ホンモノの恋

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42話 ※

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「めぐちゃん、俺と海行くの、嫌じゃない?」

 そう聞かれて聖恒が何言いたいのかすぐにわかった。恵は顔が熱くなるのを感じながら一瞬答えに戸惑う。
 嫌なわけがない。二人で旅行など幸せ過ぎるじゃないかと思う。海も、旅館も泊まりも何もかも楽しそうでしかない。
 だが、一緒に泊まるということは。

「え、あ、……うん」
「あ、ほら、その、兄さんの許可あるから! ね?」

 とりあえず頷くと嬉しそうな顔をした後に恵の様子を察してか聖恒が慌てたようにつけ足してきた。

「え?」
「保護者の許可ってやつ」
「親じゃなくてお兄さんなのか」
「兄さんも成人してんだし、いいでしょ。つかちゃんと親にもめぐちゃんと旅行行くの言ってるよ」
「あー」
「そんな困ったような顔しないで」
「いや、……うん」
「第一俺ら真剣につき合ってんだから」

 つき合っている、というところで聖恒は恵に顔を近づけ耳元で言ってきた。少しピクリと反応しつつも「近い」と恵は聖恒を引き離す。

「ケチ」

 聖恒は口を尖らせた後に手を伸ばし、窓際に置いているペットボトルをつかんだ。

「ほんとにこれ、俺も飲んでいい?」
「いいよ」
「わーい、ありがと! 俺、個人で新幹線に乗ったの初めて。お菓子とか用意すりゃよかった」

 えへへ、と笑う聖恒がかわいくて、恵もとりあえず泊まり云々に関して今は考えないでいようと思った。でないと何だかこの瞬間瞬間が勿体ない気がした。

「きよは女子力高いな」
「何でそこで女子力になんだよ」
「新幹線にはしゃいだりってのも子どもっぽくてかわいいけど、お菓子ってとこが何か」
「男子だって菓子くらい食うし食わせろ」
「別に駄目だなんて言ってないだろ」

 恵も笑いながら、聖恒が一口飲んだペットボトルに手を伸ばして奪い、自分も飲んだ。

「駅からもう何か海の匂いしてる気がする!」

 着いたところでも聖恒がはしゃいでいた。それがまたひたすらかわいいと思いつつ「とりあえず旅館へ一旦向かおう」と恵は聖恒を促した。
 未成年と云々、などと自分がいくら気にしようが、規制法まであろうが、案外世間は未成年に甘い。旅館でも恵が一緒だからか、元々あまり気にしないのか、ただでさえかわいい顔立ちをしているはずの聖恒について特に何も言われることはない。
 部屋へ案内されて荷物を置いたところで恵はそんなことを考えていた。すると、はしゃいだ聖恒の声がした。

「めぐちゃん、見て見て! すげー。海めっちゃ見える!」

 確かに広縁から海がよく見えた。青空に青い海が映えてキラキラしている。

「ここで水着、下に着ていく?」

 聖恒の言葉に「そうだな」と頷くと、早速聖恒が着替え出した。小柄ではなく恵とほぼ同じくらい身長があるにも関わらず、顔が可愛いせいで聖恒はどこか華奢な印象はあった。だが遠慮もへったくれもなく豪快に上半身を脱いだ聖恒の背中は予想外にもしっかりと筋肉がついている。

 ……って何でそんなことに俺はドキドキしてるんだよ。

 思わず見いってしまった後に実際ドキドキしている自分に気づき、恵は微妙な気持ちになった。もちろん好きな相手の体を見てドキドキするのはおかしいことではないが、相手が男だからだろうか、どうにも調子が狂う。基本的に女が好きでも、好きな相手だと男のしっかりとした体つきにすら興奮してしまうものなのだろうかと首を傾げた。

「めぐちゃん? 何やってんの、ほら、早く着替えて海行こうよ!」
「そ、そうだな」

 聖恒の言葉に気を取り直し、恵は苦笑しながら荷物から水着を出し、同じように服を脱ぐ。とりあえず水着を履いてから、ラフな服を上に着ていけばいいかと思いながら下も脱ごうとしていると視線を感じた。振り返れば聖恒が赤い顔をしながらじっと恵を見ている。

「な、何……」
「……めぐちゃん……エロい」
「っは?」

 何を言ってるのだと、引いたように聖恒を見る。恵も確かにドキドキはしたが、そこまで扇情的な目線では見ていなかったはずだと焦る。慌てて着替えを済ませようとすると、聖恒が近づいて恵の腕をつかんできた。

「きよ、な、に……」
「ごめん、このままだと俺、水着になれそーにもない。からちょっと……」
「は? ちょっとってなんだよ……! こら、きよ! 止めろ!」
「無理。大丈夫、抜くだけだから……」
「全然大丈夫じゃない……っ」

 聖恒をはね除けようとしたができなかった。身長があまり変わらないだけでなく、先ほどの背中で納得だが、恐らく力は普段から部活をやっている聖恒の方があるのだろう。

 これからは部活は無理にしても、もう少し運動するようにしよう……!

 ずっと運動は得意ではなかったくせにそんなことを思う。

「駄目だ、って……、っぁ、く」

 ほとんど裸に近い状態だった。抵抗もむなしく簡単に自身に触れられた。それでも抗おうと試みたが無駄だった。
 恵も聖恒のことが好きなのだ。好きな相手にお互いほぼ裸という状況で触れられて反応しない男がいれば、とりあえず今は師匠になってもらいたいと恵は思う。

「めぐちゃん……無理、かわいい……エロい……」

 聖恒が囁きながら耳や首筋にキスしてくる。そして聖恒も自分のを既に着替えていた水着から取り出し、恵のと一緒に握り出した。
 前も思ったが、ものすごく熱く感じる。こんなに熱くて、溶けてしまわないだろうかと馬鹿なことが頭に過る。

 いや、溶けるのは俺の体だ……。

「っあ、あ……っ」
「気持ち、い? 俺は、すげーいい……。めぐちゃん、好き……」

 囁きながら、聖恒は恵の胸にまでキスしてきた。男の乳首にキスしてもと思った瞬間、ぞくぞくした感触が胸の先から背中に伝わる。

「あ……っぁ……」

 駄目だ、ともう、口にすらする余裕もなくなった。
恵は聖恒の顔をつかむと引き寄せ、唇を合わせた。
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