氷の王子

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7話 ※

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 圭悟は生ぬるい目で大地を見ていた。
 昼休みに皆がたむろしている空き教室で昼飯を食べていると「悪い遊びを教えろ」などと急に言い出す大地を生ぬるい目で見る以外どうすればいいんだと微妙に思いながら。

「アイツ、まさか本当のバカじゃないだろな」

 その日、圭悟が学校の帰りに勝一と寮に向かいながら呟くと「あー」と勝一は苦笑している。

「総司よりはマシじゃね?」
「総司より酷かったらむしろもう終わりだろ、色々」
「何気にひでぇな。間違ってねーけど。まあ大地もその『悪い遊び』? とやらがどういう意味かは多少分かって言ってるとは思うけどよ」
「……いや、うん、そうだろうけどたまに予想外なこと言ったりしたりするから侮れない。顔も無駄に可愛いから危ないんだよな」
「あー、って無駄って」

 二人ともこの学校では寮生活をしており、今も寮に帰っている途中だった。
 この学校は全寮制ではないので遠くから来ている者だけが寮に入っており、大地たちのように通学範囲なら普通に通学している。
 そして圭悟と勝一は同室だった関係で知り合いになり、ついでに今現在付き合っている。
 大地とは一年生の時から圭悟が同じクラスだった。一年の時に大地と仲良くしているのを知った先生によって、多分二年でも同じクラスにされたような気しか、圭悟はしていない。現に事あるごとに担任や他の先生から「おい、立原はどうした」と聞かれる。
 圭悟も普通だったらいちいち人の面倒なんか見てられるかと思うが、どうにも大地に関しては友だちながらに少々過保護な部分もあって、基本放置しつつも目は光らせてしまう。

「ほんとに変なこと覚えようとしなければいいけど」
「……アイツ、バカだけどお勉強がバカなだけで基本的にはそんなには、多分バカじゃねえよ」

 自分たちの部屋に戻るとジャケットを脱いでいる圭悟に勝一が苦笑してきた。
 部屋はダイニングキッチン的なスペースが共有で寝室は各々あるので圭悟はそのまま自分の部屋に向かう。

「まあ、そうかもだけどさ」
「つかお前いつも素っ気ねーな。なんで部屋戻ったらソッコーで自分の部屋入んの?」

 むすっとしながら勝一が圭悟の腕をつかんできた。その手を見ながら圭悟はため息をつく。

「素っ気ないとかじゃなくて、ただ単に外から戻ったら服を着替えたいだけだ。お前、前もそんなこと聞いてきてただろが」
「あー? そうだっけ? まあそういうとこ、お坊ちゃんらしくて悪くねえな」
「うるさい。そういうことだから手、離せ」

 まだ手をつかんだままの勝一を圭悟が睨むと、勝一はニヤリと嫌な笑みを浮かべてきた。

「いいよ、着替えたら」
「……だったら離れろよ」
「何だよ、手伝ってやるだけだろ」
「何を」
「脱ぐのを」

 ニコニコとしながら勝一は圭悟の部屋のドアを開ける。そして腕をつかんだまま背後に回り込み、圭悟のセーターを脱がせてきた。

「はい、ばんざーい」
「ボケ、勝一が手、つかんでんのに万歳できるかよ」
「あーそっか」

 圭悟が睨んでも気にした様子もなく、だが一旦手を離すとセーターを完全に脱がせる。

「ジャケットの下にセーターってまだ暑くね?」
「空調が効いてるから暑くない。っていうか一人で着替えるからお前、出ろよ」
「圭悟ってちょっと潔癖症まではいかなくてもうるせぇよな。俺別に制服のまま遊べるし寛げるしセックスもできるけど」
「お前はな! 俺は嫌だっつってるだろ、だいたいどこでスイッチ入っ……っちょ」

 言い返している途中で勝一はまた圭悟の腕をつかむと背後からもう片方の手で圭悟のシャツボタンを外してくる。

「俺、器用だからさ、片手でもほら、外すの上手いだろ?」
「お前に脱がせてもらうつもりはないと言ってるだろ!」
「まぁまぁ」

 相変わらずニコニコとしたまま勝一は圭悟を押してベッドのところまで連れてくるとそのままベッドに圭悟を背後から押しつけてきた。

「ヤる気、俺は、な……」
「どうせ着替えるんだしいいじゃん。それに圭悟だってすぐその気になるくせに」

 勝一は圭悟をベッドに押しつけたまま、前がはだけたシャツをそれぞれ肘あたりまでずらしてくると中途半端なまま無理やり結びだした。そのせいで圭悟は腕を背後にまわした形で固定される。

「お前、なに考えてんだ、半殺すぞ」
「半分も殺されんかよ。相変わらずひでぇの」

 身動きがとり辛くなった圭悟の背後から覆いかぶさると勝一は構わず手で愛撫していく。

「制服、嫌だっつってんだ、ろ……!」
「あーはいはい。ちゃんと脱がしてやるから」
「ざけんな」

 悪態をつかれようが気にせず勝一は圭悟のズボンのベルトに手をかける。そしてそのまま下着まで一気にずらした。

「くそ、まぬけな恰好させてくるな! それにズボン、皺になるだろが」
「あーマジお前は」

 勝一はさらに圭悟の体をベッドに乗せると下を全部脱がせる。そして制服のズボンを勉強机の椅子にぞんざいにかけた。

「おま、それじゃ……」
「あーもう、うるせぇ圭悟。制服と俺、どっちが大事なんだよ」
「バカだろお前」
「そんな言葉利けんのも今の内だからな。どうせすぐ、ぐずぐずになんのに」
「なるか!」
「なる」
「なら……っんぅ」

 言いかけたところで勝一の手が先ほどの曖昧な愛撫と違って的確に胸と下腹部を刺激してきた。

「ほら、もうなりかけんだろ」
「っぁ、あ……っ死ね」
「なんでだよ!」

 死ねなどと言いながらも、圭悟の胸の先はとがり、下腹部も硬く勃ちあがったものから既に透明な液が勝一の手とシーツを濡らしている。

「制服汚すの嫌なのにシーツはいいんか?」
「いいわけ、ない、だろ……っ。こんな恰好とか、許さない」
「えー。んなこと言うなよ、俺はこんなに愛してんのに?」
「ほんっと死ねっ。……っぁあ、あっ、あ」

 勝一の指が圭悟の後ろの穴の中にゆっくりと挿っていく。

「圭悟の濡らしたもんだけで後ろまでぐずぐずにすぐなんのな? 昨日してからどんだけ時間経ってんだよ。なのにまだ柔らかいとか、お前文句言いながらも体受け入れすぎじゃねーの?」
「うるさい、ほんっともう、お前最悪、絶対後で七割は殺す……っ」
「んだよ、半殺しから増えてんだろが! あ、でも浮気した時よりはマシなのね? もし浮気したら九割なんだろ? かーわい、圭悟」
「っぁあ、あっ、あ、ひっ」

 かわいいと言いながらも勝一は指を抜いて背後から圭悟の中をゆっくりと貫いた。あまり指で慣らさなくても受け入れてきたとはいえ、そのまま暫く慣らすために留まる。

「あーでももう、俺我慢無理かも」
「く、そ……っぁああっんっ」

動き出すと圭悟の体もそれに合わせて揺れる。少し浮かせているせいで圭悟のものがシーツにゆるゆると擦る形になり、それがまた圭悟をなんともいえない気分にさせていた。

「ほんとかわいいんだからさー圭悟」

 耳元で囁きながら、勝一はさらに自分のものを突き上げるようにして何度も貫いていった。



「お前とうとうアイツらとどっかの喧嘩に参加でもしてきたんか」

 翌日勝一を見た大地がポカンとしながらそんなことを言ってきた。

「ちげぇ。あれだ、転んだ」
「は? バカじゃねーの? なあ、圭悟」
「ああ、多分相当バカなんだろ」

 呆れたように言ってくる大地の横で圭悟はジロリと冷たい視線を勝一に送ってくる。

「……くそ、大地にバカとか言われるとか」

 冷たい視線に対してはなんとも思わないのか勝一が大地に対してため息をつきながらそんなことを呟いていた。
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