月と太陽

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12話 ※

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 那月にまたがるようにして、日陽がしがみついてくる。そんな様子に胸がまるで軋むほど疼きながら、那月は優しく手を動かしていく。
 初めて日陽とした時のことは多分一生忘れない。そしてその時に比べ、ほんの少しでも日陽の後ろが解れやすくなっていくことに愛しささえ覚えた。下着をずらして改めて弄る穴の口はとても狭いが、中は相変わらず熱くて少しだけ柔らかい。だが狭いことは狭く、那月の指ですらぎゅっと締めつけてくる。うねるような感触を指で感じながら、こんなにキツいというのに那月のものを受け入れてくれるのも愛しくてならない。

「は……、っく」

 相変わらず那月にしがみついたまま、痛いのか苦しいのか気持ちいいのかよくわからない様子で日陽が時折声を漏らしてくる。せめて痛くないといいなと、那月は何度もローションをつけ足しては中へ指を入れるというのを繰り返した。前を触りながらとは言ったが、触りながらだと中が収縮してしまうため、せめて那月の指をもう少し増やせるまでは弄らないでおく。
 アナルがひくひくとしているのがわかるので本当ならそこをじっと見たいが、それも我慢して那月はぎゅっと日陽を抱きしめた。
 ローションを何度も足しているが、次第に日陽のペニスから垂れてきた汁がじわじわと尻の方にも垂れてくるようで、扇情的な音が少し聞こえてくる。それが恥ずかしいのか、日陽はますますしがみついてきた。

「日陽、やっぱりかわいい」

 那月が囁くと、小さな声で「煩い」と返ってくる。那月の首元に顔を寄せているため、くぐもった声になっている。ますます那月は気持ちが高ぶってきた。かなり中が柔らかくなってきた気がしたので、指をもう一本増やしてみる。

「っく」

 やはり入れる時は狭くて入れにくいのだが、中に入れば那月の二本目の指も日陽は少し苦しそうにしながらも飲み込んでくれた。その指で襞を擦るようにしながら優しく奥へ進める途中で、那月は少し探り出す。
 日陽とはまださほど回数をこなしていないが、さすがに何となくどの辺りに日陽の弱いところがあるかはわかってきている。入れてすぐにわかるほどではないが、こうして指を曲げながら探っていると見つけることはできた。少ししこりのような感触がするそこを指で軽く擦ると、日陽がビクリと体を震わせてくる。

「ここ、気持ちいい?」

 耳元で優しく聞くと、少し間があった後に日陽が頷いてきた。男同士の行為に慣れてないせいか、まだどこか恥ずかしそうな様子の日陽だが、こういうところはさすがハキハキとしている男前だなぁと那月は密かに笑う。煩いと言うでもなく、そんなことないと否定するでもなく、ちゃんと肯定するところが日陽らしい。もちろん、そういうところがまた大好きだと那月は囁いた耳にキスする。
 そろそろ中はやわやわと解れてきていて、那月の指は動かしやすくなっていた。そのため、一応傷つかないよう配慮しながらも少しかき混ぜるようにして出し入れしていく。その度にまた卑猥な水音が漏れ聞こえてきた。

「ん、ん……っ」

 日陽はといえばだんだん声を抑えるのに必死になってきている様子だった。出し入れだけでも小さく体を震わし、那月の指が前立腺の辺りを刺激すると、堪らずといった様子で時折「っぁ」と明確に喘ぎ声とわかるような声を漏らしてくる。指をバラバラに動かすと、中がぎゅっと締めつけてきた。
 これくらい解れているならいいかと那月はようやく日陽の前も弄り出す。すでにかなり硬くなっているそれにローションを垂らし、手でやんわりとつかむと後ろを弄りながら上下に扱いていく。

「っぁ、は……っ」

 ため息と喘ぎが混じったような声に気をよくし、那月は扱きながら時折親指で日陽の先をぐりぐり弄った。そこは溢れ出るほどに濡れていて、那月の指をぬるぬると滑らせてくる。

「日陽、後ろと前、どっちが気持ちいい?」

 そう聞いてみるが返事がないので「わからない?」と聞き直すと頷いてきた。

「ってことは両方気持ちいいってことかな」
「……っくそ。そう、か、も」

 小さな声で肯定してきた日陽に、那月は満面の笑みで微笑んだ。かわいくて愛しくて大好きな日陽が、自分の愛撫で気持ちよくなってくれているのがとてつもなく嬉しい。そして那月を信用して体を預けてくれていることが愛しい。
 日陽に言った「一分一秒でも見ていたい」というのは心からの言葉だ。
 日陽に会うまでは勝手に自分で悪い方へばかり考えて不安にすらなっていた。つき合ったばかりだというのに心細くて心許無くて切なかった。
 だが家の前で日陽の顔を見た途端、その重苦しい気持ちがほぼ晴れた。顔を見ただけで幸せな気持ちになれた。それでもまだマイナスな気持ちは残っていたが、こうして日陽が那月に体ごと委ねてくれているともの凄く安心感が広がる。勝手に自分で引き起こしている不安を、ある意味日陽に甘えることで解消しているような気もした。先ほど思わず呟いてしまった「日陽が俺だけのものになればいいのに」という気持ちも満たされるような気がする。少なくとも、今この瞬間瞬間の日陽は自分のものだった。

「日陽……好き」

 正直、自分のものもはちきれそうになっていて痛いくらいだ。だが最後までしないと言った。一緒に抜かせてもらってもよかったが、今はそれよりもひたすら日陽に触れていたかったし、日陽に気持ちよくなってもらいたかった。

「もっと気持ちよくなって?」

 日陽の中に入ったままの指でまた前立腺の辺りをひっかくようにして刺激させ、前ではさらに激しく手を動かしていく。

「ぁ、あっ、あ……っ」

 わざとではなく、おそらく勝手に動くのだろう。日陽の腰がまるで那月に擦りつけるかのように動いてくる。それがまた愛しくて、ついでに那月のものを痛くさせてくる。

「好き。大好き」

 ひたすら好きだと言いながら、那月はぐっと前を扱いていた指で先を弄った。すると、とうとう我慢できなくなったのか、日陽が「っイ、……っ」と何やら小さく叫ぶと思い切り射精してきた。その際に声を抑えたかったからか、那月の首のつけ根をぎゅっと噛んでくる。
 日陽のものが自分の手の中でどくどくと吐き出しているのを手のひらで感じ、那月はまた日陽の耳にキスした。本当は唇にもしたかったが、両手が日陽ので濡れているため、今は抱きしめることすらできそうもない。ウェットティッシュでとりあえず綺麗にした後、日陽に「お前は……いいのか?」と聞かれた。

「うん」

 那月はニッコリ頷いた。本当は出したくて堪らないが、さすがにあまり遅いと日陽の親も上がってくるかもしれない。匂いのこともあるし、それは日陽がまずいだろうと我慢した。とりあえず家へ帰ってからのおかずにしようと心の中で改めて頷く。

「……で、結局本当に顔を見たかっただけなのか、那月」
「うん、それと日陽をかわいがれたしね、満足」
「なっ、に言ってんだ、よ。変なヤツ」
「だって大好きだから」

 那月はもう一度ニッコリすると、綺麗になった手で改めて日陽を抱きしめ、キスした。
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