花の存在価値

花咲 葉穏

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【鬼灯】

第4話 刺客

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 本部アルストロメリアからの救援は、稀にあることだ。非常時にそぐわない軽快な声はその度に聞いている。実際に会ったことはない。しかし、オペナビでナスタチウムのみんなを励ましてくれたり、労りの言葉をかけてくれたりいい印象を持っている。少なからず、私は、だが。アルストロメリアは、何を考え指示をしているのか分からない。今回のナスタチウムの出動も、不要だったのでは無いか。行き当たりばったりというか、シオやオミまで出動されて可哀想だと思う。そんな中、オペナビで美和ましろ、通称シロに媚びる人物もいる。


『や~ん、シロさんったら私たちの為に駆けつけてきてくれてありがとう!本当にアルストロメリアの隊員さん達は優しくて羨ましいわ~。ナスタチウムのみんなも、シロさんを見習いなさいよね!』


『あはは~、お世辞がお上手ですねぇ。早く安全地帯に行って貰えますか~?容赦なく射撃開始しちゃいますよー?』


『俺とオミの出動が無駄になった分、ミツさんのお給料から俺たちの口座に入れてもらえますよね?ミツさんがちんたらしてるから出動になったんで。』


『オミはお金に興味はないので、シオさんだけ勝手に貰えばいいと思うのです。』


『あー!もう!そういうの後にして、早く安全地帯に指定されている建物に避難して!建物は今、メイのいる建物の高層階に行ってもらえれば大丈夫よ。オミはそのままメイの方に合流。ミツさんとシオもそのまま合流して。メイは、入り口で皆が入ったことを確認してから施錠して!』


『了解、下で待機する。』


 ざわざわとオペナビで会話が飛び交い、しびれを切らしたハルが怒号を飛ばす。時間が無いことを監視カメラを通じて見ている彼女だからこそ、真剣にオペレーションをしてくれる。今、射撃位置に指定されている建物は一般的なビジネスホテルだ。階層は二十階までとなっているため、最上階で待機していれば安全だとアルストロメリアから言われている。そして、射撃位置から離れ急いで階段を降り入り口へ向かう。入り口に到着すると、入り口付近にいたであろうスズランを討伐していたシオが先に中へ入る。


「メイさん、助かりましたね?俺たちに話されたくないことでもあるようなこと、言われてましたし?」


「えぇ、そうね。少なからず、シオみたいな面倒な奴に知られなくてよかったと思うわ。」


「はいはい~、虚勢張るのやめません?どうせ、俺たちナスタチウムって…。─────そういう仲間、ですよね?」


「シオさん、邪魔です。入り口を塞がないでいただけますか。オミは指示通り早く上に行きたいので。」


 シオはニヤついた顔で、こちらの腹を探るように見つめてくる。彼の口からは意味深と取れる言葉が紡がれるが、彼は未だ何も知らないのだと思う。知らないから予測して勘ぐって探ってくる。とても面倒なタイプな事は間違いない。嫌味ったらしい程の美形をぐちゃぐちゃにしてやりたいとすら思う。五月の新緑を連想させる鶯色の髪。左右に分けられた前髪はアシンメトリーのようで右側が長く、宝石のプレーナイトのように淡い緑色の瞳が見え隠れする。彼の狐のような顔を見ていると、腸が煮えくり返りそうになってくる。そんなところへ、シオの尻を片足で蹴り何事も無かったかのように中に入り込んでくるオミ。シオはオミに蹴られ、しぶしぶ入り口から退いた。彼の後ろから現れたのは、薄桃色のツインテールの女性。凛とした顔立ちと合わない低身長だ。下から彼女に見上げられると、愛らしいという感情より先にねじ伏せられそうと思ってしまうほどに意志の強そうな瞳をしている。


「はぁ、オミは相変わらずだな。」


「どうでもいいので早く上に行ってください。シオさんとこんな所で共倒れは真っ平御免です。」


「はいはい…。じゃあ、メイさん、俺たちは先に上で待っているので入り口頼みますね。」


「シオの指示は聞く気はないけれど、ハルの指示だから言われなくてもちゃんと施錠するわ。」


 シオはオミから見上げられ、その瞳を見てやはり敵わないと判断したのか2人でエレベーターに乗り最上階へ向かった。私はここで、最後の一人のミツを待たなければいけない。入り口から外を覗くとスズランの大群は遠くに見えた。それなのにミツは近くに見当たらない。こんな非常事態に何をしているのだろうか。


『こちら、メイ。ミツ、今どちらに?入り口周辺に居ないようですが。』


『…?メイ、ミツさん近くにいない?監視カメラにはさっきまでスズランと対峙しているのは確認したのだけれど。監視カメラの目をくぐり抜けてどこかに逃げた、とか…?』


『まあ、有り得る。』


『こちらシオ。さっきまでミツさんは、スズランと対峙していましたが無事仕留めているのは確認しました。その後に俺は安全地帯に向かったので、それが最後の確認です。』


 まさか他のスズランに殺られた?しかし、そんな簡単に殺られるやつは、ナスタチウムには入れない。殺られたのなら殺られたで、私たちは構わないけれど入り口の施錠を任されている以上、安否が確認出来なければ任務を遂行できない。面倒だが、探しに行かなければと足を外に踏み出そうとした時…。

─────────何者かに後ろからロープか何かで首を絞められる。後ろは見えないため、誰に首を絞められているのか分からない。あまりの力の強さに明確な殺意を感じつつ、これだけの力があるということはナスタチウムの誰かだろうと判断した。近距離武器のナイフは私は持っていない。持っているのは、銃とスズラン爆弾。1発、銃で足でも打てばいいだろうか。しかし、私にはそれが出来ない。首とロープの隙間に指を入れて少しでも藻掻く。まさか、人の手で殺されるとは思ってもいなかった。死ぬ時はいつだって、スズランに噛まれる時だと考えていたから。徐々に体の力が抜けていく、息ができない。意識を失う直前、誰かの声が聞こえた。
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