竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

41.

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「何だったんだあれは?」

ドンゴが部屋を後にしてから、すぐにファムが言った。

「きっと、コトさんの事が心配なんですよ」

理解を示すように言った。

「本当にそうか?」

そう言ったのは、リアリだった。

「どういう事だ?」

そのサントの問いかけをリアリは無視した。

「確かに、ドンゴに何か別の目的があるのかもしれない」

代わりに答えたのは、ファムだった。

「でも、本当に心配しているように見えましたよ。それに私たちの事情も知っているはずです」

リラが言う。

「心配は本当だと思うよ。そして、恐らく、私たちの事を完全には信頼していない。それも事実だろう。その私たちが怪しい者たちと接触したというのを聞いてというところか」

頭の中で整理して、ファムは言った。

「こちらの行動は筒抜けだと?」

「それはそうだろう。私たちも行動を隠してはいる訳じゃないし、密偵を潜ませるというところまでしているかは分からないが、知る手段はいくらでもあるだろう」

「でも、そこまで確実な情報を掴んでいる訳ではない」

リアリが呟くように言った。

「おそらく、だから、その感触を確かめに来たんだろう」

リアリに付け足すようにファムが言った。

「でも、それだったら、そう聞けばいいのでは?」

「そう、そこが不自然な気がする。何か知られてはいけない事があるのか」

ファムの言葉でサントは考える。そもそも、接触した相手がこの街を襲撃した相手だと知れば、襲撃を心配しているドンゴにとっては朗報なはずだ。自分たちがそのことを報告しないから不信感を抱いたのか。いや、接触したのは今日の出来事だ。それをすぐに報告しないからと言って怪しむだろうか。

そう考えると、自分たちの素性が明らかになったのも早すぎる気がした。確かに、わざわざ隠すような事はしなかった。でも、これだけの街である、そんなにすぐに見つかる物だろうか。しかも、凝った仕掛けで自分たちを誘い出すという事までしている。

その時、ファクネティが言っていた、この街の秘密と言う言葉が気になった。この街の秘密を知っているのは誰で、それを明らかにしたいのは誰なんだろう。

もし、ドンゴも秘密を知りたいと思っている一人だとすれば、襲撃を良い機会だと捉えているのかもしれない。いや、もっと言えば、襲撃を考えてもおかしくはないと言うべきなのだろうか。そこまで考えると、誰を信じて良いのか分からなくなってしまった。それとも全て考え過ぎで、本当にただの親ばかで、コトの事だけを心配しているのか、その答えはその時にはでなかった。
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