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8:良い竜悪い竜
大勝負
しおりを挟む「……うーん」
イヴは今店に訪れていた。
数種類のデザインの女性服と旧流行の服コットがある。生地は一般的な毛織物の物と高価な絹の物とが売られていた。王都から離れた街であるため数も種類も然程なく、お昼の休憩時間に覗いているため隣街に行くほど時間はない。服の性質上裾丈が長い。コルセットも共に売られているものの、イヴの背丈では大きく余るだろう
悩んでいるのは裾の事もあるが、体の線が出てしまう。豊かとは言えない体つきを強調するには気が引けてしまっていた。
ーー体にぴったりしてるからあんまり好きじゃないなあ……それに森に行くからあんまり長いのは……切ればいいかな? 仕立屋さんで新しいのを作ってもらうにはお金と時間がかかっちゃうわ
店で買える服は古着だ。新品は布から作る他ない。仕立屋で仕立ててもらうか、自身で布を買って作ればイヴのサイズに合わせた物を作る事は出来る。しかしそれは今日中に叶うものではなく、仕立て屋を利用すればお金もかかってしまう。
長考したイヴだったが、一回り程大きい女性服とコルセットを購入した。店を後にすると空を見上げて次の店に早足気味に向かってゆく。
「……あら? あなたも休憩?」
「あ……ミランダさん」
声をかけられて視線を投げればミランダと、隣に見知らぬ女性がいた。齢はミランダよりも上そうだ。ミランダと同じような服装をしている
女性がイヴを見てミランダへと視線を移した。
「この子は? あまり見ない顔だけど」
「こ、こんにちは。イヴです」
「森の近くのパン屋で働いているのよ」
「ああ! あのパン屋で。あたし行った事がないのよね~。あたしはアンネよ。よろしく」
「よろしくお願いします」
アンネと名乗った女性と挨拶を交わす。軽く肩を竦めて笑いかけられて微笑みを返した。顔見知りへと変わったところでミランダが前に出て腕に抱えている服を指差した
「お買い物してきたのね」
「あ……はい。まだ他のところでも買うんですけど……」
「王都にでも出掛けるの?」
「そういう訳ではないです、けど」
言葉に詰まり目を泳がせる。言い淀むイヴの様相にミランダは眉を上げた。表情が明るくなっていく。子供のように爛々と瞳を輝かせていて、前のめりがちに身を近付けた
「私も手伝っていい?」
「え?」
「一緒に選ぶの。楽しそうだと思ったのだけれど……嫌かしら?」
眉尻を下げて首を傾げるミランダに、つい先刻の買い物を思い返す。サイズの違いや種類はそれほどなかったが、時間がかかってしまった。
髪に飾り付けているリボンへ指先で触れる。服を買い終えたため、次はリボンだがリボンとなるともっと時間がかかってしまうかもしれない懸念があった。
ーーひとりではなかなか決められないし、それにミランダさんなら良いアドバイスくれるかも……?
「じゃあ……お願いします」
「任せて!」
選別してもらう事を願えばミランダは満面の笑みを浮かべて快く了承した。傍らのアンネはミランダを見て溜め息をつく。休息を取りに行く旨を伝えて去っていった。
アンネを見送ったミランダはイヴに微笑みかける。
「次は何を買うの?」
「リボンを買おうかなって思っています」
「リボンね! あなたに似合っていて……気を引く物がいいわね。好みがあるだろうけど、ひとまず見てみましょうか」
「は、はい。お願いします」
購入予定の品の名称を出すと大まかな傾向を口に出した。イヴは目をぱちくりとさせ、ぐっと拳を握る。首を縦に振りミランダと共に店へと向かった
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