっともらしい事も言ってくる。確かに向こうが3人でこっちが2人だと何かバランスは悪い気もする。それに別の可能性もあるかもしれない。充の事を気になっている子もいるかもしれないという事だ。ロングヘアの子、確か岬とか言ってた子が気に入っているとか、もしかしたら、赤岡さんが友達が気になっているという話を口実にとか考え始めると、それもあるのかとか思ってしまった。こいつのどこが良いんだという変な対抗心がわいてくる気もした。いずれにしろ、決定権がこちらにある訳では無かった。

「分かった。それで伝える」

充の言葉は無視して、週末の予定を赤岡さんに伝える事にする。ちなみに僕は特別に何か用事が入っている事は無かった。充はまだブツブツと文句を言っているが決定権がこちらに無い事は理解しているらしく、とりあえずは、それで納得する事にしたようだ。

「で、三ヶ嶋のお姫様はどの子なの?」

充が意地悪そうに聞く。確かにそれは僕も気になっていた事だった。このタイミングで聞いたのは、いつもだったら、こういう話にあまり積極的でない三ヶ嶋君がちょっと積極的な雰囲気を見せたからだろう。

「…」

心なしか顔を赤らめた三ヶ嶋君は黙ったままだった。

「まあ、いいか。今度のデートで分かるもんな。いいか、羽田、上手くアシストしてやれよ」

デートと言う言葉に何だかボクも緊張してしまった。言われてみたらそうなのかなと思ってしまう。向こうがそこまで考えているのかは定かでは無かったけど、言われてみると確かにそうかもしれないと思った。
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