夢ノコリ

hachijam

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中学時代の夢

9.

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結局、その日、夜、飯を食べて話をするというところで落ち着いた。本当は飲みながらの方が盛り上がりそうなネタだなとは思ったけど、月曜から飲みに行くというテンションでも無かったし、そもそも、三人ともそんなにアルコール好きと言う訳でもないので、無難な所に落ち着いたというところだろうか。

このメンバーで飯に行くときには、大学の近くにある小汚い洋食店、ハンバーグ屋に行くのが常だ。当然、その日もそこに行くことになった。このお店の良い所は男三人で行って下らない事を話すのに丁度良いというところだ。

まず、お店が狭く、席もバラバラに配置されているので、大人数で行くには適していない。三、四人のグループがバラバラといるだけである。更に出される料理が至って普通の洋食屋と言う感じで、一応、店名になっている通り、ハンバーグがメインのお店だけど、その味は至って普通だった。特別なこだわりも感じられず、近くにあるチェーン店のファミレスの方がよっぽど頑張っている気もする。だから、その料理目当てに、列が出来るという事も無く、たいがいは空いていた。

そのあまりやる気の感じられない雰囲気が三人に合っていたのかもしれない。しかも、今日の話のネタを考えると余計にその雰囲気は合っている気がした。店の中に入るといつも通り空いていた。ちょっと薄暗い雰囲気と言うのは、結構、気に入っているところだ。慣れたように空いている席に勝手に座る。コップも勝手に持ってきて、水を入れるのも慣れた物だった。このお店、基本的には店長が一人でやっているので、待っていてもなかなか現れない事が多い。だから、勝手にやって良いという独自のルールがある。初めて来た時には、ちょっと戸惑ったが、すぐに慣れた。

「で、どうなんだって」

充はようやく聞きたい事を聞けると張り切っていた。三ヶ嶋君はゆっくりとコップを手に持つと水を一口飲んだ。

「ん?何を聞きたいの?」

落ち着いた雰囲気で答える。

「だから、どんな感じのデートだったのかとか、いろいろあるだろ」

「そうだな…」

と言って、デートの様子を説明する。順序立てて説明するのは、やっぱり、上手いなと思う。僕もあの日のデートの事を順番に思い出していた。充相手だからなのか、端的に話しているようだ。確かに面白おかしく話しても、充は喜ばないだろうと思った。こういうところも、やっぱり、上手いなと思ってしまう。

店長が注文を取りに来て、頼んだ物が運ばれてきた時には、少し、話が中断したが、それ以外は基本的には三ヶ嶋君が一人でしゃべっていた。時々、僕に同意を求めてきたり、充が質問してきたりしたが、淡々と話していたというのが丁度良い表現だと思う。

一通り、話が終わったところで、丁度、食事も終わっていた。後は食後のコーヒーと言う感じだった。このお店の一番良い所は、この食後のコーヒーが出た後に、時間を掛けて喋っていても嫌な顔をされない事だ。しかも、コーヒーはおかわり自由である。ただし、特別に美味しいコーヒーではない。待っているお客さんがいれば、僕たちも気をつかって出ているが、そういう事はほとんどなく、そして、その日もそうだった。
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