夢ノコリ

hachijam

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テスト前の夢

6.

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第一倉庫はこの間、僕と下山さんが中に入ってから、誰も入っていないようで、当たり前と言えば、当たり前だけど、状況は変わっていなかった。入口のところの荷物を避けながら奥へと入っていった。社長はちょっと大変そうに荷物を避けていた。僕は先に奥に入り、カギの入った小さな木箱を置いた棚に真っ直ぐ向かった。そこに木箱はちゃんと置かれていた。埃がまた降り積もっていて、僕はその埃を振り払う。

「何だか、凄いね。これは本格的に片づけるとなると大変そうだ」

入り口でちょっと苦労していた社長がようやく来てそう言った。

「この箱です」

僕はそう言って社長に木箱を手渡した。

「ああ、懐かしいね。そうかこの箱に入っていたんだ」

社長はそう言うなり、その木箱の事を説明し始めた。それは昔、社長が小学生の時に作った箱だという。工作の時間か何かで作ったそうだ。かなり、お気に入りで大事な物を良く入れていたのだと言った。学校に行って帰ってくると母親がおやつとか入れておいてくれたりするんだよと嬉しそうに話していた。

誰がここに置いたのかは定かではないらしい。子供の頃、この倉庫で遊んでいた事もあるから、面白がって隠したのかもしれないし、先代の社長が大事な物としてしまったのかもしれない。それははっきりとした記憶はないようだ。木箱を開けて中から、金のカギを社長は取り出した。

「これか、言っていたカギは」

「はい」

見せられて僕は頷く。

「こんなカギだったかな。イメージしていたのとは、ちょっと違う気もするけど、まあ、はっきりと覚えていないから、分からないな」

社長はカギを手にしても、今ひとつピンと来ていないようだった。もう少し、反応が良いと思っていたので、ちょっとだけ拍子抜けする。

「試しに開けてみればいいんじゃないですか?」

僕はそう提案してみた。

「まあ、そうだね。そうだそうだ、試してみよう。それが手っ取り早い」

僕と社長は一度倉庫から出る。社長はカラクリ箱を取ってくるからと言って、一度、事務所の方に戻った。僕は第二倉庫に戻って社長を待つことにした。普段だったら、もうそろそろバイトも終了の時間だったけど、ここまで来たら、箱の中身を確かめないといられないと思った。

何が出てくるんだろう。やっぱり、何だかんだで期待している自分がいるなと思った。そして、社長がどんな反応を示すのかと言うのも気になっていた。大喜びするのか、がっかりするのか、どっちなんだろう。
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