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19話 ※
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「先輩、珍しく落ち込んでんすか」
終業後、それこそ珍しく悟のほうから話しかけてきた。
「落ち込んでねえ。ただそろそろどうしていいかわからんくなってきただけだ」
元々自分から行くことがなかったので、自分の見た目だけは自信はあるものの、どう誘えば上手くいくかなどいまいちわからない。それでも積極的にすればどうにかなると思っていたが、そもそも悟を他の一般的な人と一緒に考えること自体が間違っていたようだと最近そろそろ気づき始めてはいた。おかげさまでネタ不足だ。思うように誘っても全然その気になってくれない相手にこれ以上どうしろと。
「諦めんでくださいよ」
悟が優しい笑顔を見せてくれる。
「悟……」
「あんたの無駄なくらい馬鹿な言動が面白いんですから」
「……悟」
天国から地獄へ叩き落されたところで「明日は休みですし俺の家に来ますか?」と悟から誘ってきた。また天国だ。だがさすがにもうわかっている。この後結局何もなくて地獄へ叩き落されるのだ。
「……行く」
それでも好きなものは好きなので仕方がない。どうせなら悟をよく知る前に飽きて好きにならなければよかったのにと思う。完全に好きになってしまえば地獄へ叩きつけられてもなお好きなようで、少々自分の性癖がヤバいものではないだろうかと心持ち心配だが、それはさておき素っ気なくされるせいで飽きることもできなかったのだろう。
「……あの、悟サン?」
訓練された犬かのごとく全く期待していなかった大典はその後、今の現状がさっぱり理解できず悟を見た。
家へ行って夕飯を食べ、「どうせなら泊まっていくといい」とまで言われても期待の片鱗すらもう持つことはなかった大典だが、シャワーを先に借りてだらだらと勝手に悟のベッドに横たわり、大して興味のない雑誌を見ていたところ風呂から出てきた悟に襲われていた。
「何すか? つかさん付けとか気持ち悪いんっすよね」
「いや、だって……だってびっくりして目玉だって落ちそうになってんだわ俺! 何でこうなった? 何かあの、そのきっかけとかありましたっ?」
キスくらいは今までもされていた。主に甚振られるためだけにされていた。その度に期待して興奮しては役に立てることのなかった大典の大典も、今ではさすがに期待にものを膨らませることすらしていなかったというのに、悟はそのまま自分が貸した部屋着を乱して大典の体にもキスをしてきたのだ。それだけでなく、今、お利口にしていた大典の大典にまで触れてきている。動揺しないほうがおかしい。
「きっかけって。あんたと俺は付き合ってんすよね? じゃあ別におかしいこと何もないだろ?」
ある。
だって今までどれだけ肩透かしを食らってきたか。
だが驚きに気持ちを全部持っていけるほど達観できている大人ではないため、ついでにそういうことに疎いのかとさえ思いかけていた悟の、体へのキスも性器に触れてくる手も実は慣れているのかとてつもなく上手いため、大典は情けないことにあっという間に達してしまった。
「早いっすね。早漏?」
「うるせぇ……! ちげーに決まってんだろ普通だわ! ただその、最近ご無沙汰だったのと予想外過ぎる状況なのと、あと純粋にお前にされて興奮したんだよ!」
クソ、と悪態をつきながら、今度は自分の番だとばかりに悟を押し倒そうとして腕を捻られた。
「いっ、ちょ、何すんだよ……何でここで俺技食らってんの?」
「俺を押し倒すなんて六十年は早いっすよ」
「百年とかならまだしも何その妙に本気みある年数……。つか何でだよ。お前気持ちよくなりたくないのか?」
「なりてぇっすよ。俺も男なんで」
「じゃあ何で……」
「押し倒されんの、好きじゃねえんで」
「は? えっと、襲いウケとかオラネコ的な?」
「ちょっと何言ってんのかわからねぇっすけど、少なくともウケとネコはわかりますよ。あんたのことっすよね」
「何て」
唖然としながらも体のほうが頭が追いつく理解よりも反応が早かったようだ。しかし咄嗟に逃げようとして逆に押し倒される。
「待て。ちょっと俺とお前との間に越えられない壁的な認識相違がある気がしてる」
「どうしたんすか先輩。難しめな言葉も使えるんですね」
「俺を馬鹿にしてもいいからちょっと離して。そんで話し合おう」
「嫌っす」
悟がこれでもかというくらい優しい笑顔で囁いてきた。
「本当はもっとじわじわあんたを焦らして、そんでようやく触っても、泣いてお願いだからもう入れてくれって頼んでくるくらいケツもゆっくりじっくり慣らしていく予定だったんすよ。俺はあんたの反応見てるだけで十分気持ちよかったですしね。でもその前にあんたが楽しい反応見せてくれなくなりそうだったんで方針変えました」
「待て。待って。色々ツッコミどころしかねぇけどとりあえずお願い。俺、そっちのつもりじゃねえ……! 無理。無理だから待って」
「大丈夫。俺、鬼畜でもないしあんたの体を傷つけて喜ぶ変態でもないので」
「前に舌噛んできたの覚えてんぞ……! つか俺の精神痛めつける変態ではある、絶対ある! 無理、マジ無理だって……」
泣きそうになっているとますます優しい表情を見せてくれた。だがもう間違えない。優しい表情であればあるほど絶対に中身は優しくないはずだ。そう考え、酔ってもないのに思わずポロリと涙を一粒落としてしまった。
「安心して先輩。俺、ちゃんとそんな風に泣いちゃうあんたを愛しいと思ってるから。それに大事にケツの穴も扱ってあげますし。じゃあまず浣腸から始めましょうか」
何一つ安心できない。
青ざめている大典に対し、悟は嬉しそうにニコニコとしてきた。
その浣腸だが、それからして信じられない体験をさせられた。浣腸自体した覚えが今までに多分ないが、ドラッグストアで売っている市販の浣腸を使うんだとてっきり思っていたら「あれは便意を促す成分入ってんすよ。俺別にあんたの腹下しやうんこには興味ないんで」と言われてまた泣きそうだった。結局何で浣腸させられたかというと、これまたドラッグストアで売っているゼリー飲料容器でだ。よくある栄養ゼリーのやつだ。ちゃんと洗って清潔にして乾かしてあると言われ、むしろ準備してたのかと少し嬉しくなってしまった自分が痛ましいと大典はこっそり思った。
まだ体の関係すらない状態で先に肛門を思い切り見られたことも痛ましい。ローションを塗られ、その容器を差し込まれた。もちろん吸い込み口は小さいので痛くはなかったが心が痛かった。ぬるま湯が入っているらしく、少し中身を入れられた後「便意あるまでこのままで」と優しく囁かれた。声と言葉は優しいが、その実ちっとも優しくない。おまけに便意はすぐに来たが「もうちょっと我慢してみてくださいよ」と楽しそうに言われた。この歳でお漏らしするかもと思うと勝手に泣けてきて「お願い」と必死に頼むと案外すぐに行かせてくれた。それだけでちょっと優しいと思ってしまう。その後ぬるま湯を入れては排泄という流れを何度も繰り返させられた。
終業後、それこそ珍しく悟のほうから話しかけてきた。
「落ち込んでねえ。ただそろそろどうしていいかわからんくなってきただけだ」
元々自分から行くことがなかったので、自分の見た目だけは自信はあるものの、どう誘えば上手くいくかなどいまいちわからない。それでも積極的にすればどうにかなると思っていたが、そもそも悟を他の一般的な人と一緒に考えること自体が間違っていたようだと最近そろそろ気づき始めてはいた。おかげさまでネタ不足だ。思うように誘っても全然その気になってくれない相手にこれ以上どうしろと。
「諦めんでくださいよ」
悟が優しい笑顔を見せてくれる。
「悟……」
「あんたの無駄なくらい馬鹿な言動が面白いんですから」
「……悟」
天国から地獄へ叩き落されたところで「明日は休みですし俺の家に来ますか?」と悟から誘ってきた。また天国だ。だがさすがにもうわかっている。この後結局何もなくて地獄へ叩き落されるのだ。
「……行く」
それでも好きなものは好きなので仕方がない。どうせなら悟をよく知る前に飽きて好きにならなければよかったのにと思う。完全に好きになってしまえば地獄へ叩きつけられてもなお好きなようで、少々自分の性癖がヤバいものではないだろうかと心持ち心配だが、それはさておき素っ気なくされるせいで飽きることもできなかったのだろう。
「……あの、悟サン?」
訓練された犬かのごとく全く期待していなかった大典はその後、今の現状がさっぱり理解できず悟を見た。
家へ行って夕飯を食べ、「どうせなら泊まっていくといい」とまで言われても期待の片鱗すらもう持つことはなかった大典だが、シャワーを先に借りてだらだらと勝手に悟のベッドに横たわり、大して興味のない雑誌を見ていたところ風呂から出てきた悟に襲われていた。
「何すか? つかさん付けとか気持ち悪いんっすよね」
「いや、だって……だってびっくりして目玉だって落ちそうになってんだわ俺! 何でこうなった? 何かあの、そのきっかけとかありましたっ?」
キスくらいは今までもされていた。主に甚振られるためだけにされていた。その度に期待して興奮しては役に立てることのなかった大典の大典も、今ではさすがに期待にものを膨らませることすらしていなかったというのに、悟はそのまま自分が貸した部屋着を乱して大典の体にもキスをしてきたのだ。それだけでなく、今、お利口にしていた大典の大典にまで触れてきている。動揺しないほうがおかしい。
「きっかけって。あんたと俺は付き合ってんすよね? じゃあ別におかしいこと何もないだろ?」
ある。
だって今までどれだけ肩透かしを食らってきたか。
だが驚きに気持ちを全部持っていけるほど達観できている大人ではないため、ついでにそういうことに疎いのかとさえ思いかけていた悟の、体へのキスも性器に触れてくる手も実は慣れているのかとてつもなく上手いため、大典は情けないことにあっという間に達してしまった。
「早いっすね。早漏?」
「うるせぇ……! ちげーに決まってんだろ普通だわ! ただその、最近ご無沙汰だったのと予想外過ぎる状況なのと、あと純粋にお前にされて興奮したんだよ!」
クソ、と悪態をつきながら、今度は自分の番だとばかりに悟を押し倒そうとして腕を捻られた。
「いっ、ちょ、何すんだよ……何でここで俺技食らってんの?」
「俺を押し倒すなんて六十年は早いっすよ」
「百年とかならまだしも何その妙に本気みある年数……。つか何でだよ。お前気持ちよくなりたくないのか?」
「なりてぇっすよ。俺も男なんで」
「じゃあ何で……」
「押し倒されんの、好きじゃねえんで」
「は? えっと、襲いウケとかオラネコ的な?」
「ちょっと何言ってんのかわからねぇっすけど、少なくともウケとネコはわかりますよ。あんたのことっすよね」
「何て」
唖然としながらも体のほうが頭が追いつく理解よりも反応が早かったようだ。しかし咄嗟に逃げようとして逆に押し倒される。
「待て。ちょっと俺とお前との間に越えられない壁的な認識相違がある気がしてる」
「どうしたんすか先輩。難しめな言葉も使えるんですね」
「俺を馬鹿にしてもいいからちょっと離して。そんで話し合おう」
「嫌っす」
悟がこれでもかというくらい優しい笑顔で囁いてきた。
「本当はもっとじわじわあんたを焦らして、そんでようやく触っても、泣いてお願いだからもう入れてくれって頼んでくるくらいケツもゆっくりじっくり慣らしていく予定だったんすよ。俺はあんたの反応見てるだけで十分気持ちよかったですしね。でもその前にあんたが楽しい反応見せてくれなくなりそうだったんで方針変えました」
「待て。待って。色々ツッコミどころしかねぇけどとりあえずお願い。俺、そっちのつもりじゃねえ……! 無理。無理だから待って」
「大丈夫。俺、鬼畜でもないしあんたの体を傷つけて喜ぶ変態でもないので」
「前に舌噛んできたの覚えてんぞ……! つか俺の精神痛めつける変態ではある、絶対ある! 無理、マジ無理だって……」
泣きそうになっているとますます優しい表情を見せてくれた。だがもう間違えない。優しい表情であればあるほど絶対に中身は優しくないはずだ。そう考え、酔ってもないのに思わずポロリと涙を一粒落としてしまった。
「安心して先輩。俺、ちゃんとそんな風に泣いちゃうあんたを愛しいと思ってるから。それに大事にケツの穴も扱ってあげますし。じゃあまず浣腸から始めましょうか」
何一つ安心できない。
青ざめている大典に対し、悟は嬉しそうにニコニコとしてきた。
その浣腸だが、それからして信じられない体験をさせられた。浣腸自体した覚えが今までに多分ないが、ドラッグストアで売っている市販の浣腸を使うんだとてっきり思っていたら「あれは便意を促す成分入ってんすよ。俺別にあんたの腹下しやうんこには興味ないんで」と言われてまた泣きそうだった。結局何で浣腸させられたかというと、これまたドラッグストアで売っているゼリー飲料容器でだ。よくある栄養ゼリーのやつだ。ちゃんと洗って清潔にして乾かしてあると言われ、むしろ準備してたのかと少し嬉しくなってしまった自分が痛ましいと大典はこっそり思った。
まだ体の関係すらない状態で先に肛門を思い切り見られたことも痛ましい。ローションを塗られ、その容器を差し込まれた。もちろん吸い込み口は小さいので痛くはなかったが心が痛かった。ぬるま湯が入っているらしく、少し中身を入れられた後「便意あるまでこのままで」と優しく囁かれた。声と言葉は優しいが、その実ちっとも優しくない。おまけに便意はすぐに来たが「もうちょっと我慢してみてくださいよ」と楽しそうに言われた。この歳でお漏らしするかもと思うと勝手に泣けてきて「お願い」と必死に頼むと案外すぐに行かせてくれた。それだけでちょっと優しいと思ってしまう。その後ぬるま湯を入れては排泄という流れを何度も繰り返させられた。
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