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【鬼灯】
第8話 赤百合
しおりを挟む「なーんだ、ユリさんじゃないですか。スズランかと思って、みんな戦闘態勢をとっていたのに。」
「そんな残念がらないでよ、シオくん~。みんなの知りたい情報教えてあげようと思って、わざわざ出動したのよ?あたしも、ようやくミツさんがいない未来に希望が持てそうだと思ったからね。メイが仕切ってる所がとても気に食わないけど、今だけは力を貸してあげるわ。」
「あぁ、ご丁寧にどうも。別にユリがいなくても、全部調べてきたのでご安心を。」
「…ちっ、ほんと気に食わない女。」
「それよりも、ユリさんはどちらから此処へ侵入したのですか?オミとシオさんで施錠はばっちりしたのですが。」
「え?下の鍵なら閉まっていなかったから、そのまま中に入って鍵閉めておいたわよ?閉め忘れたのかと思っていたんだけど。」
エレベーターからゆっくりと出てくる赤百合天音。通称ユリ。既に武器を構えていた私たちは、それぞれ武器をしまう。一旦、スズランでは無いことに安堵する。ユリは独自で出動してきたらしい。ユリの名前がオペナビから聞こえたとのことで、わざわざここまで出動したというのは建前だろう。きっと彼女はミツの情けない所を見に来ただけだ。現に、ユリはブルートルマリンのような瞳を細めながらミツを見ていた。そして、彼女の口から恐ろしい事が伝えられる。シオとオミが確実に施錠したであろう扉の鍵は、開いていた。つまりそれは、私たち以外に誰かが中に潜んでいる可能性があるということ。もしくは、元々誰かが潜んでいて隙を見て逃げ出したか。どちらにしても、スズランが入ってきていないだけ救いだろうか。きっとユリが普通に入ってこられたということは、入り口付近にはまだスズランはいないということ。安堵のため息をつくと、ユリはグレーの長い髪を揺らしながらゆっくりと私とミツに近付く。
「あんた達が知りたいのって、私の父親とミツさんが本当に関わりがあったのかっていうのと、父親がミツさんに恨まれていたかどうかってとこかしら?あたしもちっさい頃のことで、あまり覚えていないけどミツさんのことはハッキリ覚えているわ。ねぇ?みつよさん?それとも、みつよおかあさんって呼んであげたら喜ぶのかしら?」
ユリが口角を片方だけ上げながら、ミツの傍でしゃがみこみじっと見つめている。ミツは早くガムテープを取ってと言わんばかりに睨みつけてくる。
「あかゆりデパートはあたしの父が社長だったわ。私と母と父、とても裕福な家庭だったと思うの。けれど、ミツさんが現れてから父はミツさんに骨抜きにされてしまった。ミツさんの夢のために、あたしたちを捨てようとした。でも当時のあたしは、そんなこと分からなかった。母に引き取られるより、父の方が優しかったからあたしは父の方について行ったの。」
ユリはそう言うと、ミツの頬を優しく撫でて微笑んだ。優しい表情に騙されそうになるが、彼女の瞳には明らかな憎悪の感情が見えている。そのせいか、ミツはユリを見つめながら体を小刻みに震わせ始めた。
「ねえ、ミツさん。あんたがどれだけの人を、不幸にしたか自覚してる?そんな人たちが、こうしてナスタチウムに集められたのってそういうことだと思わない?アルストロメリアは、あたしたちに仲間割れさせてそれを上から見物していたいだけよ?あんたがどれだけ媚びようと、あいつらはあたしたちを道具としか思っていないわ。今回のスズラン騒動だって、アルストロメリアがここまで移動してくる為の時間稼ぎにあたしたちを出動させただけ。それで、アルストロメリアがスズランを倒して手柄は全てアルストロメリアのもの。」
「ユリさーん、それはみんな分かってると思いますけど。あ、もしかしてミツさんだけ分かってない感じですか?」
「あらシオくん、相変わらず察しがいいわねえ。その通りよ。あたしはミツさんと行動する事が多かったから、ずっと見てきたの。この人なーんにも分かってなくて、笑っちゃうわよ。ナスタチウムの人って、頭がよく回ると思っていたんだけどね。この人だけ呑気にアルストロメリアに媚びてて、本当に滑稽。」
ニコニコと笑顔を浮かべながら、穏やかな口調のユリは一見穏やかに見える。しかし、言葉は鋭利な刃物のようだ。人当たりのいい彼女は、上手く生きてきたのだろう。
「それより、ユリさん。話が逸れているので、元のお話に戻していただけますか?」
そこへ、何もかも無自覚なオミがはっきりとユリに楯突いた。やはり気分を害したユリは、ターゲットをオミへと変える。ミツから離れゆっくりとオミへ近付いた。
「あらぁ、かわいいかわいいオミちゃん。その生意気なお口、何も喋れないように舌をちょんぎってあげましょうかあ?」
「それはオミに死ねと言っているのでしょうか。それなら、お断りします。オミの上司はユリさんではなく、メイさんなので。」
「はぁ?頭湧いてんのかこの小娘。何すっとぼけてるんだよ、上司とかの問題じゃないでしょ。天然ぶるな。」
「天然ですか。オミはお母様とお父様の間に産まれた人間ですが。」
そう、見てわかるようにこの二人は相性最悪。今にも殺し合いになりそうな雰囲気に、私はオミの前に出た。そして、ユリの前にはシオが出る。これは最早慣れた作業のようなもので、どうして私とシオが間に入るのかは分からないけれどこれがいつも通り。オミは、悪気が無いので謝るつもりも全く無く、きょとんと私を見つめてくる。シオの後ろではユリがキャンキャン吠えているようだが。
『あー、あー、みんな聞こえる?オペナビ調子が悪くて、あたしがいくら話しかけてもみんなに届かなかったの。なにか揉めているみたいだけど、大丈夫?』
そんな時、オペナビからこんな時一番頼りになる人物であるハルの声が届く。生憎、私は場を仕切ることは苦手だ。部下であるオミとシオの前なら、上司らしく振る舞えるのだが。ユリはどうにもコントロール出来ない。ユリをコントロールできるのは、シオまたはハルだ。ユリが唯一信頼してる二人。
「ハルちゃん、聞いてよ。こいつら、全然あたしの言うこと聞かないし本当にストレスたまる。話したくても全然ミツさんの悪行のこと話せないの!」
『あぁ、はいはい…。なるほどね、じゃああたしが一旦この場を仕切ろうかしら。それで文句ない?ユリ。』
「もちろん!ハルちゃんが仕切ってくれるなら安心!」
手のひらをくるっと返したかのように、るんるんでオペナビに向かって喋るユリ。これに関してもいつも通りなので、ナスタチウムは特に反応を示さない。
『それじゃあ、ユリ。ミツさんが何をしてきたのか、改めて教えてくれる?』
「えぇ、もちろん。ミツさんは、幼いあたしにも容赦なく手を上げたわ。気に食わなければ手を上げて、あたしはいつだってご機嫌取り。それを傍観する父親も父親だったけれど。あたしは次第に父親からも見放されて、母親に引き取られた。その後の父親の様子は母親から聞かされていたの。父親は、ありとあらゆるお金をミツさんに渡して全て失った。あかゆりデパートも、その当時は近々閉店になる予定だったわ。でも、その前にミツさんがあの事件を起こした。」
『それが、あかゆりデパート放火事件ね。』
「えぇ、そうね。母親には、ミツさんが逆恨みとして火を放ったと聞いているわ。その時のアリバイも無いみたいだし、自分が犯人ですって言ってるようなものよね。」
ユリは、まだ穏やかな口調でミツへ語りかけている。ユリはミツへ完全な疑いを向けてる。しかし、そんな中じっと私を見つめる人物がいる。それは、ユリの前に出てきたシオ。彼の表情は、まだ迷いが見える。私のことを疑っているけれど、証拠も何も無いことで疑うにも疑えないと言った所だろう。それに、私は火事のショックで記憶を失っている。
「ミツさんは、あかゆりデパートの社長であるあたしの父親。そして、あかゆりデパートのテナントである某有名アパレルブランドの店員。そして、あかゆりデパート近辺に住み着いてる暴力団関係者に近付いた。そして、三人からあらゆる資金を奪い取って用が済んで、いらなくなったから殺した。または、それこそ逆恨みされることが怖くて殺した。そうに違いないわ。」
「それだけじゃない。ミツは、会社の資金を横領していた。それがバレてしまい自暴自棄になったため、関係を持った人を道連れにしようと放火に至ったんじゃないかと思うの。それに、正確に言うと一人は自殺のはずよ。」
『いいえ、自殺なんかじゃないわ。』
資料の通り、誤った情報を流さないように私はさりげなく軌道修正を謀った。しかし、それはハルの意外な一言で遮られる。これは、資料にすら書かれていなかった。ミツの資料に書かれていなかっただけ?いや、そんなはずない。ハルの資料を見てもそんな情報は書かれていなかった。暴力団関係者の方には、手書きで追記されていたがアパレル店員については特に追記されていないはず。すぐに頭で様々な事を考えるが、アパレル店員とハルには何も関係は無かったはずなのだ。
『あたし、そのアパレル店員を知っているわ。だってその人は、あたしの実の兄だもの。』
「うそ…。ハルちゃんも、あのくそばばあから大切な人を奪われたの…?」
ユリがすかさずハルに問いかけた。違う、絶対にそれはない。だって、ハルは一人っ子なのだ。同室になってから、ハルとは家族のように過ごしてきた。そんな中、家族の話題も出てきてお互い一人っ子でお揃いだと話した記憶がある。だからこそ、何故この場でハルは嘘をつくのか理解が出来なかった。ユリを味方につけるため?そんなことしなくとも、ユリはハルを信頼している。その他の二人、シオとオミを味方につけたいから?いや、それも違う。シオとオミはそんな事で同情する心を持ち合わせていない。それとも、ミツに更なる罪悪感を抱かせるため?一人でぐるぐると考えても、ハルの考えていることは分からなかった。そして、ハルは続ける。
『私の実の兄は、紛れもない鬼灯満代に殺害されたわ。』
そう告げると、その場はしんと静まり返る。私たちの目は既に、ミツに向いていた。ミツは青ざめた顔で、首を横に振っている。なにか言いたそうにしているが、ガムテープに塞がれた口では何も伝えられない。そして、誰もミツのガムテープを剥がさない。それは、ナスタチウムの者はみんな、ミツに恨みを抱いているからだ。
***
「あらぁ、おユリったら情けない顔をしてどうしたのぉ?可哀想にねぇ、まさかシャワーから上がったらお洋服が何もないなんて…。」
「…あんたがやったんでしょ。」
「あらぁ!濡れ衣よぉ。あたしは、たまたま今シャワーを浴びようと思ってここに来ただけ。洋服が無いならお部屋に戻れないわねぇ。仕方ないから、夜中までここに残って夜中にお部屋にこっそり帰ったらどうかしらぁ。」
「このクズ女。」
***
「あら?おハルったら、こんなとこでぼーっと立ってどうしたのぉ?」
「え?いえ…、別になにもないです。」
「そう?あら?でも、このオペナビどうしたのかしら?ずいぶんと粉々にされているわねぇ。これじゃ、お得意のオペレーションが出来なくなっちゃうわねぇ。」
「……。」
「なぁに?その目。まさか、あたしを疑ってるのかしらぁ?」
「…いえ。」
***
「おオミ、なによこの報告書。出動なしの為、報告なしだなんて報告書にならないじゃない。」
「…?報告がないから報告はないと書いただけです。」
「違うでしょぉ!報告が無いなら、その日の行動を書きなさいと何度教えたら気が済むの?いい加減仕事覚えなさいよ、この小娘!」
「なにも違いません。報告書は、アルストロメリアより新種のスズランが出没した際に使用する物です。一日の日記を書かせるものではありません。あとオミは、おオミでも小娘でもなく、オミまたは恩美花です。」
「うるさい!!」
「……殴ればオミが従うとでも思っているのでしょうか。」
「ちょっ、ちょっとミツさん?いくらなんでも、手を出すのは俺はよくないと思いますよ。」
「うるさいわね!おシオ!あなたもあたしがこんなに可愛がってあげているのに、そんな小娘を庇うのならもういらないわ!」
「…っ、…いった。はぁ、ほんとあの人のヒステリックってどうにもならないよな。オミ、唇切れてるぞ。医務室行こう。」
「…シオさん、そう言うあなたも歯が折れてますよ。」
「…まあ、仕方ないよな。ナスタチウムの人間って、どいつもこいつも馬鹿力というか…。」
「そうですね。二人で医務室へ向かいましょう。」
***
「あらぁ、メイじゃない。そんなに真剣に何を見つめているのかしらぁ。」
「……。」
「…無視?いい度胸してるわねぇ、ちょっとツラ貸しなさいよぉ。」
「今どき、ツラ貸せ、なんて古いですよ。」
「ちっ!うるさい!!あたしは知っているのよ?あなたのそのスズラン爆弾。実は本物の爆弾も入っているんでしょう?」
「いいえ。」
「惚けても無駄よ?あなたの罪って、爆弾に関わることでしょう?」
「いいえ。」
「ほんと、癇に障る小娘ね!!」
「殴れば誰でも従うと思っていますか?それとも、ストレス発散という、しょうもない理由で人を殴っているんでしょうか。」
***
それぞれのメンバーの記憶にこびりついた、ミツへの記憶。それはどれも悲惨なものだ。この世でいちばん救いようのないクズはミツだ。それは、ナスタチウムの仲間全員が理解している。
『そう、一つ言い忘れていたの。ミツの行方が分からないと言ったその後、ミツは監視カメラには一切映らなかったと思ったのだけどそうじゃなかったわ。よく見たら、建物の裏口から既に安全地帯のその建物に入っていた。その上、中へ入る前に黒いローブを着てから中へ入ったわ。』
「はぁ、もう決定ですね。ミツさん、あなたがメイさんを殺そうとした。そうとしか言えないんですよ。あなたは、有名大学を出たと聞きましたが…。そんな丸わかりの犯行をするなんてどうせコネの力ってことですよね。」
シオの言葉にそれは違うと言えなかった。ミツの有名大学を出た話は、紛れもない彼女の実力。しかし、それは犯行にまで影響されるのかは分からない。頭がいいから、犯行も上手くいくとは思えない。確信のもてない言葉は発するものでは無い。ナスタチウムは、ミツを除けば頭が切れる人しかいない。無駄に発言をすると、状況が一気に不利となってしまう可能性がある。
「つまり、ミツさんの罪は放火による殺人と資金横領、そして、メイ相手への殺人未遂ということね。」
「それもあるかと思いますが、オミは一つ気になることがあります。それは、それぞれに渡されている罪という名の個人の武器についてです。ミツさんの罪はなんでしょうか。」
オミが、素直な疑問を持ち出してくる。それは、個人の罪という名の武器。これは、大きな過ちを犯した時の物をアルストロメリアが当時のものに限りなく近い形状で作ったもの。武器を見る度に、私たちが当時のことを忘れないようにするためのもの。それに関しては、私から話さなければいけないだろう。
「ミツの罪は、──────毒針です。」
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