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第2話 お土産
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「よし、準備完了。このみも大丈夫そうか?随分大荷物みたいだけど。」
「…大丈夫そうに見える?そもそも!花楓が、あれもこれもってお土産選ぶからこうなってるんでしょ!私のキャリーケースの方が大きいからって、全部こっちに預けてくるからもう一度荷造りしないといけなくなったんだから…。お土産がパズルみたいになって、本当にもう無理…。」
今日は無人島旅行の前日。空港でメンバー分のお土産を二人で選んでいた。こういう時、私は流行り物に弱く個人の好きな物よりも流行りものを選んでしまうため、お土産は花楓が選んだ。そう、彼を信じていたのだけれど、五年という月日でメンバーへの愛が爆発してしまったらしい。とんでもないお土産の量を買ってきた彼に絶句した。彼のキャリーケースは、コンパクトなタイプでお土産は入りそうにない。そして、キャリーケースが大きい私の方へお土産を押し付けてきた。中々荷造りが終わらない私に、申し訳なさそうな苦笑いを浮かべて大丈夫か聞いてくる。神経を逆撫でされた気分になり、眉間にシワが寄る。かといって、彼にキャリーケースの中身を見られる事も困る。
「もぉ、ほんとにどうする?私こういう、パズルみたいなの苦手なんだけど…。」
「俺がやろうか?」
「だーかーらー!それはさせられないって言ってるでしょ!」
「あ!いい事思いついた!俺の荷物を、このみのキャリーケースに全部預けさせてもらって、お土産を俺の方に詰めるか?」
正直、ドン引きした。お前の荷物を私の方に?いい歳したおじさんとおばさんの荷物が、一緒の空間に収納される?とてもじゃないが許容し難い。いくら、大学から今まで毎日顔を合わせていた仲間だとしても流石に無理。
「あ…、地雷踏んだか?悪い。」
「分かればよろしいのです。でも、私がここでやだやだって駄々こねてたら、いつまでも荷造り終わらないし…。仕方ないか…。」
私のあまりにも嫌そうな顔に、すぐに謝る彼。引きつった笑みで、頷く。しかし、いつまでも空港の端で嘆いていても進まない。自分の荷物を広い方に全てまとめると、反対側のファスナー付きの収納を空にした。
「じゃあ、こっちのファスナーついてる方に入れていっていいよ。ちなみに聞くけど、下着とかちゃんと袋に入れるタイプだったよね?」
「その辺は安心しろ。全部一つ一つ袋にまとめてる。」
「じゃあそのまま入れていって。」
彼の荷物は私は触らない。恋人でもなんでもない彼との距離感を壊さないためだ。あくまでも、お互い助け合う関係が落ち着いているから、二人とも距離感には気をつけている。大学の頃から、何かと噂が絶えない私たち。お互いに一切恋愛感情を抱いていないことだけが救いだっただろうか。噂が飛び交い始めた頃は、お互い否定もしていたけれど、それが火に油を注ぐようになってしまった。否定すればするほど、噂は広まる。面倒事が嫌いな私たちは、もういいかと諦めて無視する事にしていた。そんな苦労を二人で分かちあったからか、何故かそこから仲が深まったのだ。二人ともお互い似てる部分があり、大学からの仲のはずが幼なじみ同等に仲良くなっていた。だからこそ、今まで築いたこの関係は壊したくない。
「このみ、荷物入れた。ありがとな。お土産、全部こっちで詰めとくから休んでていいぞ。」
「了解、ありがとう。ちょっと飲み物買ってくる。」
彼は私のキャリーケースに荷物を入れられたようで、キャリーケースを返される。それを大人しく受け取り、休んでていいと告げられれば軽く返事をしてその場を離れる。近くの自販機で自分が飲む水と、彼の好きな緑茶を買った。こういう事をしていると、サークルのことを思い出す。部長と副部長というだけあって、二人で打ち合わせをよくしていた。そして、休憩を挟んだ場合、必ずどちらかが飲み物を買ってきたものだ。飲み物を二本持ち、彼の元へ戻る。
「調子はどう~?…って、もう終わってる。相変わらずすごいよね~、お疲れ様の緑茶でもどうぞ~。」
「あぁ、ありがとう。流石に苦労したけど、とりあえずまとめられてよかった。」
「助かった~、ありがとう。じゃ、そろそろ行きますかあ~。」
「楽しみだな。またなんか用意してたの見たか?」
「え?なんのこと?」
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「えー!うそ!見逃してた!」
彼から特大ブーメランをくらったかのように、オーバーリアクションをするとメッセージを早速見た。すると、スタンプラリーのような画像が目に飛び込む。
スタンプを押すであろう枠の中には、私たち十三人の星座が書かれている。そう、私たちは星が好きなだけが共通点ではない。それぞれの十二星座がばらばらで、サークル内だけで十二星座が揃う。たったそれだけだと思う人も中にはいるだろう。しかし、それはどれだけ奇跡的なことか。星空愛好家のメンバーは、その事をみんな自信を持って奇跡だと言う。そんな、不思議な絆は五年経った今でも変わらない。みんなに会えるというモチベーションから、気合いが入るとキャリーケースを持ち彼の服をぐいぐい引っ張って歩き出した。
「よし!みんなところにいくぞー!」
「おー!」
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