夢ノコリ

テスト前の夢

５．

第一倉庫にたどり着くまでに社長が事情を簡単に説明してくれた。

先週、僕と下山さんで第一倉庫に行った結果を、４日ほど前に社長は下山さんから聞いたらしい。その中で下山さんから金色のカギの事を聞いたのだという。その時には、そんなものがあったんだぐらいにしか思っていなかったようだけど、その後に、そう言えばと、気になる箱があったのを思い出したそうだ。

それは先代の社長、つまり今の社長の父親からもらったカラクリ箱で、その箱の中には大事な物がしまってあるはずだという。その箱を１年ほど前に部屋の片づけをしていた時に偶然見つけたそうで、カギが無いかなとずっと気になっていたようだ。

父親からもらった少し珍しいカラクリ箱なので、壊して開けるのも気が引けて、どうした物かなと思っていたのだという。それを下山さんの話を聞いた後に思い出してもしかしたらと思ったのだという。

その事を下山さんに詳しく聞こうと思っていたら、風邪を引いて休みが続き、結局、今日まで何も分からないままだったという。たまたま、今日、僕を見かけた事で、その事を思い出し、一緒に見に行こうと思ったのだという。

もしかしたら、金色のカギの正体が分かるかもしれないと思って僕はちょっと嬉しくなった。社長がしまったという大事なものとは何なんだろうか。もしかしたら、本当にお宝がと思ったけど、社長が子供の頃の話だ、実際の所、何が入っているのかは分からない。その時の社長、子供が大事なものと言うと、どういう物だろうか。僕の子供時代と時代が変わっているので想像するしかないけれど、何かの玩具とかくだらないガラクタとかのような気もしてきた。

そう言えば、子供の頃、何か良く分からないロボットの玩具をとても大事にしていた記憶があった。はっきりした記憶がある訳ではないけど、誰かにもらった物だった気がする。当時、人気だったアニメのロボットと似ているようで、似ていない何とも言えない形だった。しかも、安物ですぐにボロボロになったけど、何だかとても大事にしていた記憶がある。いつの間にか、それで遊ばなくなったから、その後、その玩具がどうなったのかは分からない。それと同じようなものが隠されているのではと言う気がしていた。

いずれにしろ、何かが分かるかもしれないというのは、ちょっとワクワクする出来事だった。その日のバイトが大変だっただけにそういう事があって、ちょっと嬉しくなった。第一倉庫のカギを開けて中に入った。