77 / 275
テスト前の夢
6.
しおりを挟む
第一倉庫はこの間、僕と下山さんが中に入ってから、誰も入っていないようで、当たり前と言えば、当たり前だけど、状況は変わっていなかった。入口のところの荷物を避けながら奥へと入っていった。社長はちょっと大変そうに荷物を避けていた。僕は先に奥に入り、カギの入った小さな木箱を置いた棚に真っ直ぐ向かった。そこに木箱はちゃんと置かれていた。埃がまた降り積もっていて、僕はその埃を振り払う。
「何だか、凄いね。これは本格的に片づけるとなると大変そうだ」
入り口でちょっと苦労していた社長がようやく来てそう言った。
「この箱です」
僕はそう言って社長に木箱を手渡した。
「ああ、懐かしいね。そうかこの箱に入っていたんだ」
社長はそう言うなり、その木箱の事を説明し始めた。それは昔、社長が小学生の時に作った箱だという。工作の時間か何かで作ったそうだ。かなり、お気に入りで大事な物を良く入れていたのだと言った。学校に行って帰ってくると母親がおやつとか入れておいてくれたりするんだよと嬉しそうに話していた。
誰がここに置いたのかは定かではないらしい。子供の頃、この倉庫で遊んでいた事もあるから、面白がって隠したのかもしれないし、先代の社長が大事な物としてしまったのかもしれない。それははっきりとした記憶はないようだ。木箱を開けて中から、金のカギを社長は取り出した。
「これか、言っていたカギは」
「はい」
見せられて僕は頷く。
「こんなカギだったかな。イメージしていたのとは、ちょっと違う気もするけど、まあ、はっきりと覚えていないから、分からないな」
社長はカギを手にしても、今ひとつピンと来ていないようだった。もう少し、反応が良いと思っていたので、ちょっとだけ拍子抜けする。
「試しに開けてみればいいんじゃないですか?」
僕はそう提案してみた。
「まあ、そうだね。そうだそうだ、試してみよう。それが手っ取り早い」
僕と社長は一度倉庫から出る。社長はカラクリ箱を取ってくるからと言って、一度、事務所の方に戻った。僕は第二倉庫に戻って社長を待つことにした。普段だったら、もうそろそろバイトも終了の時間だったけど、ここまで来たら、箱の中身を確かめないといられないと思った。
何が出てくるんだろう。やっぱり、何だかんだで期待している自分がいるなと思った。そして、社長がどんな反応を示すのかと言うのも気になっていた。大喜びするのか、がっかりするのか、どっちなんだろう。
「何だか、凄いね。これは本格的に片づけるとなると大変そうだ」
入り口でちょっと苦労していた社長がようやく来てそう言った。
「この箱です」
僕はそう言って社長に木箱を手渡した。
「ああ、懐かしいね。そうかこの箱に入っていたんだ」
社長はそう言うなり、その木箱の事を説明し始めた。それは昔、社長が小学生の時に作った箱だという。工作の時間か何かで作ったそうだ。かなり、お気に入りで大事な物を良く入れていたのだと言った。学校に行って帰ってくると母親がおやつとか入れておいてくれたりするんだよと嬉しそうに話していた。
誰がここに置いたのかは定かではないらしい。子供の頃、この倉庫で遊んでいた事もあるから、面白がって隠したのかもしれないし、先代の社長が大事な物としてしまったのかもしれない。それははっきりとした記憶はないようだ。木箱を開けて中から、金のカギを社長は取り出した。
「これか、言っていたカギは」
「はい」
見せられて僕は頷く。
「こんなカギだったかな。イメージしていたのとは、ちょっと違う気もするけど、まあ、はっきりと覚えていないから、分からないな」
社長はカギを手にしても、今ひとつピンと来ていないようだった。もう少し、反応が良いと思っていたので、ちょっとだけ拍子抜けする。
「試しに開けてみればいいんじゃないですか?」
僕はそう提案してみた。
「まあ、そうだね。そうだそうだ、試してみよう。それが手っ取り早い」
僕と社長は一度倉庫から出る。社長はカラクリ箱を取ってくるからと言って、一度、事務所の方に戻った。僕は第二倉庫に戻って社長を待つことにした。普段だったら、もうそろそろバイトも終了の時間だったけど、ここまで来たら、箱の中身を確かめないといられないと思った。
何が出てくるんだろう。やっぱり、何だかんだで期待している自分がいるなと思った。そして、社長がどんな反応を示すのかと言うのも気になっていた。大喜びするのか、がっかりするのか、どっちなんだろう。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる