51 / 275
中学時代の夢
10.
しおりを挟む
「一番、聞きたいのはお姫様が誰だったかと言う事だよ」
ずばりと充が言った。僕もそれがずっと知りたかったので、三ヶ嶋君がどういう表情をするのか気になった。
「それがな…」
三ヶ嶋君はちょっと困ったような表情をした。やっぱり、あまり言いたくないのかなと思ったけど、そうではないみたいだ。
「なんか良く分からなくなってきた」
普段とはちょっと違う、どちらかと言うと、あの帰りの電車の時の三ヶ嶋君のようだった。少しの沈黙の後、ようやく三ヶ嶋君が語り始めた。それはこんな話だった。
僕たちに話した夢の中に出てきたお姫様は三人組のロングヘアの女の子、たぶん、岬と呼ばれていた子だったそうだ。それで出会った時に盛り上がってしまったようだ。
「おー」
茶化すような歓声を上げながら充が言う。
「なんだ。それじゃ、狙っていた子はいなかったんだ」
「でもな…」
三ヶ嶋君は続ける。
「その後に見た夢の中で、今度はお姫様役として別の子が出てきたんだ」
夢の中身は大体同じだったらしいが、次に見たのは、加山さん、そして、その後に見たのは赤岡さんだったらしい。
「なんだそれ」
と、充がつぶやく。僕も同じことを言いたかった。
「それがどの子も可愛かったんだよ」
と、割と真面目に語っている三ヶ嶋君。何か、シリアスな雰囲気になっているような気がした。けど、そういう話なのかと少し疑問に思っていたら、
「いやいやいや」
と充が声を出した。何だかニヤニヤしている。どちらかと言うと、そういう表情をする方が正しい気もしてきた。
「なんか、真剣な恋の話になるのかと思ったけど、ただ単に女の子、大好きですアピールしてるだけじゃん」
確かにそれが一番ぴったり当てはまる言葉のような気がした。
「そうなんだけどさ」
そこは三ヶ嶋君は否定しないようだ。
「でも、三人とも気になったんだから仕方ないだろう」
何か開き直っていた。
「そんなんじゃ、羽田に怒られるぞ。同級生の子が気になっているんだから」
と、充が無責任に言う。
「やっぱり、そうなのか」
三ヶ嶋君が食いついてきた。
「なんだそれ」
僕はそっけないふりをしながら、でも、何だか顔が赤くなっているのを感じた。
「ほら、図星だ」
「そうか、そうだよな」
二人は決めつけたように言う。
「はいはい」
ムキになって否定するのも違うような気がして、軽くあしらうように言う。それをまた茶化す二人。
結局、聞きたい事が聞けたのか良く分からないまま、その日は終わる事になった。
ずばりと充が言った。僕もそれがずっと知りたかったので、三ヶ嶋君がどういう表情をするのか気になった。
「それがな…」
三ヶ嶋君はちょっと困ったような表情をした。やっぱり、あまり言いたくないのかなと思ったけど、そうではないみたいだ。
「なんか良く分からなくなってきた」
普段とはちょっと違う、どちらかと言うと、あの帰りの電車の時の三ヶ嶋君のようだった。少しの沈黙の後、ようやく三ヶ嶋君が語り始めた。それはこんな話だった。
僕たちに話した夢の中に出てきたお姫様は三人組のロングヘアの女の子、たぶん、岬と呼ばれていた子だったそうだ。それで出会った時に盛り上がってしまったようだ。
「おー」
茶化すような歓声を上げながら充が言う。
「なんだ。それじゃ、狙っていた子はいなかったんだ」
「でもな…」
三ヶ嶋君は続ける。
「その後に見た夢の中で、今度はお姫様役として別の子が出てきたんだ」
夢の中身は大体同じだったらしいが、次に見たのは、加山さん、そして、その後に見たのは赤岡さんだったらしい。
「なんだそれ」
と、充がつぶやく。僕も同じことを言いたかった。
「それがどの子も可愛かったんだよ」
と、割と真面目に語っている三ヶ嶋君。何か、シリアスな雰囲気になっているような気がした。けど、そういう話なのかと少し疑問に思っていたら、
「いやいやいや」
と充が声を出した。何だかニヤニヤしている。どちらかと言うと、そういう表情をする方が正しい気もしてきた。
「なんか、真剣な恋の話になるのかと思ったけど、ただ単に女の子、大好きですアピールしてるだけじゃん」
確かにそれが一番ぴったり当てはまる言葉のような気がした。
「そうなんだけどさ」
そこは三ヶ嶋君は否定しないようだ。
「でも、三人とも気になったんだから仕方ないだろう」
何か開き直っていた。
「そんなんじゃ、羽田に怒られるぞ。同級生の子が気になっているんだから」
と、充が無責任に言う。
「やっぱり、そうなのか」
三ヶ嶋君が食いついてきた。
「なんだそれ」
僕はそっけないふりをしながら、でも、何だか顔が赤くなっているのを感じた。
「ほら、図星だ」
「そうか、そうだよな」
二人は決めつけたように言う。
「はいはい」
ムキになって否定するのも違うような気がして、軽くあしらうように言う。それをまた茶化す二人。
結局、聞きたい事が聞けたのか良く分からないまま、その日は終わる事になった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる