銀色の魔物

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111話 ※

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 ただの生殺しだろ……。

 サファルは蕩けそうな脳ミソを何とか脳内に留めつつ思う。
 少しずつ慣れるとはどんな感じだろうと疑問に思っていたが、わりとすぐに判明した。それだけカジャックがすぐに対応してくれたということなので嬉しいことは嬉しい。ただ、生殺しだと思う。
 翌日にどのみち進行方向にあったようで川を見つけると、二人は水浴びをした。性的なことをするためではなく、普通にすっきりするためだ。それでも出来れば二人でキャッキャウフフといきたいところだったが、カジャックいわく「この辺りは弱いながらも魔物が出そうだ。先ほど足跡を見た」らしく、警戒のため一人ずつ浴びた。幸い出没はしなかったが、もちろん警戒を怠らないカジャックは正しいし格好がいいとサファルは思っている。どのみちカジャックがキャッキャウフフとはしゃいでくれるとも思えない。

 でも──

「一緒に水浴びしたかったです」
「背中でも洗って欲しかったか?」
「……そういうことじゃないです」

 サファルが首を振ると、ぽかんとしていたカジャックだがすぐに納得がいったという表情になった。見慣れていない人が見れば威嚇するかのような目付きでしかなかったであろうが、サファルには今や完全に分かる。
 その日の夜、川からさほど離れていない、ルークの森からは離れたものの平地ではなく林だろうか、木々に囲まれたような場所をカジャックは野宿に選んできた。

「魔物とか大丈夫でしょうか」
「ここならざっと辺りを確認したところだと問題なさそうだ」
「よかった」
「それに人の気配もない」

 カジャックのその言葉で、サファルは意図に気づいた。急に心臓が煩く鳴り出す。

 どれぐらいぶりだろう、俺の尻、固く閉じちゃってないかな。

 とてつもなくドキドキとしていると、名前を呼ばれた。引き寄せ抱きしめられる。髪を撫でられ、そっと指の腹で耳をなぞられた。それだけで体が震える。だが指はすぐに離れていき、今度はサファルのうなじに唇が軽く触れてくる。その唇はゆっくり動いていき、耳まで来ると耳たぶを甘噛みされた。耳は特に性感帯だと思っていなかったサファルだが、先ほどから座った状態なのに腰がもぞもぞと動いている。カジャックはといえば、耳を愛撫しながらもサファルの背中を優しく上下に撫でており、余計にもぞもぞとしてしまう。
 ふっと耳の穴に息を吹きかけられると、それまでの愛撫と相まってぞわりと体に何かが走った。おまけにカジャックの舌先がゆっくりと中に入ってくる。
 そんな状態がひたすら続いた。
 耳の穴はなぶられ過ぎて、もしかして聞くための器官ではなくやらしい穴に成り果ててしまったのではないかとさえ思えてきた。身悶えが止まらない。このままだと耳だけで達してしまいそうだった。

「あ……、カジャッ……」

 早くもっと他も触って、そして入れて欲しい、と願おうとすると、ようやくカジャックは耳責めを止めてきた。そして軽くサファルの唇にキスをしてくる。そのキスが本当に軽すぎて、さすがに気づいた。

「あの……まさか、終わ、り……?」
「ん?」
「……え、っと……」

 既に興奮し過ぎていて掠れた声が震えそうになる。

「まさ、か……慣れる、までこんな感じ……?」
「のつもりだが……」

 何この生殺し。
 死ぬ。
 俺の俺がまず死ぬ。
 あと精神も死ぬ。

「気が狂ってしまいます……」
「え?」

 カジャックは怪訝な顔をしていた。ということは少なくとも今の愛撫でカジャックは興奮していないということになる。

 どんだけ精神強いの?
 いや、する側はこんなものなのか?
 それとも俺がカジャックを好きな半分もカジャックは俺のこと好きじゃないとかじゃないだろうな。

 その考えはかなりサファルを落ち込ませたが、それでも完全に勃ったものが少しも治まらないほど、耳にされた愛撫で相当興奮させられていた。今のサファルの耳は尻の穴より敏感になっているかもしれない。
 普段なら一人だけ勃起しているところなど、大好きなカジャックに見られるなんて恥ずかしさの極みの勢いでしかないが、最近ご無沙汰過ぎたのと今の愛撫がサファルの羞恥心を蹴散らしていた。

「見てよ、だって。俺、こんなになってんのに……何もしないとか死んじゃう」

 俺が入れる側だったら絶対今、無理やりにでもカジャックに突っ込んでる。カジャックの理性どうなってんの? というか、あーもう、なんで俺、受ける側なんだよ、受ける場合カジャックのがまず可能な状態じゃないと無理じゃないかあ!

 かといってこんな場所でいきなり初めての入れる側はサファルには難し過ぎるし、カジャックも歓迎しないだろうことは手に取るように分かる。
 初めて受ける側であることに、ある意味不満を感じつつサファルは自分のものをむき出しにした。

「外でそんな無防備に……」
「人の気配ないって言った」
「それは、そうだ、が」
「いいよ、カジャックがしてくれないなら……、あ、でもさ、あの、もっと耳、舐めて……」

 囁くような声しか出ないのは興奮が治まらないからだ。かろうじて残っているわずかな理性が「後でそれこそ死ぬぞ、死ぬほど恥ずかしくなるぞ止めろ」と自分に言い聞かせてくるが、本能には勝てなかった。
 そっと握ると、分かっていたことだが先はかなり濡れている。それを指や手のひらに絡め、サファルはカジャックが見ている前で自分のものを慰め始めた。

「サ、ファル」
「は、ぁ……どうしよ、すぐ来そう……」
「さすが、早いな……」
「萎えそうなこと言わな……いや、萎えたほうがいいの、か……ううん、もうこれ無理……」

 まるでうわごとだ。
 カジャックに止められるかと少し思ったが、さすがにサファルの状態を見て止めることはしなかった。それよりも早く終わらせようとでも思ったのか、カジャックは言われた通りにまた耳に息を吹くと舌で愛撫をしてくる。

「ぁ、あ……」

 やはり耳だけでも達しそうな気持ちよさだ。しかも今やサファルは自分で扱いている。

「……やらしいな、サファルは」

 おまけに低い声で囁かれ、あっという間に先から白濁を迸らせた。
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