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146話
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どんな味なのだろうと好奇心でいっぱいになってきた。仕事を結局途中からさぼったような状態だけに少々心苦しさはあったが、せっかくだし茶の時間を満喫しようとエルヴィンはさっそく未知の果物を食べることにする。
「あ、ちょ、待っ」
口へ運ぶのに気づいたリックが何か言いかけたが、構わず勢いでそのままパクリと食べた。
「……不思議な感じだけど、美味しい……」
少しねっとりとした感触で酸味も感じられるが、蜂蜜がそれをむしろたまらなく味を引き立てるものにしている。果肉に元々あるほんのりとした甘みとも合う。また執事が言っていたように、どこか酒を味わっているような味覚も感じられた。大人のデザートといった感じで悪くない。
茶葉はザイフォンクプアスと同じザイフォンの、バーデテッセ地方で取れる茶葉を使用しているようだ。バーデテッセ茶はその地域によく咲くバーデンローズの精油で着香した薫り高い紅茶で、このクセが少々ありそうな果物と香りで相反しそうだというのにお互い引き立て合っていて味わい深い。
「これは中々……」
「エルヴィン? とりあえず一旦食べるのをやめ……」
「リック。これ、とても美味しいので食べてみてください。買ってみてよかったなあ。珍しい味だけどすごく美味しい」
何だか嬉しくなってきた。改めて買ってみてよかったなと思う。南国フルーツはまだまだ未開というか知らないものが多そうだが、興味が湧いてきた。
「いいな、ほんと。うん、俺、騎士首になったら果物を主に仕入れる商人も悪くないかも」
「何で首になると思うの。いいからエルヴィン、落ち着いてそれを……」
「商人にならなくても、とりあえず色んな南国フルーツをお取り寄せして楽しむ日々もいいなあ。何かテンション上がってきました」
「普段ならそういうエルヴィンは楽しいと思えるけど今は全然思えないんだよ、とりあえず食べるの、や」
「そうなんですよ、ほんと食べるの止まらなくて、ってリック。どうして俺の腕つかむんですか」
気づけば対面して座っていたリックがエルヴィンのそばまで来ていただけでなく、ナイフを持つエルヴィンの腕をつかんでいた。
「食べるのやめないからかな」
「こんなに美味しいのに何でやめないとなんです」
「……とりあえず落ち着いて。あまり興奮しないよう……」
「してませんよ。……うん? いや、してるのかな? してるかも。こんな美味しいものに出会ったらでもそれも仕方ないですよね?」
「……はぁ……。えっと、とりあえずお茶を飲もうか」
リックは手を離してくれたが、それと同時にザイフォンクプアスの乗った皿を遠くへやってしまった。それが残念でならないと思っているとカップの乗ったソーサーを差し出される。バーデテッセ茶も美味しいのでありがたく口にすると「全部飲み干して」と言われた。よくわからないが言われた通り飲み干すと、また茶を注がれた。
「あの」
「飲んで」
「いやでも」
「いいから飲み干して」
「何で」
「いいから」
どうしたというのだろうと不可解で仕方ないが、エルヴィンはまた言われた通り飲み干した。するとまた茶を注がれる。
「待ってくださいよ。これ何のプレイですか」
自分で「何のプレイ」と言っておきながら、エルヴィンは今の言葉に妙な感覚がした。何だろうともう一度「……何のプレイ……」と呟いてみる。すると今度はもう少し明確な感覚がした。
待って?
え、何で?
確かに知らない食べ物を食べた上にそれが美味しかったため少々興奮気味だったかもしれないが、自分の言った何気ない言葉で勝手に興奮してか、腹の奥が疼く意味がわからない。そして疼きに気づいた途端、体がどんどん熱くなってきた。火照りと疼きがじわじわ強くなっていく。
「……あぁ……さすがに飲むだけじゃ薄まらない、か」
リックが訳知り顔でエルヴィンを見てくる。そこには気がかりそうな表情も含まれている。
「え、あの……どういう……? 薄まる? えっと、俺、知らない内に服毒でもしたんです、か?」
聞いている間にますます奥が疼いてたまらなくなってきた。心の底から意味がわからない。やはり服毒してしまったのだろうか。
……でも毒っていうか……。
苦しいのは苦しいが、痛みを伴うようなものではない。どうにも毒を口にしたという感じではない。
服毒したこともないくせに知った風なことをと自分で思うこともない。毒なら遡る前に強力なものを口にしている。あれでおそらくは数日苦しみ抜いた後ようやく死んだはずだ。
今の感じはそれよりも他の感覚に似ている。
ニルスに……散々触れられて……いきたくて堪らないのに肝心なところにまだ触れてもらってなくて激しく悶えた時の感じに……似てる。っていうかそれをひどくした、感じ……。
そう思った後に、思うのでなかったと瞬時に死ぬほど後悔した。おかげさまで、またさらに疼きがひどくなった。
「……っぁ……な、これ……っ」
苦しい。出したい。どんどんひどくなる。
リックが何やら唱えている。その瞬間は心地いい冷たいものが体を包んでくれるような気がするのだが、さらに次の瞬間にはその冷たさを殺す勢いで熱がエルヴィンの体を激しく覆いつくそうとしてくる。
「あ、あ……何、きつ……」
「ああもう……まさかザイフォンクプアスなんて普通に売ってると思わないでしょ……というかその店主も気軽に売らないで欲しい……」
どうやらリックはこの果物が何か知っているようだし、エルヴィンの異変は多分この果物のせいのようだ。
「あ、ちょ、待っ」
口へ運ぶのに気づいたリックが何か言いかけたが、構わず勢いでそのままパクリと食べた。
「……不思議な感じだけど、美味しい……」
少しねっとりとした感触で酸味も感じられるが、蜂蜜がそれをむしろたまらなく味を引き立てるものにしている。果肉に元々あるほんのりとした甘みとも合う。また執事が言っていたように、どこか酒を味わっているような味覚も感じられた。大人のデザートといった感じで悪くない。
茶葉はザイフォンクプアスと同じザイフォンの、バーデテッセ地方で取れる茶葉を使用しているようだ。バーデテッセ茶はその地域によく咲くバーデンローズの精油で着香した薫り高い紅茶で、このクセが少々ありそうな果物と香りで相反しそうだというのにお互い引き立て合っていて味わい深い。
「これは中々……」
「エルヴィン? とりあえず一旦食べるのをやめ……」
「リック。これ、とても美味しいので食べてみてください。買ってみてよかったなあ。珍しい味だけどすごく美味しい」
何だか嬉しくなってきた。改めて買ってみてよかったなと思う。南国フルーツはまだまだ未開というか知らないものが多そうだが、興味が湧いてきた。
「いいな、ほんと。うん、俺、騎士首になったら果物を主に仕入れる商人も悪くないかも」
「何で首になると思うの。いいからエルヴィン、落ち着いてそれを……」
「商人にならなくても、とりあえず色んな南国フルーツをお取り寄せして楽しむ日々もいいなあ。何かテンション上がってきました」
「普段ならそういうエルヴィンは楽しいと思えるけど今は全然思えないんだよ、とりあえず食べるの、や」
「そうなんですよ、ほんと食べるの止まらなくて、ってリック。どうして俺の腕つかむんですか」
気づけば対面して座っていたリックがエルヴィンのそばまで来ていただけでなく、ナイフを持つエルヴィンの腕をつかんでいた。
「食べるのやめないからかな」
「こんなに美味しいのに何でやめないとなんです」
「……とりあえず落ち着いて。あまり興奮しないよう……」
「してませんよ。……うん? いや、してるのかな? してるかも。こんな美味しいものに出会ったらでもそれも仕方ないですよね?」
「……はぁ……。えっと、とりあえずお茶を飲もうか」
リックは手を離してくれたが、それと同時にザイフォンクプアスの乗った皿を遠くへやってしまった。それが残念でならないと思っているとカップの乗ったソーサーを差し出される。バーデテッセ茶も美味しいのでありがたく口にすると「全部飲み干して」と言われた。よくわからないが言われた通り飲み干すと、また茶を注がれた。
「あの」
「飲んで」
「いやでも」
「いいから飲み干して」
「何で」
「いいから」
どうしたというのだろうと不可解で仕方ないが、エルヴィンはまた言われた通り飲み干した。するとまた茶を注がれる。
「待ってくださいよ。これ何のプレイですか」
自分で「何のプレイ」と言っておきながら、エルヴィンは今の言葉に妙な感覚がした。何だろうともう一度「……何のプレイ……」と呟いてみる。すると今度はもう少し明確な感覚がした。
待って?
え、何で?
確かに知らない食べ物を食べた上にそれが美味しかったため少々興奮気味だったかもしれないが、自分の言った何気ない言葉で勝手に興奮してか、腹の奥が疼く意味がわからない。そして疼きに気づいた途端、体がどんどん熱くなってきた。火照りと疼きがじわじわ強くなっていく。
「……あぁ……さすがに飲むだけじゃ薄まらない、か」
リックが訳知り顔でエルヴィンを見てくる。そこには気がかりそうな表情も含まれている。
「え、あの……どういう……? 薄まる? えっと、俺、知らない内に服毒でもしたんです、か?」
聞いている間にますます奥が疼いてたまらなくなってきた。心の底から意味がわからない。やはり服毒してしまったのだろうか。
……でも毒っていうか……。
苦しいのは苦しいが、痛みを伴うようなものではない。どうにも毒を口にしたという感じではない。
服毒したこともないくせに知った風なことをと自分で思うこともない。毒なら遡る前に強力なものを口にしている。あれでおそらくは数日苦しみ抜いた後ようやく死んだはずだ。
今の感じはそれよりも他の感覚に似ている。
ニルスに……散々触れられて……いきたくて堪らないのに肝心なところにまだ触れてもらってなくて激しく悶えた時の感じに……似てる。っていうかそれをひどくした、感じ……。
そう思った後に、思うのでなかったと瞬時に死ぬほど後悔した。おかげさまで、またさらに疼きがひどくなった。
「……っぁ……な、これ……っ」
苦しい。出したい。どんどんひどくなる。
リックが何やら唱えている。その瞬間は心地いい冷たいものが体を包んでくれるような気がするのだが、さらに次の瞬間にはその冷たさを殺す勢いで熱がエルヴィンの体を激しく覆いつくそうとしてくる。
「あ、あ……何、きつ……」
「ああもう……まさかザイフォンクプアスなんて普通に売ってると思わないでしょ……というかその店主も気軽に売らないで欲しい……」
どうやらリックはこの果物が何か知っているようだし、エルヴィンの異変は多分この果物のせいのようだ。
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