ホンモノの恋

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24話

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 運転しながら特にどこへ行こうと決めていた訳ではなかった。だがそういえば人気がなくて夜景がとても綺麗な穴場があったなと思い出し、恵はそこへ向かっていた。工場を見ても喜んでもらえないかもしれないとも少し思ったが、予想以上に聖恒が喜んでくれたので恵も嬉しくなった。
 キスしたいと言われ、そして心臓が跳ねる。誰もいない穴場とはいえ、外は恵としてはあまり落ち着かない。あとはっきりキスしたいと言われて照れた。蒸すのと蚊がいるかもしれないのも本当だが、車へ戻りたがったのは恥ずかしさや照れ隠しもあった。運転席側のドアを開けようとしたら「こっち」と聖恒に腕をつかまれ後部座席に促され、押し込められた。聖恒もその後に続く。

「きよ……、っん」

 名前を呼びかけたところで抱き寄せられキスされる。

「ぁ、ま、待って。エンジンかけてエアコン……」
「まだどっちも切ってても俺平気。どのみち走ってきて汗かいたし。……あ、俺そいや臭くない?」
「全然。そっか。汗かいてそうだったもんな。……なんかエロいな」
「そんな風に思えるめぐちゃんがエロいよ」

 思わず言ってしまった恵に、聖恒はおかしげに笑ってきた。そしてじっと恵の目を見つめてくる。恵も見つめ返すと、そっと髪を撫でられた。その感触が気持ちいい。優しく抱きしめられると思わずほうっと息が漏れた。

「めぐちゃんが好き」

 嬉しそうに囁くと、聖恒は軽く唇を合わせてきた。離すと手の指を絡ませてきたり、指で指や手のひらをそっと撫でてくる。

「きよが好きだよ……」

 恵も微笑みながら囁くと、小さな笑い声を上げた後にまた唇を合わせてきた。今度は何度も啄んでくる。合間にぺろりと唇を舌で舐めてきた。堪らず口を開けるとゆっくり舌が入ってくる。
 舌は恵の口腔内を探る。そして恵の舌に出会うと舌先で舌先をちょろちょろと擽ってきた。

「ん、ふ……」

 お互いの息が漏れる。舌が絡み合う間、ひたすら手の指も絡めてきていたが、その指がゆっくり手のひらから手首、前腕の内側、と辿っていく。手や腕に性感帯があると思っていなかったが、指の感触が堪らなく恵の体と心を震わせてきた。
 恵もやり返そうとしたらその前に腕を体に回された。そしてぎゅっと抱きしめられる。絡め合っていた舌が恵の上顎の奥を擦ってくると、さらに堪らず変な声が漏れた。

「めぐちゃんかわいい……」

 かわいいのはそっちだと言い返そうにも口をまた塞がれる。抱きしめてきた手は背中を撫でてきたかと思うと、指を這わせてくる。薄着の季節に入ってきていることを妙に実感した。服の上からでも指の感触がとてもわかる。
 また変な声が漏れそうだと思っているとその手が離れ、今度は髪を再度撫でてくる。
 ちょっと待て、と恵は思った。何というか、違う。いや、好きなのもキスしたいのも諸々違わないが、行為というかひたすらされている感じがして、している感じがしない。いつもと勝手が違う気がする。しかも年下相手に翻弄されている気もする。

「待っ、き、よ……」
「ん……何、めぐちゃん……」

 少し掠れたような聖恒の声が恵をさらに刺激してきた。ついでにその合間にも啄むようにキスをしてくる。

「な、んか違う」
「……え?」

 違うと言うとさすがに怪訝な顔をし、聖恒はキスをするのを止めて恵を見てきた。

「ち、違う、って……?」

 その表情が不安そうになるのに気づくと、恵は慌てて否定した。

「あ、違う。いや、ややこしいな。えっと、きよが思ってるようなのと違うぞ。君とキスをするのは最高に嬉しいし堪らないなと思うけど」
「ほんと?」

 今度は嬉しそうな顔をしてきた。ああ、やっぱりかわいいなと思っているとまたキスしようとしてきたので「そうじゃなくて」と慌てて続ける。

「ん? 何?」
「何か俺、君に一杯されてる気がする」
「気がするんじゃなくしてるんだよ」
「俺がしてあげたい」
「……っ、それはそれで堪らないなあ。でも今は俺にさせて?」

 させてとお願いされたら、むしろ嬉しくなる。別に聖恒を女扱いするつもりは全くないが「そうだよな、女の子でも積極的な子っているもんな……」と恵は納得した。するとふっ、とうなじに息を吹きかけられる。そわっとしていると、そこへ聖恒の唇が触れた。その唇はさらに上へ這い上っていき恵の耳へ到達してくる。
 何だこれ、と恵は思わず手で自分の口を覆った。そうしないとますます変な声が出そうだった。
 恵の耳を探り当てた唇はそっと耳朶を食んでくる。甘噛みされただけでそこからじわりと小さな電流が走った。

「……んっ」
「めぐちゃん……」

 囁いた言葉とともに耳孔に息が吹きかけられる。小さな電流はぞわりとした何かへ変わった。するとまた耳朶を唇で挟まれる。だが今度は耳に沿うようにして舌が這ってきた。

「っは……、く」

 聖恒にしてあげたいと言いつつも、する余裕などなかった。ぞわぞわしていると、舌先がゆっくり耳孔へ入ってきた。その間、聖恒の手はずっと背中をさするように撫でたり指を這わせたりしてきていて、恵の息が上がってくる。

「耳、やめ……」
「嫌……?」

 切なげに耳元で聞かれると嫌だとは言えない。そもそも嫌というわけではない。ただ、情けないことに翻弄されるしこれ以上これを続けられるとおかしくなりそうだった。

「変に、なるから……」
「めぐちゃん、それ逆効果……止めらんない」
「っあ、っは……っ」

 どれくらい続けられたのかわからない。だがようやく止めてくれた時にはすでに恵はぐったりとしていた。
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