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20話 ※(終)
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「なぁ、もういいんじゃないのか」
「だめ、しっかり解さないと……」
「どんだけさっきからやってると思ってんだよ、もう多分解れた」
「多分って何……。初めてなんだからちゃんとしないと」
先ほどからそういう問答ばかりしていて、改めて逆じゃないかと麻輝は思う。普通は受け入れるほうが心配するのではないのだろうか。いや、経験が全くないので普通もなにもわからないが、少なくとも黒兎の態度は適当……とりあえず男らし過ぎると思った。
黒兎のものを弄っている時は凄く積極的に楽しんでいたようにしか思えなかったが、後ろの穴を解す段階になると楽しみにしていたくせに黒兎は面倒くさがった。理由は「見えないから」だそうだ。
「見えないって……何」
「お前の手が俺の中弄ってるとこ」
「クロ……」
そういうヤツだとはわかってはいたが本当に、と麻輝は少々遠い目になった。真面目にとても大好きだからこそ、変な部分はちゃんと変だと思う。
だがひたすら慣らし、指を増やしている内に黒兎が時折切なそうな、気持ちのよさそうな顔をする時がある。その表情を見ていると麻輝もまた酷く興奮してきた。
「今のとこ、いいの……?」
「ん……ちょっとまだよくわかんない……」
はぁ、とため息を吐きながら言う黒兎がやはりかわいくて、麻輝のものが限界を訴えてきた。何度も黒兎の言動で、微妙な気持ちになるたびに萎えることはないが少し楽にはなっていたのだが、そろそろいい加減解き放ってくれ、と暴動を起こしかねない。
「……ごめん、やっぱり……入れていいか、な……」
「いいよ」
「……クロ、軽いけど怖くないの? あの、初めて、で合ってるんだよ、ね?」
さすがに少々気になる。
黒兎は仰向けで軽く足を上げたまま、笑いかけてきた。
「キスごと初めてだ。でも、多分相手がお前だからかな、怖くない」
その言葉に麻輝はさらに気持ちが高ぶった。
「……もう……煽んないで……」
堪らず呟くと怪訝な顔をされた。むしろ黒兎は麻輝の何に煽られてくれるんだろうと思ったところで即自分の中の自分が「手だろ……」と回答してくる。実際今も黒兎の膝裏をつかむと、黒兎の視線が麻輝の指に釘付けになっていた。
「えーっと、ごめんね、ゴムまでその、用意してくれて……」
実はコンドームまで黒兎に提供された。麻輝はそこまで思い付けなかった。ますます自分が情けないと思う。
「そんなの構わない」
「ありがとう……クロ……好きだよ」
ちゅっとキスをして囁くと、麻輝はローションで濡らした自分のものを黒兎の中に入れていく。初めてのことで挿入するのに少し戸惑ったが、なんとか先からカリの部分、と一番太い部分が入っていく。中の感触と締めつけはとてつもなかった。入れた瞬間、達しそうだった。
「っぅ」
「っは、ぁっ」
だが麻輝よりもひときわ大きな声が黒兎の口から洩れる。だが今のは喘ぎ声というより痛みか圧迫感からだろうと、麻輝は心配しながら「痛い?」と聞いた。
「……ちょっと」
「ぬ、抜こうか……っ?」
「は? 入れたばっかだろが。それより俺の尻を弄ってない方の手、貸して……」
貸して、と言われてつい条件反射のように片方の手を伸ばすと、グイッと引っ張られた。その拍子に思わず腰が動き、抜けないようにする反動で深く入った。
「ぁ……っ」
きゅっと目を瞑ってから薄らと開き、黒兎はつかんだ麻輝の手を自分の顔まで近づける。
「なあ……舐めて、いい?」
何を、とは聞かなかった。少し微笑みながら麻輝が「いいよ」と頷くとすぐさまつかんだ麻輝の手に舌を這わせてくる。
その様子が堪らなく煽情的で、そして黒兎の舌が指を這う様が気持ちよくて、麻輝は息を震わせながら何とか自制心を奮い立たせる。さもないと今すぐにでも達してしまいそうだ。
「お前の手、舐めるの夢だった……」
「っ、え。夢が……、そんな、でいいの……?」
「最高……、っあ、は……」
黒兎はうっとりと麻輝の手を舐めたりキスしたり、ひたすら眺めながら時折体を反らせてくる。そのたびに自分のものが黒兎の中で大きくなる気がする。そしてそのたびに黒兎が小さな悲鳴を上げる。
「ま、まだ痛い?」
「慣れて、きた……っんん、あっ」
「ごめんね、大好きだよ……クロ……大好き、クロとこうしてるの、嬉しくてどうにか、んっ、なりそうっ」
その前に本気で達しそうだ。これ以上堪えられそうになかった。
「クロ、ごめ、も、イきそっ」
「いいよ……俺、お前の手、舐めてたい、ぁっ、は……っ、から、自分で、扱く……」
痛みはまだあるようだが、黒兎のものはありがたいことに萎えてはいなかった。それを黒兎はつかむと、麻輝の手に舌を這わせながら自分で扱きだす。何て光景だと麻輝は思った。
「ん、ぁ、あっ、あ……」
おまけに黒兎の中もただでさえキツいのにさらに収縮し出した。
黒兎の、麻輝の手を舐めてくるところも、シャツがめくれ上がって覗いている尖った乳首も、そして自分で擦る様子も、麻輝にとっては何もかも自分の想像の限界を超えて煽情的で、童貞には過酷過ぎた。
この人、何でこんなに残念なのに、こんなにやらしーの……っ?
「ク、ロ……っ、ぁ、あ……っ」
思い切り突き上げると、コンドームに包まれているとはいえ黒兎の中で麻輝は激しく吐精する。
「っあ、あ……っ、んっああぁっ」
黒兎のものからも二度目とはいえ勢いよく白濁がビュクビュク、と飛び出した。
あれ程黒兎に触れるのを避けていた麻輝だが、今はそれを取り返さんばかりに沢山触れている。
髪に触れるだけである意味死にそうだった頃から成長したかと言えば残念ながらあまりしていない。今でも黒兎の髪や頬、肩や手に触れるだけでとてつもなくドキドキとする。だが以前は触れてしまえば我慢できなくて襲ってしまうのが怖くて触れないようにしていたが、今はその怖さはない。触れてそのまま抱きたくなったら、二人きりであれば黒兎は受け入れてくれる。ちゃんとそういう仲になっている。
ちなみに麻輝と黒兎が付き合っているのは、今では青貴だけでなく麦彦も知っている。
青貴に言った時は何故かホッとしたように「よかったな」と言われたのでいいやつだなと麻輝は感動したのだが、後で聞けば「これで鬱陶しいほど相談されなくなるから」だったからだそうだ。もちろんこれからも恋人がいる先輩として大いに相談しようと麻輝は心に決めた。
麦彦にはとてつもなくポカンとした後で「イケメン同士なにやってんだ」と呆れられた。敬遠されるだろうかと少し思ったが、その後は意外なほど全く気にしてこない。ただし「俺の部屋でもあるんだからヤりまくるにしてもちゃんと配慮してくれよ」とそれこそ配慮してくれといったことを堂々と言い放ってきた。
触れることに関して、黒兎は黒兎で以前だと無意識無自覚無配慮で散々麻輝の手に触れてきていたが、今はわかった上で他にも触れてくるようになった。麻輝と同じように髪や頬に触れる。黒兎も麻輝をちゃんと好きでいてくれるんだと嬉しい反面、 そのたびに麻輝は黒兎を押し倒したくなるのでそこだけ少し困る。
ただ、やはり今でも一番好きなのは麻輝の手のようだ。普段は前と変わらない様子で手に触れてくるが、行為の最中は触れるだけじゃなく、ひたすら舐めたりやんわり噛んだりしながらとても気持ちよさそうにしている。いずれ冗談ではなく麻輝の手を愛撫するだけで達するのではないかとさえ思ってしまう。おまけにたくさん自分の体のあらゆるところへ触れさせて、まるで大人の玩具で弄ばれているかのような反応を見せてくる。
もちろんとてつもなく情欲を煽られるが、思わず自分の手とはいえその手に成り代わりたいとさえ思う。
「自分の手に嫉妬しそう」
つい言えば「お前の手だから余計に堪らなく好きだしエロいんだよ」と笑われ、そしてまた指を咥えながら熱いため息を吐いてくる。
……エロいのは君だよ。
麻輝はそのたびに結局嫉妬も忘れて真っ赤になりながら黒兎を堪能する。
黒兎の「マキが好き」という気持ちは疑っていない。麻輝からしたらあまりに突然ではあったが黒兎曰く「知らない間に好きになってたことに最近気づいた」のだそうだ。黒兎らしいとむしろ思う。
それでも疑っているのでも知りたいのでもなく、ただ聞きたいから、つい麻輝は「ほんとに好き?」「どこが好き?」「どう思ってる?」などと聞いてしまう。
「そういえば今度抗議しようと思ってたんだ」
「え、何を?」
「ほらまた。お前はちょっと質問が多すぎる。それも聞いて答えが返ってくる前にまた別の質問するだろ」
「……ごめん」
黒兎もよく「何で」と聞いてきていたが、そう言われてみるとそうかもしれなく、自分のほうがたちが悪いとばかりに麻輝がしおらしく謝ると、黒兎が続けてきた。
「ちゃんと答えられるなら答える。わからない時はわからないって言う。黙ってる時はもう相手するのも面倒くさい時」
「面倒くさい、は切ない……君が普段手のこと以外では無口なのわかってるけど」
すると黒兎がニヤリと笑ってきた。
「……何」
「お前の手で俺の体を沢山触れたりなにかしたりしてるのを見せてくれたり撮らせてくれるなら、毎回頑張って答える」
「君は安定過ぎるよ……!」
「そんな引いたような顔しながら、下を硬くするマキも大概だけどな。お前も俺に触るのだけじゃなくて、俺がお前の手をエロいもののように扱うの、実は好きだろ」
だって仕方がない。君がどうあっても大好きなんだ。
「クロが大好きだからだよ」
前なら心の中でだけしか言えなかった言葉を、とても愛おしく告げる。すると手に関することなら羞恥心をどこかへ置き忘れてきたとしか思えない黒兎が少し顔を赤くしながらフイッと顔を逸らす。
普段は真顔で「マキが好きだよ」と言ってくる黒兎が、こういった時だけ絶対何も言わない。いや、たまにふと、「これじゃあ文学作品に出てくる情けないやつだ」などとよくわからないことを呟いてくることはある。
そんな黒兎がそしてまた、麻輝は愛おしく、大好きで堪らない。
「だめ、しっかり解さないと……」
「どんだけさっきからやってると思ってんだよ、もう多分解れた」
「多分って何……。初めてなんだからちゃんとしないと」
先ほどからそういう問答ばかりしていて、改めて逆じゃないかと麻輝は思う。普通は受け入れるほうが心配するのではないのだろうか。いや、経験が全くないので普通もなにもわからないが、少なくとも黒兎の態度は適当……とりあえず男らし過ぎると思った。
黒兎のものを弄っている時は凄く積極的に楽しんでいたようにしか思えなかったが、後ろの穴を解す段階になると楽しみにしていたくせに黒兎は面倒くさがった。理由は「見えないから」だそうだ。
「見えないって……何」
「お前の手が俺の中弄ってるとこ」
「クロ……」
そういうヤツだとはわかってはいたが本当に、と麻輝は少々遠い目になった。真面目にとても大好きだからこそ、変な部分はちゃんと変だと思う。
だがひたすら慣らし、指を増やしている内に黒兎が時折切なそうな、気持ちのよさそうな顔をする時がある。その表情を見ていると麻輝もまた酷く興奮してきた。
「今のとこ、いいの……?」
「ん……ちょっとまだよくわかんない……」
はぁ、とため息を吐きながら言う黒兎がやはりかわいくて、麻輝のものが限界を訴えてきた。何度も黒兎の言動で、微妙な気持ちになるたびに萎えることはないが少し楽にはなっていたのだが、そろそろいい加減解き放ってくれ、と暴動を起こしかねない。
「……ごめん、やっぱり……入れていいか、な……」
「いいよ」
「……クロ、軽いけど怖くないの? あの、初めて、で合ってるんだよ、ね?」
さすがに少々気になる。
黒兎は仰向けで軽く足を上げたまま、笑いかけてきた。
「キスごと初めてだ。でも、多分相手がお前だからかな、怖くない」
その言葉に麻輝はさらに気持ちが高ぶった。
「……もう……煽んないで……」
堪らず呟くと怪訝な顔をされた。むしろ黒兎は麻輝の何に煽られてくれるんだろうと思ったところで即自分の中の自分が「手だろ……」と回答してくる。実際今も黒兎の膝裏をつかむと、黒兎の視線が麻輝の指に釘付けになっていた。
「えーっと、ごめんね、ゴムまでその、用意してくれて……」
実はコンドームまで黒兎に提供された。麻輝はそこまで思い付けなかった。ますます自分が情けないと思う。
「そんなの構わない」
「ありがとう……クロ……好きだよ」
ちゅっとキスをして囁くと、麻輝はローションで濡らした自分のものを黒兎の中に入れていく。初めてのことで挿入するのに少し戸惑ったが、なんとか先からカリの部分、と一番太い部分が入っていく。中の感触と締めつけはとてつもなかった。入れた瞬間、達しそうだった。
「っぅ」
「っは、ぁっ」
だが麻輝よりもひときわ大きな声が黒兎の口から洩れる。だが今のは喘ぎ声というより痛みか圧迫感からだろうと、麻輝は心配しながら「痛い?」と聞いた。
「……ちょっと」
「ぬ、抜こうか……っ?」
「は? 入れたばっかだろが。それより俺の尻を弄ってない方の手、貸して……」
貸して、と言われてつい条件反射のように片方の手を伸ばすと、グイッと引っ張られた。その拍子に思わず腰が動き、抜けないようにする反動で深く入った。
「ぁ……っ」
きゅっと目を瞑ってから薄らと開き、黒兎はつかんだ麻輝の手を自分の顔まで近づける。
「なあ……舐めて、いい?」
何を、とは聞かなかった。少し微笑みながら麻輝が「いいよ」と頷くとすぐさまつかんだ麻輝の手に舌を這わせてくる。
その様子が堪らなく煽情的で、そして黒兎の舌が指を這う様が気持ちよくて、麻輝は息を震わせながら何とか自制心を奮い立たせる。さもないと今すぐにでも達してしまいそうだ。
「お前の手、舐めるの夢だった……」
「っ、え。夢が……、そんな、でいいの……?」
「最高……、っあ、は……」
黒兎はうっとりと麻輝の手を舐めたりキスしたり、ひたすら眺めながら時折体を反らせてくる。そのたびに自分のものが黒兎の中で大きくなる気がする。そしてそのたびに黒兎が小さな悲鳴を上げる。
「ま、まだ痛い?」
「慣れて、きた……っんん、あっ」
「ごめんね、大好きだよ……クロ……大好き、クロとこうしてるの、嬉しくてどうにか、んっ、なりそうっ」
その前に本気で達しそうだ。これ以上堪えられそうになかった。
「クロ、ごめ、も、イきそっ」
「いいよ……俺、お前の手、舐めてたい、ぁっ、は……っ、から、自分で、扱く……」
痛みはまだあるようだが、黒兎のものはありがたいことに萎えてはいなかった。それを黒兎はつかむと、麻輝の手に舌を這わせながら自分で扱きだす。何て光景だと麻輝は思った。
「ん、ぁ、あっ、あ……」
おまけに黒兎の中もただでさえキツいのにさらに収縮し出した。
黒兎の、麻輝の手を舐めてくるところも、シャツがめくれ上がって覗いている尖った乳首も、そして自分で擦る様子も、麻輝にとっては何もかも自分の想像の限界を超えて煽情的で、童貞には過酷過ぎた。
この人、何でこんなに残念なのに、こんなにやらしーの……っ?
「ク、ロ……っ、ぁ、あ……っ」
思い切り突き上げると、コンドームに包まれているとはいえ黒兎の中で麻輝は激しく吐精する。
「っあ、あ……っ、んっああぁっ」
黒兎のものからも二度目とはいえ勢いよく白濁がビュクビュク、と飛び出した。
あれ程黒兎に触れるのを避けていた麻輝だが、今はそれを取り返さんばかりに沢山触れている。
髪に触れるだけである意味死にそうだった頃から成長したかと言えば残念ながらあまりしていない。今でも黒兎の髪や頬、肩や手に触れるだけでとてつもなくドキドキとする。だが以前は触れてしまえば我慢できなくて襲ってしまうのが怖くて触れないようにしていたが、今はその怖さはない。触れてそのまま抱きたくなったら、二人きりであれば黒兎は受け入れてくれる。ちゃんとそういう仲になっている。
ちなみに麻輝と黒兎が付き合っているのは、今では青貴だけでなく麦彦も知っている。
青貴に言った時は何故かホッとしたように「よかったな」と言われたのでいいやつだなと麻輝は感動したのだが、後で聞けば「これで鬱陶しいほど相談されなくなるから」だったからだそうだ。もちろんこれからも恋人がいる先輩として大いに相談しようと麻輝は心に決めた。
麦彦にはとてつもなくポカンとした後で「イケメン同士なにやってんだ」と呆れられた。敬遠されるだろうかと少し思ったが、その後は意外なほど全く気にしてこない。ただし「俺の部屋でもあるんだからヤりまくるにしてもちゃんと配慮してくれよ」とそれこそ配慮してくれといったことを堂々と言い放ってきた。
触れることに関して、黒兎は黒兎で以前だと無意識無自覚無配慮で散々麻輝の手に触れてきていたが、今はわかった上で他にも触れてくるようになった。麻輝と同じように髪や頬に触れる。黒兎も麻輝をちゃんと好きでいてくれるんだと嬉しい反面、 そのたびに麻輝は黒兎を押し倒したくなるのでそこだけ少し困る。
ただ、やはり今でも一番好きなのは麻輝の手のようだ。普段は前と変わらない様子で手に触れてくるが、行為の最中は触れるだけじゃなく、ひたすら舐めたりやんわり噛んだりしながらとても気持ちよさそうにしている。いずれ冗談ではなく麻輝の手を愛撫するだけで達するのではないかとさえ思ってしまう。おまけにたくさん自分の体のあらゆるところへ触れさせて、まるで大人の玩具で弄ばれているかのような反応を見せてくる。
もちろんとてつもなく情欲を煽られるが、思わず自分の手とはいえその手に成り代わりたいとさえ思う。
「自分の手に嫉妬しそう」
つい言えば「お前の手だから余計に堪らなく好きだしエロいんだよ」と笑われ、そしてまた指を咥えながら熱いため息を吐いてくる。
……エロいのは君だよ。
麻輝はそのたびに結局嫉妬も忘れて真っ赤になりながら黒兎を堪能する。
黒兎の「マキが好き」という気持ちは疑っていない。麻輝からしたらあまりに突然ではあったが黒兎曰く「知らない間に好きになってたことに最近気づいた」のだそうだ。黒兎らしいとむしろ思う。
それでも疑っているのでも知りたいのでもなく、ただ聞きたいから、つい麻輝は「ほんとに好き?」「どこが好き?」「どう思ってる?」などと聞いてしまう。
「そういえば今度抗議しようと思ってたんだ」
「え、何を?」
「ほらまた。お前はちょっと質問が多すぎる。それも聞いて答えが返ってくる前にまた別の質問するだろ」
「……ごめん」
黒兎もよく「何で」と聞いてきていたが、そう言われてみるとそうかもしれなく、自分のほうがたちが悪いとばかりに麻輝がしおらしく謝ると、黒兎が続けてきた。
「ちゃんと答えられるなら答える。わからない時はわからないって言う。黙ってる時はもう相手するのも面倒くさい時」
「面倒くさい、は切ない……君が普段手のこと以外では無口なのわかってるけど」
すると黒兎がニヤリと笑ってきた。
「……何」
「お前の手で俺の体を沢山触れたりなにかしたりしてるのを見せてくれたり撮らせてくれるなら、毎回頑張って答える」
「君は安定過ぎるよ……!」
「そんな引いたような顔しながら、下を硬くするマキも大概だけどな。お前も俺に触るのだけじゃなくて、俺がお前の手をエロいもののように扱うの、実は好きだろ」
だって仕方がない。君がどうあっても大好きなんだ。
「クロが大好きだからだよ」
前なら心の中でだけしか言えなかった言葉を、とても愛おしく告げる。すると手に関することなら羞恥心をどこかへ置き忘れてきたとしか思えない黒兎が少し顔を赤くしながらフイッと顔を逸らす。
普段は真顔で「マキが好きだよ」と言ってくる黒兎が、こういった時だけ絶対何も言わない。いや、たまにふと、「これじゃあ文学作品に出てくる情けないやつだ」などとよくわからないことを呟いてくることはある。
そんな黒兎がそしてまた、麻輝は愛おしく、大好きで堪らない。
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