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菜月の貞操観念を正す!
午前中の新京極を歩くのは久しぶりだった。
昼からの通りに比べて人通りが少ないせいかやっぱり景色が全然違って見えた。喋ると声はアーケードまで高く響くし空気も心無しか澄んでいるように感じた。
私と旬兄さんに距離を置きながら前を行く沢野菜月はかなり不貞腐れ気味。
自分が蒔いた種で自爆したくせに開き直りが止まらずひとりで口を尖んがからしてぶつくさ呟いて歩いていた。
「仕方ないやん、うちはちゃんと測ってんもん。ちゃんと陽性出たから産婦人科行った、そんな私の何が悪いのん?」
通りをいく人達が、何この子?と振り返るのも気に留めるそぶりもなくやっぱりぶつくさは止まんない。
朝イチから私と旬兄さんが菜月と四条河原町で待ち合わせて行ったのは交差点近くの最近できたばかりの小洒落たビルの中にある産婦人科。
菜月がオンライン診療で相談して自由診療にも関わらず初診料が格安
なのが気に入ってここに決めたらしかった。
待ち構えていたのは50代くらいと思しき若作りしたおばさん女医さんで
問診を行いエコー検査を10分程で手際よくこなして30分もかからない内に結果が出た。
「妊娠の兆候はなしですよ」と満面の笑顔でその結果を菜月に告げた。
菜月の17歳という若さで妊娠しなかったのはこのおばさん女医さんにしたら
めでたい事だったのかもしれない。
ただ菜月は違ってた。
もしかしたら菜月にはもう既に覚悟があってそこには幼い母性というものが宿っていたのかもしれない。
みるみる涙が溢れて「何でそんなに先生は嬉しそうに言うんですか?」とおばさん女医さんに食ってかかった。
宥める私と旬兄さんを振り切って菜月は半べそかきながら外へ。
結局、初診料に検査料が加えられた2万5000円を私と旬兄さんで支払った結果だけが残った形になった。
「菜月、その涙は嘘やないやろな」
表で待っていた菜月に私はできるだけ穏やかな口調でそう言った。
「んな訳ない」目を合わさずにぷいっと明後日の方に顔を向けて菜月は歩き出したという次第。
「まぁサラダが疑う気持ちも分からないでは無いけど、お金はともかく陰性でショックを受けてるのは間違いないんやから」
そう耳元で囁く、モヤモヤが治まらない私の熱を冷まそうとする旬兄さん。
昨夜は久しぶりに自宅の紗那夢の元へ帰ろうとしてた旬兄さんは今日の為に侘助堂に一晩泊まった。
おそらく紗那夢からはグチグチ小言を言われるのは旬兄さん本人より私の方だ
いつもそうだ。
紗那夢はなにかあるといつも私に吐け口を求めてくる。
昼もすぎればきっと私のラインにはプンプンつんつんと尖んがったスタンプが並ぶことだろう。
「ふぅーう」
5メートルほど前を行く、菜月のツインテールが大きく左右にゆれるのを眺めながら大きな溜息がまたひとつ出た。
「私は菜月に関してはいつもの事やからかまへんけど。こっちこそ余計な事に関わらしてごめんやで、旬兄さん」
何も言わずにただ微笑みながら小さく首を振る旬兄さん。
少し垂れ下がったセントバーナードみたいなその愛嬌のある目と、はにかんだ時に現れるその笑窪。それが口ほどにものを言う男としての最強の武器だと言うのをこの人は自覚してるんやろか。
「とりあえずお腹減ったわ!、三条スタバへレッツゴーやで、サラダ!!」
「ちょっとぉ!、菜月!?」
昼からの通りに比べて人通りが少ないせいかやっぱり景色が全然違って見えた。喋ると声はアーケードまで高く響くし空気も心無しか澄んでいるように感じた。
私と旬兄さんに距離を置きながら前を行く沢野菜月はかなり不貞腐れ気味。
自分が蒔いた種で自爆したくせに開き直りが止まらずひとりで口を尖んがからしてぶつくさ呟いて歩いていた。
「仕方ないやん、うちはちゃんと測ってんもん。ちゃんと陽性出たから産婦人科行った、そんな私の何が悪いのん?」
通りをいく人達が、何この子?と振り返るのも気に留めるそぶりもなくやっぱりぶつくさは止まんない。
朝イチから私と旬兄さんが菜月と四条河原町で待ち合わせて行ったのは交差点近くの最近できたばかりの小洒落たビルの中にある産婦人科。
菜月がオンライン診療で相談して自由診療にも関わらず初診料が格安
なのが気に入ってここに決めたらしかった。
待ち構えていたのは50代くらいと思しき若作りしたおばさん女医さんで
問診を行いエコー検査を10分程で手際よくこなして30分もかからない内に結果が出た。
「妊娠の兆候はなしですよ」と満面の笑顔でその結果を菜月に告げた。
菜月の17歳という若さで妊娠しなかったのはこのおばさん女医さんにしたら
めでたい事だったのかもしれない。
ただ菜月は違ってた。
もしかしたら菜月にはもう既に覚悟があってそこには幼い母性というものが宿っていたのかもしれない。
みるみる涙が溢れて「何でそんなに先生は嬉しそうに言うんですか?」とおばさん女医さんに食ってかかった。
宥める私と旬兄さんを振り切って菜月は半べそかきながら外へ。
結局、初診料に検査料が加えられた2万5000円を私と旬兄さんで支払った結果だけが残った形になった。
「菜月、その涙は嘘やないやろな」
表で待っていた菜月に私はできるだけ穏やかな口調でそう言った。
「んな訳ない」目を合わさずにぷいっと明後日の方に顔を向けて菜月は歩き出したという次第。
「まぁサラダが疑う気持ちも分からないでは無いけど、お金はともかく陰性でショックを受けてるのは間違いないんやから」
そう耳元で囁く、モヤモヤが治まらない私の熱を冷まそうとする旬兄さん。
昨夜は久しぶりに自宅の紗那夢の元へ帰ろうとしてた旬兄さんは今日の為に侘助堂に一晩泊まった。
おそらく紗那夢からはグチグチ小言を言われるのは旬兄さん本人より私の方だ
いつもそうだ。
紗那夢はなにかあるといつも私に吐け口を求めてくる。
昼もすぎればきっと私のラインにはプンプンつんつんと尖んがったスタンプが並ぶことだろう。
「ふぅーう」
5メートルほど前を行く、菜月のツインテールが大きく左右にゆれるのを眺めながら大きな溜息がまたひとつ出た。
「私は菜月に関してはいつもの事やからかまへんけど。こっちこそ余計な事に関わらしてごめんやで、旬兄さん」
何も言わずにただ微笑みながら小さく首を振る旬兄さん。
少し垂れ下がったセントバーナードみたいなその愛嬌のある目と、はにかんだ時に現れるその笑窪。それが口ほどにものを言う男としての最強の武器だと言うのをこの人は自覚してるんやろか。
「とりあえずお腹減ったわ!、三条スタバへレッツゴーやで、サラダ!!」
「ちょっとぉ!、菜月!?」
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