夢ノコリ

hachijam

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宿題をする夢

8.

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図書室に戻ると三ヶ嶋君は変わらず課題を続けていた。時間的にそろそろ帰ろうかなと僕は思った。目的の本も見つかったし、僕にしては珍しいような気もするが、順調に課題は進んでいる。このペースでいけば、少し余裕が出てきそうだなと思った。そう思って、ほったらかしにして、後で苦労するなんてのも思い浮かんだが、そうなっても大丈夫だろうぐらいには進んでいた。いずれにしろ、とりあえず、今日見つけた資料を一度眺めてから次を考えた方が良いかなとは思っていた。

図書室自体は閉まる時間は結構遅い。その上、一応、閉まる時間は決まっていたが、学生がいる時には融通を利かせて、基本的には無理に追い出す事はしないので、まだ、作業は続けられる時間ではあった。ただ、まだテストまでには時間があるこの時期はそこまで熱心な学生は多くはない。

そうなると、人がいないスペースは少しずつ消灯されていく。さっきまでは電気が灯っていた場所がひとつふたつ消えていた。暗黙の了解として、何となく帰る頃なのかなと思ってしまう。充も帰る気満々と言う感じだった。三ヶ嶋君に帰る事を告げると、キリが良い所までもう少しだから、まだやっていくと言った。結局、僕と充の二人で帰る事になった。

「そう言えばさ」

駅へと向かう途中、充が話しかけてきた。

「その後、何か連絡とかないの?次のデートの事とかさ」

「いや、特には…」

そう言えば、その事について聞かれていなかったなと思う。

「まあ、その後、どうなるのか分からないから、何とも言えないんだけど」

さっきの予知夢の話と関係しているのか、そう言った。それが予知夢だったのか、ただの偶然だかは結局のところ、良く分からないままなのだが、何となく、そういうのを当てにしている雰囲気があった。落ち着ていて考えれば、何を真剣に話しているんだろうと思ったりするけど、そもそもが何を期待しているのか分からない話だったりもする。

「何となくだけどさ。やっぱり、羽田から連絡しないとどうにもならないんじゃない」

僕は何をどうしたいんだろう。

「とりあえず、三ヶ嶋とか俺とかのせいにして良いからさ」

どういう意味なんだろう。充は僕の知らない、僕の気持ちを知っているかのように言う。

「充が単にデートしたいだけだろ」

僕は憎まれっ子のように言う。

「まあ、それは否定しないけど、こういう運命?偶然?とか、そんなに多くはないから、機会を失うと大きいよ」

何だか妙に悟った事を言うなと思った。僕は何も言い返せず、それで、僕たちの間で会話が途切れた。
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