夢ノコリ

hachijam

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大食いの夢

1.

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目の前には山盛りのカレーライスが置かれていた。僕は白い前掛けを掛けて、大きめのスプーンを持って合図を待っていた。店員さんがストップウォッチを持って立っている。いつでも食べ始める準備は出来ていた。僕がチラッと店員さんの方を見ると、視線が合い、黙って頷く。そして、スタートの合図と共にストップウォッチを押した。

制限時間が目の前に表示されて、一秒ずつ減っていった。僕は始まった事を確認すると、まずは一口食べる。いつもと変わらないカレーの味だなと思う。単純にカレー好きなので、カレーを食べた時にはとても幸せな気分になる。それが山盛り目の前にあるのだから、嬉しさは何倍にもなっている。

時間制限は十五分。それだけあれば、問題ないと思った。最初の一口だけは少し時間を掛けて味を堪能したが、次の二口目からはスピードを意識して食べる。全くペースが衰える事無く、残り一口にまでたどり着く。時間もまだ五分以上、残しているし、お腹も満腹にはほど遠かった。もうなくなってしまうのかと言う名残惜しさの方が勝っていたが、その勢いのまま、最後の一口を食べた。口の周りをナプキンで拭き、水を一口飲んだ。

カレーのお皿が片づけられて、今度は特大大盛りのラーメンが目の前に置かれていた。熱々と言う感じで湯気が上がっていた。今度は箸に大きめの箸を持つ。準備が整ったを見て、店員さんが、また、ストップウォッチを押す。制限時間がまた表示される。今度は十分だった。制限時間は気になったけど、それ以上に麺が伸びてしまわないかの方が気になった。熱いので冷ましながら食べるのでちょっと苦戦する。でも、お腹いっぱいにはほど遠く、ペースとしてはさほど変わらず、着実に量は減っていった。残り時間、一分を切ったところで食べ終える事が出来た。まだ、余裕はある。

最後に出てきたのは大量のパスタだった。ミートソースがたっぷりとかけられている。今度はフォークを握って合図を待つ。店員さんがストップウォッチを押す。今度の制限時間は五分だった。これまでの二つと同じペースだと間に合わなくなる。一気に食べる必要があると思い、ペースを上げるが、途端にお腹がいっぱいになってくるのを感じた。

随分食べたなと思っていたら、直前にもいろいろと食べていたような気もしてきた。それじゃあ、お腹がいっぱいになっても仕方がない気がする。何で大食いしているんだと思ってしまう。そう考えてしまうと、次の一口を食べる事が出来なくなってしまった。時間は着実に減っていく。焦った方が良いのか、焦らなくて良いのか分からなくなって、どうでもいいやなんて気分にもなってきた。お腹いっぱいだったけど、カレーがまた食べたいと思ってしまった。
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