竜探しのお話

hachijam

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3章.槍使い

5.

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「今の私たちの実力から言えばだったら、あんなものでしょ」

ラテアはどこか不満げな表情をしているサントに向かってそう言った。サントたちは一度宿に戻っていた。任されたのは夜の警備だったので、その時間まで宿で休むことにしたのだった。

「分かるさ。でもな」

確かにラテアの言う通り、いきなり竜の魔槍の警備を任せられたら、困るのは間違いなかった。それほど知られている槍を狙ってくる者たちがいるとすれば、かなりの手練れでああろう。そういう者たちを相手に戦えと言われたら、自信は無かった。ただ、だからと言って、まるっきり違うところの警備を任されたというのは、それはそれでガッカリだった。特別に事情を説明されていなければ、何も思わなかったかもしれないが、大事な物があると知らされてそれに関われないのは少し悲しい気がした。

「地味かもしれないけど、こういう仕事で成果を上げていかないとダメだと思いますよ」

ラテアの言い分は最もで反論する余地は無かった。それでも、何となく気分は乗らなかった。

警備の時間まではもう少しあるという事で、リラは町を見て回りたいと言った。ラテアも少し情報を集めておきたいと言う。サントはまだ少しふてくされていたので、仕方なく、サントを置いてリラとラテアはノリントバーグの町に向かった。

ノリントバーグの町は交易都市だけあって、人通りも多かった。リラはその人込みを見るだけでも、楽しいようだった。少しはしゃぎ過ぎてるリラの姿が気にながらも、ラテアは情報を集める事にした。気になっていたのは、ガルトの屋敷に忍び込んだという者の正体だった。はっきりしたことは分からなくても何か噂のようなものが流れていないか気になったのである。

「ガルトの屋敷ね。何か、あそこは良く狙われているって話を聞くよ」

そう言っていたのは、道具屋の主人だった。同業者なので、いろいろな噂を聞くらしい。

「まあ、うちと違って、大きなところだしね。何か大きな取引の時には、大々的に宣伝しているからね。狙われても不思議じゃない気もするけどね」

わざわざ、アピールする不自然を感じつつも、そういうやり方で話題を集めて、商売に結びつけているのかもしれないとも思った。商売人としての感覚は良く分からないとラテアは思った。

「わざわざ、宣伝するから忍び込まれるんだから、こっそりやればいいのにと思うけど、それが出来ないんだろね。あの人は」

ラテアと同じことを思っていたらしく道具屋の主人はそう言った。結局、大した情報は得る事が出来なかったとラテアは思っていた。ふと、リラの姿が見当たらない事に気が付いた。
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