花の存在価値

花咲 葉穏

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【鬼灯】

第2話 私の罪

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「なるほどね、大体理解したわ。ミツと一緒なことはスズランに殺されるより嫌だけれど、住民の命を守らなくてはいけないものね。」


「そうね…。できる限り、私もオペレーションで援助するわ。」


 ミツは、特殊部隊のナスタチウムの隊長だ。しかし、彼女には悪い噂が絶えない。噂はあくまで噂。彼女の悪行は、この目で見てきた。噂を上回る程だなんて、誰が想像したことがあるのだろう。それは、特殊部隊のナスタチウムの間でしか知られていないのか、本部アルストロメリアの耳には届いたことはないらしい。だからこそ、特殊部隊の隊長でいられるのかもしれない。
 防護服へ着替えると、何故か安心感を得られる。ずっしりと重く、皮膚は完全に覆われているからだろうか。最後にオペレーションナビを耳につけた。【オペレーションナビ】略してオペナビは、インカムや無線のような役割を持っている。オペナビは電源を付けると、ナスタチウム専用のチャンネルに設定されており仲間と連絡が取れる。オペレーションは、町中の監視カメラをモニターで監視しながら私たちは状況や指示をしてくれる。その役目を持っているのは、隣でオペナビに向かって怒鳴っている杏春花、ハルの役目だ。


『だから!今からメイが出動するので、一人で勝手に出動しないで下さいって、先程お伝えしたはずです!いくらミツさんでも、あの大量のスズランを一人で倒すことは不可能です!今すぐ引き返してください!』


『おはようございます、メイ出動します。ミツはその場で出来るだけ多くのスズランを殺して、────死んでください。そうして、極小数にとどめられたスズランを最終突破地点ですべて爆破します。それが嫌なら引き返して待機地点で大人しくしていて下さい。』

 オペナビより聞こえてくるミツの怒号は耳から耳へ流し、自身へ与えられた武器の拳銃二丁と弾丸ホルダーを腰へ取り付ける。そして、もう一つ。私だけに与えられた武器である、スズラン爆弾を弾丸ホルダーの中へ混ぜる。スズラン爆弾は、極小型の特殊爆弾で大きさはペットボトルのキャップ程度。スズラン相手にのみ付着するように、アルストロメリアが開発したものだ。スズランに付着した瞬間、スズラン爆弾はスズランの形にバリケードを張る。バリケードにはセンサー機能があり、センサーがスズランを捉えると周りのスズランもバリケードの中へ閉じ込めてしまう。そして、スズランはバリケードの中で爆破される。これは、害のない者を爆破から守るための特殊機能となっている。しかし、スズランの動きに合わせて、スズランと共にバリケードは移動する。スズランをそのまま捕獲することは不可能だ。一般市民が近くにいなければ何の支障もない。それを一般市民が知るならば、全部隊に持たせればいい話と思われてしまうのだろう。しかし、この武器は私への、

────────罪。


***


『前方よりスズランの大群、総計三十名程接近中!直ちに射撃位置に向かい、射撃開始!』


『ちょっとお~、そんな直ぐにはむりよ~?今もまだ別のスズランと戦闘中なんだから~。』


 ハルのオペレーションを聞き、直ぐに射撃位置へ向かう私。それとは裏腹に、間延びした気怠げな声でオペレーション通りには動かないミツ。上長としてのプライドが邪魔をしているのか、普段通りオペレーションの指示通りには動かない。監視カメラのモニターで状況を全て理解した上でオペレーションするハルは、複数の選択肢の中からそのオペレーションが最適と判断した上での指示なのだ。確かにこの目では、ミツはスズランと対峙していた。ハルとはまた違った、赤茶色の髪は耳ほどの位置で束ねられ肩ほどの長さ。特徴的な困り眉と茶色の瞳は目尻が下がっており、一見して大人しそうな女性に見える。しかし今はそれは関係なく、スズランたった一体にどれだけ時間を使っているのかが問題だ。かれこれ、十分以上かかっている気がする。たった一体にそれだけの時間はかけるとは、能力を伴わない出世はただのお荷物に過ぎないのではないだろうか。そんな相手を助ける程仲良しでも信頼関係がある訳でもないため、射撃位置に一人でつく。前方からスズランの大群が目に入る。ハルの言う通り、三十程度。ここから爆弾を投げても構わないのだが、ハルが爆破ではなく射撃と指示するという事は爆弾はまだ使わないという意味だろう。しかし、一人であの量のスズランを射撃することは難しい。下でスズランと対峙しているミツも射撃してくれなければ、ミツが大群に襲われる事になる。それは別に構わないとしても、射撃が間に合わなければその奥で治療をしているデイジーとラベンダーがスズランに襲われてしまう。ここで食い止めなければ、更に多くの犠牲が増える。爆弾を使うべきなのか、しかし指示に従わなければその後の対応に支障が出る可能性が考えられる。そんな時、オペナビから気に食わない声と頼りになる声が聞こえた。
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