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12話
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落ち着かない、胸が痛いのが何故なのか、答えが出なかったのはわからないからじゃなかった。ただ無意識に出したくなかっただけだった。
恵は自室で座り込み、落ち込んでいた。気づいてしまったのだ。自分の気持ちに。
ひたすら落ち着かないのは、こんなにも胸が痛くなるのは、心臓がドキドキするのは、聖恒が好きだからだ。
ああ、と恵は頭を抱える。あの時、携帯が鳴らなかったら恵はキスしていたかもしれない。
自分の生徒に。
例えアルバイトの家庭教師と言えども、生徒は生徒だ。そんな子に、自分はキスしていたかもしれないのだ。
何てことだよとさらに頭を抱える。まさか自分がアルバイト先の生徒を好きになるなんて思いもしなかった。しかも高校生の、それも少年なのだ。
笑顔がかわいくて、いい子で、まるで弟ができたかのように感じていたというのに、とまた落ち込んだところで改めてハッとなった。
少年。弟。そう、男だ。
……え。俺、そんな気、あったっけ?
今度は座り込んだ状態から膝を抱える。
俺、女の子が好きだったよな?
今までつき合ってきた子は皆、女性だった。ボーイッシュな子も中にはいたが、まごうことなき女性だった。恵はうんうん、と一人頷く。つき合った子とはセックスもしているので間違えようがない。皆、女性だったし自分も女の子が好きだった、間違いない。潜在的なゲイですらない。つき合った瞬間からセックスも期待していた、人づき合いは下手な、ただの一般的な男だ。
それなのに、何をどう間違えて聖恒を好きになったのかと顔を埋めながら思う。
いやいや、ほんとどういうことだよ……。
こんなことなら気持ち何て気づかなければよかったと思う。だが思った後にすぐ、気づかなくても胸が痛くて落ち着かなくてしんどかったのだと思い出した。
むしろ気づいたほうがよかった?
自分に問いかける。気づいていれば、ついうっかりキスしそうになることもないかもしれない。意識している分、自制できるかもしれない。
結局好きだと気づき、テンパった挙げ句何の解決にもなっていないというのに自制できるかもしれないと思ったところで謎の安心感を得て、恵は寝ることにした。
翌朝、そこにはさらに落ち込んでいる恵がいた。
……っない……ほんとに、ない……。俺は……何つー夢を……見てんだ……っ。
目覚めた瞬間は罪悪感よりも思わず慌てて布団をめくり上げていた。そしていい年して情けないことになっていないことを確認してホッとする。その後に激しく罪悪感が込み上げてきたところだった。
聖恒の夢だった。正直、とてもかわいかった。そして自分はとんでもないことをやらかしていた。
実際のところ、男同士での行為はよくわからない。それでもさすがに抜き合ったり後ろの穴を使うくらいは知っている。
だからと言って……!
朝食を用意してくれていた母親は「どうしたの? 具合でも悪いんじゃない?」と心配してくれた。それがますます罪悪感を煽ってくる。
……きよ、それについでに母さん……ごめん。
大学へ行っても恵はどうにも気が重く、上の空だった。
俺……さすがにヤバいだろ、これは。
これからどうやって聖恒と顔を合わせればいいのだと思う。ただ好きだと気づいただけならまだどうにでもなった。だがあの夢は、と学校でも頭を抱える。同時に夢の中の聖恒が過り、恵は今度は頭をふるふると振った。
「大月くん、大丈夫?」
野々村に言われてハッとなる。
「あ、ああ」
「ちょっと様子変だったけど」
「熱あるとか?」
馬場が恵の額に触れてきた。
「……ないな」
「な、ないよ。ごめん、ちょっと考え事してた。続けよう」
「具合、もし悪いなら言ってね」
「そうだよ、無理しないでね」
女子二人も心配してくれている。恵が「……ありがとう」と少し笑いかけると嬉しそうに微笑み返してくれた。
ああ、そうだよ、と恵は内心思った。やっぱり女の子は普通にかわいいと思う。この感覚は変わっていない。それに男子に額を触れられても少しもクるものはなかった。嗜好が変わった訳ではない。少なくとも。
そう思ったところで、夢を見た事実は変わらないし、聖恒への気持ちも動きようがない。
……家庭教師、行きたくないな。
初めてそんなことを思った。自分から好きになる自体珍しいことだった。本当ならもっと浮かれてもいいくらいだ。しかし聖恒に申し訳なさすぎて浮かれるなんて無理だった。
本当にごめん。
恵は内心ひたすら聖恒に謝っていた。もちろん、自覚してもさすがに聖恒で抜くなんてできなかった。夢は不可抗力だ。そう思うことにした。
人づき合いが苦手なくせに、その日も翌日も飲み会に参加してみた。不純だが、かわいい女子がいればいいなと思ってのことだ。普段なら絶対にそんなこと思わないというのに、恐らくまだテンパっていたのだろう。
飲み会では恵がいるのが珍しいからか、よく絡まれた。女子からも何かと声をかけられた。
ああ、それなのに何ということだろう。
恵は微妙な気持ちになる。かわいい女子もたくさんいた。最近の高校生はかわいいなと思っていたが、最近の大学生の女子も十分かわいいことにいまさら気づいた。
だというのに……。
一番かわいいのは聖恒だと思う自分がいるのだ。
恵は自室で座り込み、落ち込んでいた。気づいてしまったのだ。自分の気持ちに。
ひたすら落ち着かないのは、こんなにも胸が痛くなるのは、心臓がドキドキするのは、聖恒が好きだからだ。
ああ、と恵は頭を抱える。あの時、携帯が鳴らなかったら恵はキスしていたかもしれない。
自分の生徒に。
例えアルバイトの家庭教師と言えども、生徒は生徒だ。そんな子に、自分はキスしていたかもしれないのだ。
何てことだよとさらに頭を抱える。まさか自分がアルバイト先の生徒を好きになるなんて思いもしなかった。しかも高校生の、それも少年なのだ。
笑顔がかわいくて、いい子で、まるで弟ができたかのように感じていたというのに、とまた落ち込んだところで改めてハッとなった。
少年。弟。そう、男だ。
……え。俺、そんな気、あったっけ?
今度は座り込んだ状態から膝を抱える。
俺、女の子が好きだったよな?
今までつき合ってきた子は皆、女性だった。ボーイッシュな子も中にはいたが、まごうことなき女性だった。恵はうんうん、と一人頷く。つき合った子とはセックスもしているので間違えようがない。皆、女性だったし自分も女の子が好きだった、間違いない。潜在的なゲイですらない。つき合った瞬間からセックスも期待していた、人づき合いは下手な、ただの一般的な男だ。
それなのに、何をどう間違えて聖恒を好きになったのかと顔を埋めながら思う。
いやいや、ほんとどういうことだよ……。
こんなことなら気持ち何て気づかなければよかったと思う。だが思った後にすぐ、気づかなくても胸が痛くて落ち着かなくてしんどかったのだと思い出した。
むしろ気づいたほうがよかった?
自分に問いかける。気づいていれば、ついうっかりキスしそうになることもないかもしれない。意識している分、自制できるかもしれない。
結局好きだと気づき、テンパった挙げ句何の解決にもなっていないというのに自制できるかもしれないと思ったところで謎の安心感を得て、恵は寝ることにした。
翌朝、そこにはさらに落ち込んでいる恵がいた。
……っない……ほんとに、ない……。俺は……何つー夢を……見てんだ……っ。
目覚めた瞬間は罪悪感よりも思わず慌てて布団をめくり上げていた。そしていい年して情けないことになっていないことを確認してホッとする。その後に激しく罪悪感が込み上げてきたところだった。
聖恒の夢だった。正直、とてもかわいかった。そして自分はとんでもないことをやらかしていた。
実際のところ、男同士での行為はよくわからない。それでもさすがに抜き合ったり後ろの穴を使うくらいは知っている。
だからと言って……!
朝食を用意してくれていた母親は「どうしたの? 具合でも悪いんじゃない?」と心配してくれた。それがますます罪悪感を煽ってくる。
……きよ、それについでに母さん……ごめん。
大学へ行っても恵はどうにも気が重く、上の空だった。
俺……さすがにヤバいだろ、これは。
これからどうやって聖恒と顔を合わせればいいのだと思う。ただ好きだと気づいただけならまだどうにでもなった。だがあの夢は、と学校でも頭を抱える。同時に夢の中の聖恒が過り、恵は今度は頭をふるふると振った。
「大月くん、大丈夫?」
野々村に言われてハッとなる。
「あ、ああ」
「ちょっと様子変だったけど」
「熱あるとか?」
馬場が恵の額に触れてきた。
「……ないな」
「な、ないよ。ごめん、ちょっと考え事してた。続けよう」
「具合、もし悪いなら言ってね」
「そうだよ、無理しないでね」
女子二人も心配してくれている。恵が「……ありがとう」と少し笑いかけると嬉しそうに微笑み返してくれた。
ああ、そうだよ、と恵は内心思った。やっぱり女の子は普通にかわいいと思う。この感覚は変わっていない。それに男子に額を触れられても少しもクるものはなかった。嗜好が変わった訳ではない。少なくとも。
そう思ったところで、夢を見た事実は変わらないし、聖恒への気持ちも動きようがない。
……家庭教師、行きたくないな。
初めてそんなことを思った。自分から好きになる自体珍しいことだった。本当ならもっと浮かれてもいいくらいだ。しかし聖恒に申し訳なさすぎて浮かれるなんて無理だった。
本当にごめん。
恵は内心ひたすら聖恒に謝っていた。もちろん、自覚してもさすがに聖恒で抜くなんてできなかった。夢は不可抗力だ。そう思うことにした。
人づき合いが苦手なくせに、その日も翌日も飲み会に参加してみた。不純だが、かわいい女子がいればいいなと思ってのことだ。普段なら絶対にそんなこと思わないというのに、恐らくまだテンパっていたのだろう。
飲み会では恵がいるのが珍しいからか、よく絡まれた。女子からも何かと声をかけられた。
ああ、それなのに何ということだろう。
恵は微妙な気持ちになる。かわいい女子もたくさんいた。最近の高校生はかわいいなと思っていたが、最近の大学生の女子も十分かわいいことにいまさら気づいた。
だというのに……。
一番かわいいのは聖恒だと思う自分がいるのだ。
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