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15話
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レジ袋は二つ。どちらも大きめでそして結構それなりに入っている。
「俺、コンビニのレジ袋そんなにいっぱいにしてるとこ初めて見たかもっすね」
その内の一つを持とうと手を伸ばしながら言うと大典は「買いもんしねーの」と返しつつその手を避けてきた。
「コンビニでそんな買わねーっすよ。つか、何すか」
「いい。俺が持つ」
「……俺は楽でいいっすけど、念のため言っておきますね。俺、男っすからね」
「イケメンだとは思ってっけどさすがに女顔はしてねえし間違えるかよ」
「そんじゃ女扱いいらねえってわかんでしょ」
マンションへ戻りエレベーターに乗りながら悟は大典を見た。
「別にしてねえ。だいたい俺、男も女もいけんだから男相手に女を見る必要ねえ」
「なるほど? じゃあ何で一人で持ってんすか」
「……ほとんど俺が買いたいもんだったしお前後輩だからな」
まさかここで先輩気取りとはと悟は思わず吹き出してしまった。
「何だよ」
「いえ。かわいい人だなと思っただけっすよ」
「……お前、馬鹿にしてんだろ」
「いつもそれこそ馬鹿みたいに素直に受け止めてんだから今も素直に取ればどうっすか」
「……悟って結構毒舌だったなって今思ったぞ」
「今さらっすか。で?」
「何だよ」
「嫌いになりました?」
「あ? 何で?」
とてつもなく怪訝そうな声に、前を向いていた悟がほんの少し見上げると実際に大典は怪訝そうな顔をしていた。
悟の部屋があるフロアについて開いたエレベーターから先に大典を出す。
「お前こそこれ、女扱いかよ。レディファストってやつ」
「ファーストっすよ……ファストじゃあ意味わかんねえだろ。急速レディって何だよ……。つかそう見えるのならマジ先輩半端ないっすね。両手塞がってる状態で余計なこと言ってねえでサクサク歩いてくださいよ」
「お前やっぱ毒舌だろ」
「だから今さらでしょ」
そんなことを言い合いながら家に着いた。中に入りながら、悟はふと気づいたことを聞いた。
「つか先輩。男も女もいける宣言マジ半端ないっすけど、やっぱどっちとも経験あるんっすか」
女とは普通にありそうだが男相手がわからない。馬鹿みたいな言動とはいえあれだけ自信満々ならあるかもと思える。別にあっても構わないが、どうせあるならタチのほうだと悟としては楽しい。タチとネコは男同士のやり方について調べている時に知った。大典の態度からしても経験があるならタチのように思える。そんな大典を組み敷いてネコとして扱いたい。
「あー。それがさ、最近気づいたんだけど俺、女としかなかったわ」
それは僥倖。
悟はそっと笑みを浮かべる。
「それ、最近気づくことなんすか」
いいことを聞いたと思いつつあえて呆れたように言えば「別に意識してなかっただけだよ、うるせぇな」とムッとした顔をしている。その表情も楽しみながら、悟は大典の持つ袋を奪って中の商品を玄関すぐにある狭いシステムキッチンもどきにあるシンクの上に置いていった。
「あ、ちょ、勝手に出すな」
「出さないでどうすんっすか」
後輩だからというだけで袋を持たせないという行動にそこまで怪しさはないが、しかし何かありそうでもある。子どもっぽい菓子でも買っているのかと思っていた悟はだが子どもっぽいどころかある意味大人の商品を見つけた。大典らしいといえば大典らしい。
「何でゴム買ってんすか」
さっと大典を見れば同じく大典もさっと顔を逸らす。ああ、道理でレジの人がじろじろ見てきたっけなと悟は少し微妙な顔をした。
「……目についたので。それに俺の金なので」
「ぶは。何で微妙に敬語っぽいんすか。つかマジ先輩半端ないっすねえー」
「い、いるかもだろ」
またムッとしたように逸らしていた顔を戻してきた。
「いらねえっすよ」
「即答すんなよ」
「まぁまぁ。せっかく買ってきたんだし、飲みましょうか」
「ゴムもせっかく買ってきたんだし、使」
「いません」
貪欲か、と笑いながら悟は電子レンジを使う必要のあるおかずを温めつつ、いくつかの飲み物と菓子をトレーに乗せてベッド横のコーヒーテーブルに置いた。その後温めたおかずをあてにビールから飲んでいく。グラスは出すのも面倒なのでお互い缶のまま飲んだ。
「つかよー、きっちゃんがよ、男同士のあれこれを俺に言うなって言ってくんだよ、冷たくね?」
「……何でも明け透けに言うなって言われたんでしょ。別に間違ってねえっすよ、あんたの友だち」
「あぁ? きっちゃんは昔から一番の友だちなんだぞ。んなもん何でも言うだろ。そーいうもんだろ」
「知らねえっすよ。つか名前何でしたっけ? なが何とか」
「きっちゃんっつってんだろ」
「何で俺があんたの友だちをそういう呼び方で呼ばねえとなんすか。嫌っすよ。名字教えてください」
そもそも例の友人の話など聞きたくもない。
「変なやつだな。きっちゃんはきっちゃんなのに」
缶ビール三本とチュウハイ一本。まだそんなに飲んでいないはずだが多分大典はもう酔っぱらってきている気がする。悟はニッコリと大典を見た。
「名字」
「っち。永谷だよ。なーがーたーに」
「うぜぇっすね、その言い方」
「お前マジ毒舌」
ジロリと睨むようにして大典は顔を近づけてくる。軽く鬱陶しいのとさらにほんのり軽く湧いた嗜虐心とでその近づけてきた顔に悟も近づけると唇を合わせた。そして何か言おうとした悟の舌をやんわりと唇で挟むとちゅっと吸い込むようにして引っ張り、そして噛んだ。
「俺、コンビニのレジ袋そんなにいっぱいにしてるとこ初めて見たかもっすね」
その内の一つを持とうと手を伸ばしながら言うと大典は「買いもんしねーの」と返しつつその手を避けてきた。
「コンビニでそんな買わねーっすよ。つか、何すか」
「いい。俺が持つ」
「……俺は楽でいいっすけど、念のため言っておきますね。俺、男っすからね」
「イケメンだとは思ってっけどさすがに女顔はしてねえし間違えるかよ」
「そんじゃ女扱いいらねえってわかんでしょ」
マンションへ戻りエレベーターに乗りながら悟は大典を見た。
「別にしてねえ。だいたい俺、男も女もいけんだから男相手に女を見る必要ねえ」
「なるほど? じゃあ何で一人で持ってんすか」
「……ほとんど俺が買いたいもんだったしお前後輩だからな」
まさかここで先輩気取りとはと悟は思わず吹き出してしまった。
「何だよ」
「いえ。かわいい人だなと思っただけっすよ」
「……お前、馬鹿にしてんだろ」
「いつもそれこそ馬鹿みたいに素直に受け止めてんだから今も素直に取ればどうっすか」
「……悟って結構毒舌だったなって今思ったぞ」
「今さらっすか。で?」
「何だよ」
「嫌いになりました?」
「あ? 何で?」
とてつもなく怪訝そうな声に、前を向いていた悟がほんの少し見上げると実際に大典は怪訝そうな顔をしていた。
悟の部屋があるフロアについて開いたエレベーターから先に大典を出す。
「お前こそこれ、女扱いかよ。レディファストってやつ」
「ファーストっすよ……ファストじゃあ意味わかんねえだろ。急速レディって何だよ……。つかそう見えるのならマジ先輩半端ないっすね。両手塞がってる状態で余計なこと言ってねえでサクサク歩いてくださいよ」
「お前やっぱ毒舌だろ」
「だから今さらでしょ」
そんなことを言い合いながら家に着いた。中に入りながら、悟はふと気づいたことを聞いた。
「つか先輩。男も女もいける宣言マジ半端ないっすけど、やっぱどっちとも経験あるんっすか」
女とは普通にありそうだが男相手がわからない。馬鹿みたいな言動とはいえあれだけ自信満々ならあるかもと思える。別にあっても構わないが、どうせあるならタチのほうだと悟としては楽しい。タチとネコは男同士のやり方について調べている時に知った。大典の態度からしても経験があるならタチのように思える。そんな大典を組み敷いてネコとして扱いたい。
「あー。それがさ、最近気づいたんだけど俺、女としかなかったわ」
それは僥倖。
悟はそっと笑みを浮かべる。
「それ、最近気づくことなんすか」
いいことを聞いたと思いつつあえて呆れたように言えば「別に意識してなかっただけだよ、うるせぇな」とムッとした顔をしている。その表情も楽しみながら、悟は大典の持つ袋を奪って中の商品を玄関すぐにある狭いシステムキッチンもどきにあるシンクの上に置いていった。
「あ、ちょ、勝手に出すな」
「出さないでどうすんっすか」
後輩だからというだけで袋を持たせないという行動にそこまで怪しさはないが、しかし何かありそうでもある。子どもっぽい菓子でも買っているのかと思っていた悟はだが子どもっぽいどころかある意味大人の商品を見つけた。大典らしいといえば大典らしい。
「何でゴム買ってんすか」
さっと大典を見れば同じく大典もさっと顔を逸らす。ああ、道理でレジの人がじろじろ見てきたっけなと悟は少し微妙な顔をした。
「……目についたので。それに俺の金なので」
「ぶは。何で微妙に敬語っぽいんすか。つかマジ先輩半端ないっすねえー」
「い、いるかもだろ」
またムッとしたように逸らしていた顔を戻してきた。
「いらねえっすよ」
「即答すんなよ」
「まぁまぁ。せっかく買ってきたんだし、飲みましょうか」
「ゴムもせっかく買ってきたんだし、使」
「いません」
貪欲か、と笑いながら悟は電子レンジを使う必要のあるおかずを温めつつ、いくつかの飲み物と菓子をトレーに乗せてベッド横のコーヒーテーブルに置いた。その後温めたおかずをあてにビールから飲んでいく。グラスは出すのも面倒なのでお互い缶のまま飲んだ。
「つかよー、きっちゃんがよ、男同士のあれこれを俺に言うなって言ってくんだよ、冷たくね?」
「……何でも明け透けに言うなって言われたんでしょ。別に間違ってねえっすよ、あんたの友だち」
「あぁ? きっちゃんは昔から一番の友だちなんだぞ。んなもん何でも言うだろ。そーいうもんだろ」
「知らねえっすよ。つか名前何でしたっけ? なが何とか」
「きっちゃんっつってんだろ」
「何で俺があんたの友だちをそういう呼び方で呼ばねえとなんすか。嫌っすよ。名字教えてください」
そもそも例の友人の話など聞きたくもない。
「変なやつだな。きっちゃんはきっちゃんなのに」
缶ビール三本とチュウハイ一本。まだそんなに飲んでいないはずだが多分大典はもう酔っぱらってきている気がする。悟はニッコリと大典を見た。
「名字」
「っち。永谷だよ。なーがーたーに」
「うぜぇっすね、その言い方」
「お前マジ毒舌」
ジロリと睨むようにして大典は顔を近づけてくる。軽く鬱陶しいのとさらにほんのり軽く湧いた嗜虐心とでその近づけてきた顔に悟も近づけると唇を合わせた。そして何か言おうとした悟の舌をやんわりと唇で挟むとちゅっと吸い込むようにして引っ張り、そして噛んだ。
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