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17話
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「何やってんすか」
だが聞こえてきた悟の声に口から心臓を出しかける。
「お、起きてたのか」
「寝てましたよ。でも図体のデカイのがのしかかってきたら目も覚めます。何やってんすか」
「……し、仕返し的な?」
「何の」
何のと聞かれると改めて答えにくい。酔っていたせいで記憶は断片的だし、辛うじて覚えている欠片を集めてされたであろう「甚振り」の仕返しだと言っても何というか信憑性に欠ける。今の大典は未遂とはいえただの卑怯なレイプ魔でしかないはずだ。
「……悪かった。もうしない」
ろくでもないことをしようとした自分に引きながら、これ以上悟に嫌われたくないとも思う大典は青くなりながら退こうとした。だがその前に引き込まれ、大典は悟の上に倒れ込む。
「重」
「悪い、つかお前がいきなりひっぱっから」
焦って再度退こうとしたら横に転がされた。お互い向き合うような状態になったところで悟が毛布を掛け直した。
「……まだ早いでしょ……あんた年寄りっすか」
向き合っている大典を引き寄せるようにしながら悟が呟き、そのまま寝ようとする。
「お前と二歳しか変わんねえよ!」
「学生の頃ならデカいっすよ二歳」
「いつまで学生気分なんだよ俺ら大人だろが」
「ぶふ。あんたの口から出る『大人』って言葉ほど笑えるもんねえっすね。眠いのに笑わさんでくださいよ」
「ぁあっ? てめ、失礼極まりないだろ!」
「うるせぇんっすよ。あーくそ。マジ目ぇ覚めた。せっかく休みだってのにどうしてくれんすか」
「起きりゃいーだろが」
「俺は休みの日は惰眠を貪りたい派なんすよ。あんたのせいで台無し」
はぁ、とため息を吐きながら大典を見てくる悟に、今さらながらかなり近いと意識した。毛布に埋もれ向き合っている状態が悪くなさ過ぎてリアルに心臓が騒がしくなるのがわかる。
「……何急に興奮してんすか。マジ先輩半端ないっすねえー」
大典を見ながら悟が呆れたように笑っている。思わずこれはこのままいい感じにいけるのではと思いかけて大典は思いとどまった。眠っているところをどうにかしようとしていた自分にまだ反省しきれてもいないのに何を考えているのだと何とか堪える。
「そんで何悶々としてんすか」
「反省中なんだよ」
「反省? 何の」
「……実はな、俺、眠っているお前に触れようとしたんだ。おまけに今もなし崩し的にどうにかできるのではと思ってしまった。だから──」
「ぶは。マジ笑わせんのやめてくださいよ」
「ぁあ?」
「はー。ほんとあんた楽しい。悪くないっすね」
まだ少し笑いながら悟が体を起こしてきた。そして毛布が絡まった状態で大典の上にのしかかってくる。反省するはずが、そんな状態なのに毛布が絡まっているせいで体同士がいまいち触れ合えてなくてもどかしいなどと大典は少々混乱する頭の中で思っていた。
「あの……」
押し倒しているような体勢から大典の髪をとくように撫でてきた悟に、大典はおずおずと声をかけた。
「何すか」
「今これどういう状況なんだ……」
何なら昨日から遡って考えてみてもわからない。酔っていて記憶が断片的だったとしても、記憶の抜けているところどころに甘い展開があったとは百パーセント思えないし、今朝も先ほどから軽い言い合いはしたが後は大典が反省するようなことしかなかったはずだ。上になられ、髪を撫でられる流れがどうしてもいきなり吹っ飛んできたようにしか思えない。
「あんた、俺のこと好きなんでしょ」
「え? ああ当然だ。散々口説いてきたはずだろ。仕事中にどうかとも思うかもしれないがあれだけあ──」
「一聞いて十返すのやめてくださいよ、また笑うからほんと」
「別に笑わせるつもりなどな」
「俺が好きなら付き合いたいと思ってんでしょ」
「もちろんだ! だからああして俺」
「いいっすよ」
「おいさっきから途中で遮るな、って、え? 何が? え、あの、何がいいって?」
「だから付き合ってもいいっつってんすよ」
ぶわっと何かアドレナリンのようなものが頭を突き抜けそうになり、大典はまるで空気抜きをするかのように馬鹿みたいに口をポカンと開けた。
付き合う? え? マジで? え? コンビニに付き合ってもいいとかそういう? いやそんな話してねぇよな? あれ? え? マジ? つか、何でっ?
「……え? いつどのシーンでそういう風にお前思うとこあった? 最近俺何もカッコいいこと言えてなくね?」
「むしろ恰好いいこと言われた記憶自体ずっとありませんが」
「何て」
唖然とした顔で悟を見ると、悟は笑みを浮かべたまま起き上がってしまった。付き合っていいとまで言っておきながら、せっかくくっついているのなら普通ここでキスとかではないのだろうかと思ってしまいそうだったが、今はそれどころではないと大典は思考を戻す。
「付き合うってその、恋人になるっつー付き合うでいいんだよな?」
「他にどういう意味があるんっすか」
「な、ない! ないぞ。でもあの、何で? 何かそう思うきっかけ的なこと、あった? なんかあったっけか。……もしかして俺が勿体ないことに覚えてねえだけで実は昨日酔って俺、お前をめちゃくちゃ抱いたとか──」
「ねえっすね。あるわけないでしょ」
「ですよね! え、でもマジで何で……」
「あんたのいちいち笑わせてくれる言動が楽しいからと、あと何よりやっぱり泣いてるとこ最高なんで」
「何て」
だが聞こえてきた悟の声に口から心臓を出しかける。
「お、起きてたのか」
「寝てましたよ。でも図体のデカイのがのしかかってきたら目も覚めます。何やってんすか」
「……し、仕返し的な?」
「何の」
何のと聞かれると改めて答えにくい。酔っていたせいで記憶は断片的だし、辛うじて覚えている欠片を集めてされたであろう「甚振り」の仕返しだと言っても何というか信憑性に欠ける。今の大典は未遂とはいえただの卑怯なレイプ魔でしかないはずだ。
「……悪かった。もうしない」
ろくでもないことをしようとした自分に引きながら、これ以上悟に嫌われたくないとも思う大典は青くなりながら退こうとした。だがその前に引き込まれ、大典は悟の上に倒れ込む。
「重」
「悪い、つかお前がいきなりひっぱっから」
焦って再度退こうとしたら横に転がされた。お互い向き合うような状態になったところで悟が毛布を掛け直した。
「……まだ早いでしょ……あんた年寄りっすか」
向き合っている大典を引き寄せるようにしながら悟が呟き、そのまま寝ようとする。
「お前と二歳しか変わんねえよ!」
「学生の頃ならデカいっすよ二歳」
「いつまで学生気分なんだよ俺ら大人だろが」
「ぶふ。あんたの口から出る『大人』って言葉ほど笑えるもんねえっすね。眠いのに笑わさんでくださいよ」
「ぁあっ? てめ、失礼極まりないだろ!」
「うるせぇんっすよ。あーくそ。マジ目ぇ覚めた。せっかく休みだってのにどうしてくれんすか」
「起きりゃいーだろが」
「俺は休みの日は惰眠を貪りたい派なんすよ。あんたのせいで台無し」
はぁ、とため息を吐きながら大典を見てくる悟に、今さらながらかなり近いと意識した。毛布に埋もれ向き合っている状態が悪くなさ過ぎてリアルに心臓が騒がしくなるのがわかる。
「……何急に興奮してんすか。マジ先輩半端ないっすねえー」
大典を見ながら悟が呆れたように笑っている。思わずこれはこのままいい感じにいけるのではと思いかけて大典は思いとどまった。眠っているところをどうにかしようとしていた自分にまだ反省しきれてもいないのに何を考えているのだと何とか堪える。
「そんで何悶々としてんすか」
「反省中なんだよ」
「反省? 何の」
「……実はな、俺、眠っているお前に触れようとしたんだ。おまけに今もなし崩し的にどうにかできるのではと思ってしまった。だから──」
「ぶは。マジ笑わせんのやめてくださいよ」
「ぁあ?」
「はー。ほんとあんた楽しい。悪くないっすね」
まだ少し笑いながら悟が体を起こしてきた。そして毛布が絡まった状態で大典の上にのしかかってくる。反省するはずが、そんな状態なのに毛布が絡まっているせいで体同士がいまいち触れ合えてなくてもどかしいなどと大典は少々混乱する頭の中で思っていた。
「あの……」
押し倒しているような体勢から大典の髪をとくように撫でてきた悟に、大典はおずおずと声をかけた。
「何すか」
「今これどういう状況なんだ……」
何なら昨日から遡って考えてみてもわからない。酔っていて記憶が断片的だったとしても、記憶の抜けているところどころに甘い展開があったとは百パーセント思えないし、今朝も先ほどから軽い言い合いはしたが後は大典が反省するようなことしかなかったはずだ。上になられ、髪を撫でられる流れがどうしてもいきなり吹っ飛んできたようにしか思えない。
「あんた、俺のこと好きなんでしょ」
「え? ああ当然だ。散々口説いてきたはずだろ。仕事中にどうかとも思うかもしれないがあれだけあ──」
「一聞いて十返すのやめてくださいよ、また笑うからほんと」
「別に笑わせるつもりなどな」
「俺が好きなら付き合いたいと思ってんでしょ」
「もちろんだ! だからああして俺」
「いいっすよ」
「おいさっきから途中で遮るな、って、え? 何が? え、あの、何がいいって?」
「だから付き合ってもいいっつってんすよ」
ぶわっと何かアドレナリンのようなものが頭を突き抜けそうになり、大典はまるで空気抜きをするかのように馬鹿みたいに口をポカンと開けた。
付き合う? え? マジで? え? コンビニに付き合ってもいいとかそういう? いやそんな話してねぇよな? あれ? え? マジ? つか、何でっ?
「……え? いつどのシーンでそういう風にお前思うとこあった? 最近俺何もカッコいいこと言えてなくね?」
「むしろ恰好いいこと言われた記憶自体ずっとありませんが」
「何て」
唖然とした顔で悟を見ると、悟は笑みを浮かべたまま起き上がってしまった。付き合っていいとまで言っておきながら、せっかくくっついているのなら普通ここでキスとかではないのだろうかと思ってしまいそうだったが、今はそれどころではないと大典は思考を戻す。
「付き合うってその、恋人になるっつー付き合うでいいんだよな?」
「他にどういう意味があるんっすか」
「な、ない! ないぞ。でもあの、何で? 何かそう思うきっかけ的なこと、あった? なんかあったっけか。……もしかして俺が勿体ないことに覚えてねえだけで実は昨日酔って俺、お前をめちゃくちゃ抱いたとか──」
「ねえっすね。あるわけないでしょ」
「ですよね! え、でもマジで何で……」
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