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4話

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 店内で鉢合わせた雄大と気づけばピアスの話になっており、真尋はそれにとても興味を持った。一緒に見ていると「こういうのとかカッコいいよな」と雄大は色々教えてくれる。

「なあ、瀬名はこういう系だったら何色が好きなん」

 そういえば、といった感じで好きな色を聞かれ、真尋はふと、後ろで呆れた顔で自分を見ている佐紅が目に入った。

「赤」
「赤? マジ? なんか意外ー。お前の印象だと黒とか紫系かと思った」

 髪が黒いからだろうか。それとも服装が黒系だからか。

 真尋は少し首を傾げた後に当たり前のように告げた。

「さくの名前の漢字が赤だから赤がいい」

 すると驚いたように佐紅が凝視してくる。そして雄大はポカンとした顔を真尋に向けてきた。

「お前らホント、愛し合ってんの?」

 ポカンとした後にニヤリと笑い、雄大が言うと佐紅がとても鬱陶しそうな顔で「はっ?」と雄大を睨んでいる。

「冗談だって。お前、瀬名にマジ懐かれてんのな」

 佐紅に言いながら雄大は腹を抱えて笑う。それに対し佐紅は焦ったのか苛立ったのか、怒った顔で顔色を赤くしながら今度は真尋を見てきた。

「お前はな、もうそういうの止めろ」
「そういうの?」

 佐紅の言う「そういうの」とは何を指しているのだろうか、そして何故止めろというのだろうかと真尋は思った。
 恐らく「そういうの」というのは思ったままを口にすることなのだろうとはなんとなくわかるのだが、それが何故駄目なのかがわからない。
 佐紅は真尋を見た後で雄大のほうを睨んだ。

「っていうかお前も、もういいだろ。まひろはピアス開けてないんだし」

 そして呆れた顔をしている。佐紅と雄大の背がほぼ同じだからだろうか、真尋からすればそんなでもとても近く見える。

「開ければいいだろ。男でもオシャレは必要だぜ」
「簡単に言うな。それにまひろはそういうのいらねぇの。体に穴を開けるなんてこと」
「お前は瀬名のお母さんかよ……! つか古風か!」

 雄大が微妙な顔で佐紅を見ている。真尋としてはでも自分を気にかけてくれているのはとても嬉しい。言っていることがやっぱりよくわからなくても。
 いつもは真尋に対して佐紅はわかりやすく話してくれるのだが、今は主に雄大に向けているからだろうか、珍しく真尋にとってよくわからないことを言っている。雄大は佐紅が言っていることを特に気にしていないのか、目に付いたピアスを真尋に見せてきた。

「おい、赤ならこれとかよくね?」

 それはシンプルな赤い石のついたピアスだった。
さりげないデザインで、真尋は結構惹かれた。

「さく、これ」

 真尋がそのピアスを見せると、佐紅が微妙な顔で見てくる。

「ああ、いいんじゃね? デザインとかはな。でもお前穴、開けてねーだろ」

 穴。

 真尋はじっとピアスを見た。また佐紅と雄大がなにやら話している中、なにかないかとポケットや鞄を探ると安全ピンを見つける。鏡があるので丁度いいと真尋はそこへ向かった。

「って、はぁっ?」
「っちょ、おま……っ」

 雄大と佐紅がとてつもなく絶句した後に、これでもかという程息の合った様子で「馬鹿か……!」と叫んできた。何事かと真尋がポカンとした様子で二人を見ると、二人とも同じような表情をして自分を見ていた。首を傾げていると雄大がとりあえず真尋からピアスを奪い、会計へ向かった。あ、っと思っていると佐紅が「頭痛がしてきた」などと言っている。

「さく、頭、痛いのか?」
「お前のせいでな」
「俺?」
「……お前が昔から思ったままを口にするやつだとはわかっていたけど、やることも素直っつーか、馬鹿だったなって」

 素直?

 ますます一体どうしたのかと思っていると雄大が戻ってきた。

「ちょ、買った! 買ったからとりあえずこれ! じゃねーと安全ピン刺さったままはヤベェ。傷口そのままくっつくかもしんねーしな。消毒は帰ってしろよな。あと金、今いーから明日返せ」
「ったく。こんなとこで耳に穴開けるなんて……」

 ここでようやく、二人が何に慌てているのかわかった。どうやら真尋が鏡の前で自分の耳に安全ピンを突き刺したことに対してらしい。

 開けたかったからしたんだけど……まずかったのだろうか。

 そう思っていると、佐紅が少し困ったような顔をしながらもピアスの一つを袋から取り出してきた。
そして手を伸ばし「抜くぞ」と囁いてきた。何故かその言葉に少しドキドキとしながらも、真尋はコクリと頷く。すっと針が抜かれる感触がした後、すぐに佐紅がピアスをつけてくれた。

「……くそ、やりにくい。って痛くねーか?」
「痛くない」
「はぁ。もうほんとにお前は……」

 佐紅がため息を吐いてきた。雄大はホッとしたように「とりあえずもう帰れよ」と言っている。

「そうだな。まひろ、帰るぞ。帰って消毒、してやる」
「わかった」

 コクリ、と頷いて真尋は佐紅に続いた。
 家までの道中、佐紅は口を利いてくれない。普段も黙ったままということはある。真尋は元々無口なので佐紅が話をしないと黙ったままになるのだ。とはいえそういう感じとも違う。

 ……怒ってるのだろうか。

 でも消毒はしてくれるらしい。真尋は久しぶりに佐紅の家へ、玄関から入った。
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