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44話 ※
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「は、ぁ……」
葵に抱きしめられるようにして座らされ、背後から葵のものがゆっくりと入ってくるのがわかった。行為にはずいぶん慣れたが、この入れられる瞬間だけは奏真にとってどうにも慣れない。いくら指で慣らして解されても、太さのある硬いものが入ってくるのはやはり違和感ある。ゆっくりとはいえ、ほぼ閉じている小さな穴を抉じ開けられる感触や狭い中をみっちりと押しつけ広げられていく感触に圧迫感や背中にぞわぞわとした異物感を覚える。
だがそれは次第にえもいわれぬ感覚へと変貌していく。苦しさはただの気の乱れに、ぞわぞわした感覚はぞくぞくした快楽へとゆっくり入れ替わる。
そうなると抉じ開けられ広げられていくのはむしろ快感になる。自ら擦りつけたくなるようなむずむずした感覚にもどかしささえ覚える。そして全身が敏感になったかのような感じに、葵の指が胸の先を掠めるだけでさえ体を大きく震わせてしまう。
これはハマりそうだと以前、少し心配になったほどだ。あまり物事を気にしない性格とはいえ、奏真とて女のように体を開かされることにひたすら無我夢中になるという図はさすがに頂けない。しかも自分はハマってしまうと普段どうでもいいものが多いせいもあるのか、それに集中しがちだ。
ただ体を重ねる行為は想像以上にキツく、終わった後の消耗具合が半端ない。おかげでセックスは疲れるものだと自分の中で自動的に定着してくれたようだ。快楽落ちしなくてよかったと奏真はホッとしたものだ。
葵はつき合ってから普段でも偉そうなくせにやたらイチャイチャとしたがるというのだろうか、もしくは奏真をかわいがってくる。奏真としては少々気持ち悪いくらいだ。会っている時はセックスしていなくてもくっつきたがる。そしてキスまでいかなくとも頭を撫でてきたり手を握ってきたりする。すぐ会いたがったかと思うと、仕事だけはしっかりこなした上で夜中でもやって来ようとする。こちらは幸い奏真が寮住まいのため、回避出来ている。自宅なら間違いなくやって来たのではないかと思うと、心底寮に入っていてよかったと奏真は思った。
ある時に「俺も寮に入る。そんで清田を別の部屋にして俺がお前と同室になる」などと言い出してきて奏真は唖然となったことがある。たまたま近くにいた剛も微妙な顔をしていた。
剛を追い出した上に葵と四六時中同じ部屋。それは何というか色々──
「無理」
「はぁっ? 何が無理なんだよっ?」
「……穂村」
「あ? 穂村〝さん〟だろが」
「……穂村さん。多分あれだよ、君は有名な芸能人なんだからこういった大勢が住む普通の寮より今のセキュリティが万全なマンションがやっぱりいいと思うってこと。それにマネージャーさんも許可しないと思うよ。そう言いたいんだろ、な、そーま」
違う、と言おうとして奏真は思い止まった。剛は多分助け船を出してくれているのだと把握し、さすがに嘘はつけないので無言で頷いた。そして葵の寮住まいも回避された。
こんな葵は、セックスの時になると一段と奏真をかわいがってくる。偉そうなのは変わらないが、行為中ひたすら「かわいい」だの「好きだ」だの、またはどこそこが綺麗だの具合いいだのと奏真の体に触れながら口にしてくる。奏真としては少々恥ずかしさと居たたまれなさがあるのだが、それでも行為に反映するというか、快楽は相乗効果のように高まった。
今も背後から突き上げられるたびに「中、熱い」「すげーしまる」「お前の中、最高」「エロい」「クソかわいい」などと言われ、居たたまれなさに包まれながらも中が疼き背筋からぞくぞくとしたものが走っている。
ところで葵は、前方に鏡があるのを奏真が気づいていないと思っているように感じられる。たまにそっと鏡を窺っている様子は、駄目と言われていることを隠れてやっている子どもみたいに見えて少し面白い。
別に鏡があるからって嫌じゃないし怒らないけど。
むしろ鏡越しは客観的に見えて、「あのInfinityの焔がセックスしている」なんて風に思えて謎の興奮を覚える。さすがに平凡な自分を見て興奮できないので、その相手が自分であることはこの際スルーするというか見ないようにすればかなり官能的だと思えた。
奏真のこういう淡々とマイペースな性格を、葵は把握しているようでしていない。ただ、鏡を奏真もそれなりに楽しんでいるとバレると調子に乗って妙なことをしてきそうでしかないので、奏真もあからさまに鏡を見ないよう心がけた。
どのみち次第に鏡どころではなくなってくる。登り詰めるようなうねり上げるような感覚を中に感じ、奏真は息を乱した。顔どころか全体が火照っている気がする。
「……前、触って」
途中から奏真のものを扱かなくなっていた葵に言えば「何で」と返ってきた。
「……イきそ」
「イけばいいだろ」
「嫌」
「は? 何で」
「……後ろだけでイきたくない」
渋々言えば背後から奏真の耳にキスをし、「いいだろ、後ろだけでイってよ」と囁いてきた。耳に弱くはないが葵の声には少々弱いのを、葵は何となく察知している気がする。
「……じゃあ自分でする」
「んだよ、んなこと言うなよ」
胸だけは弄ってきていた葵が今度は奏真の両腕をつかんできた。そして動きを激しくしてくる。葵のものが中で切ないほど擦りつけてき、耐え難いほどいいところを何度も何度も突き上げては刺激してきた。
「っ、んっ」
「かわいい。ほんとクソかわいい。なぁ、後ろだけでイってるとこ見せて」
ぞくぞくした感覚がさらに駆け登ってくる。胸の突起に触れられてもいないのに過剰なほどに先が尖るのが感じられる。
「は、っぅや、ぁ、あっあっ」
「イキそう? 俺もイく……」
背中が反り上がる。腕を捕まれたままなので快楽を逃す術もない。
「……っいっ」
頭の頂点まで何かが駆け上がるような感覚に、奏真は体をぶるりと大きく震わせた。そして余韻に何度もがくがく小さく震える。
この時ばかりはさすがに奏真にも葵への感情が膨れ上がり溢れ出す。ああ、好きなんだなとそして実感する。葵が中で達しているのも感じられ、余計愛しくなる。
ああもう……このまま眠ってしまいたい──
その後本当に落ちてしまったようだ。起きた時には体は綺麗にされていた。
葵に抱きしめられるようにして座らされ、背後から葵のものがゆっくりと入ってくるのがわかった。行為にはずいぶん慣れたが、この入れられる瞬間だけは奏真にとってどうにも慣れない。いくら指で慣らして解されても、太さのある硬いものが入ってくるのはやはり違和感ある。ゆっくりとはいえ、ほぼ閉じている小さな穴を抉じ開けられる感触や狭い中をみっちりと押しつけ広げられていく感触に圧迫感や背中にぞわぞわとした異物感を覚える。
だがそれは次第にえもいわれぬ感覚へと変貌していく。苦しさはただの気の乱れに、ぞわぞわした感覚はぞくぞくした快楽へとゆっくり入れ替わる。
そうなると抉じ開けられ広げられていくのはむしろ快感になる。自ら擦りつけたくなるようなむずむずした感覚にもどかしささえ覚える。そして全身が敏感になったかのような感じに、葵の指が胸の先を掠めるだけでさえ体を大きく震わせてしまう。
これはハマりそうだと以前、少し心配になったほどだ。あまり物事を気にしない性格とはいえ、奏真とて女のように体を開かされることにひたすら無我夢中になるという図はさすがに頂けない。しかも自分はハマってしまうと普段どうでもいいものが多いせいもあるのか、それに集中しがちだ。
ただ体を重ねる行為は想像以上にキツく、終わった後の消耗具合が半端ない。おかげでセックスは疲れるものだと自分の中で自動的に定着してくれたようだ。快楽落ちしなくてよかったと奏真はホッとしたものだ。
葵はつき合ってから普段でも偉そうなくせにやたらイチャイチャとしたがるというのだろうか、もしくは奏真をかわいがってくる。奏真としては少々気持ち悪いくらいだ。会っている時はセックスしていなくてもくっつきたがる。そしてキスまでいかなくとも頭を撫でてきたり手を握ってきたりする。すぐ会いたがったかと思うと、仕事だけはしっかりこなした上で夜中でもやって来ようとする。こちらは幸い奏真が寮住まいのため、回避出来ている。自宅なら間違いなくやって来たのではないかと思うと、心底寮に入っていてよかったと奏真は思った。
ある時に「俺も寮に入る。そんで清田を別の部屋にして俺がお前と同室になる」などと言い出してきて奏真は唖然となったことがある。たまたま近くにいた剛も微妙な顔をしていた。
剛を追い出した上に葵と四六時中同じ部屋。それは何というか色々──
「無理」
「はぁっ? 何が無理なんだよっ?」
「……穂村」
「あ? 穂村〝さん〟だろが」
「……穂村さん。多分あれだよ、君は有名な芸能人なんだからこういった大勢が住む普通の寮より今のセキュリティが万全なマンションがやっぱりいいと思うってこと。それにマネージャーさんも許可しないと思うよ。そう言いたいんだろ、な、そーま」
違う、と言おうとして奏真は思い止まった。剛は多分助け船を出してくれているのだと把握し、さすがに嘘はつけないので無言で頷いた。そして葵の寮住まいも回避された。
こんな葵は、セックスの時になると一段と奏真をかわいがってくる。偉そうなのは変わらないが、行為中ひたすら「かわいい」だの「好きだ」だの、またはどこそこが綺麗だの具合いいだのと奏真の体に触れながら口にしてくる。奏真としては少々恥ずかしさと居たたまれなさがあるのだが、それでも行為に反映するというか、快楽は相乗効果のように高まった。
今も背後から突き上げられるたびに「中、熱い」「すげーしまる」「お前の中、最高」「エロい」「クソかわいい」などと言われ、居たたまれなさに包まれながらも中が疼き背筋からぞくぞくとしたものが走っている。
ところで葵は、前方に鏡があるのを奏真が気づいていないと思っているように感じられる。たまにそっと鏡を窺っている様子は、駄目と言われていることを隠れてやっている子どもみたいに見えて少し面白い。
別に鏡があるからって嫌じゃないし怒らないけど。
むしろ鏡越しは客観的に見えて、「あのInfinityの焔がセックスしている」なんて風に思えて謎の興奮を覚える。さすがに平凡な自分を見て興奮できないので、その相手が自分であることはこの際スルーするというか見ないようにすればかなり官能的だと思えた。
奏真のこういう淡々とマイペースな性格を、葵は把握しているようでしていない。ただ、鏡を奏真もそれなりに楽しんでいるとバレると調子に乗って妙なことをしてきそうでしかないので、奏真もあからさまに鏡を見ないよう心がけた。
どのみち次第に鏡どころではなくなってくる。登り詰めるようなうねり上げるような感覚を中に感じ、奏真は息を乱した。顔どころか全体が火照っている気がする。
「……前、触って」
途中から奏真のものを扱かなくなっていた葵に言えば「何で」と返ってきた。
「……イきそ」
「イけばいいだろ」
「嫌」
「は? 何で」
「……後ろだけでイきたくない」
渋々言えば背後から奏真の耳にキスをし、「いいだろ、後ろだけでイってよ」と囁いてきた。耳に弱くはないが葵の声には少々弱いのを、葵は何となく察知している気がする。
「……じゃあ自分でする」
「んだよ、んなこと言うなよ」
胸だけは弄ってきていた葵が今度は奏真の両腕をつかんできた。そして動きを激しくしてくる。葵のものが中で切ないほど擦りつけてき、耐え難いほどいいところを何度も何度も突き上げては刺激してきた。
「っ、んっ」
「かわいい。ほんとクソかわいい。なぁ、後ろだけでイってるとこ見せて」
ぞくぞくした感覚がさらに駆け登ってくる。胸の突起に触れられてもいないのに過剰なほどに先が尖るのが感じられる。
「は、っぅや、ぁ、あっあっ」
「イキそう? 俺もイく……」
背中が反り上がる。腕を捕まれたままなので快楽を逃す術もない。
「……っいっ」
頭の頂点まで何かが駆け上がるような感覚に、奏真は体をぶるりと大きく震わせた。そして余韻に何度もがくがく小さく震える。
この時ばかりはさすがに奏真にも葵への感情が膨れ上がり溢れ出す。ああ、好きなんだなとそして実感する。葵が中で達しているのも感じられ、余計愛しくなる。
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