氷の令嬢は愛されたい

むんず

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69話・メイド達

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私は朝早く起きてしまったため、部屋で本を読んでいた。
これも、私が自由になった時にしたかったことの一つである。

そもそも、本好きなのに本を読むことが許されなかったのだ。
まだ、本を部屋に持ってきて読んでいると、少しそわそわしてしまうが、落ち着いた気分で読めるというのは、やはり私が思った通りとても楽しかった。

一枚、一枚紙をめくるのも心地よかった。

物語が中盤に差し掛かった頃、部屋のドアがノックされる。

「お嬢様、おはようございます。読書中でしたか?ご迷惑だったら後程来ます」

部屋にやってきたのは、ミレーナだった。
私は、しおりを挟み本をパタンと閉じる。

「いいえ、大丈夫よ。そろそろ辞めようと思っていたところだったの」

今日は、この部屋にやってきてから二日目。
メーリスと会話をする日がやってきた。

少し緊張するけれど、ちゃんと話し合わなくてはいけない。

果たして、メーリスが本当のことを話してくれるかどうかは分からないが、私はメーリスに向き合わなくては。

「お嬢様、昨日殿下との散歩はどうでしたか?」

ミレーナは他のメイドらと協力しながら私のヘアアレンジをする。

「とても楽しかったわ」

私は昨日のことを思い出しながらそう言った。
このお城を案内してもらったのだが、広すぎて半分回るのに数時間もかかってしまった。

残りの半分は、ことが落ち着いたら、という約束をした。

王太子は出会った頃よりも、沢山話すようになったような気がするし、沢山笑っているような気がする。
私が変わったから、というのもあるだろう。

あの頃は、まさか私たちがこんな関係になるなんて思いもしなかった。

「良かったです。昨日の殿下の笑顔、私達も始めてみました。あんな表情を見せるのはお嬢様だけですよ」

そう言われると自惚れてしまいそうだ。

「そうかしら?」

ふと、目の前の鏡を見ると、私の髪が綺麗にまとめられていた。

「お嬢様はお団子も似合いますね。本日は水色のドレスを用意しました」

私のような癖毛でもこんなに綺麗にまとまるなんて、なんか感動する。

私は水色のワンピースを着ながらなんとなく周りのメイドの数を数えてみる。
あれ、やっぱり増えてる?

初日にいた人数よりも増えている気がする。

「皆、二日にわたって沢山仕事させちゃってごめんね。私がメーリスと話しているときは休んでいてね」

私は、周りのメイド達と視線を合わせて、そういった。
私は王太子のおかげで、こんなに贅沢な生活をさせてもらっているが、本来はメイドが周りに沢山いるなんて許されない身分だった。

やっぱり、メイド達と王太子に感謝しなきゃ。

私は、朝食をササっと済ませた後、ミレーナにも休むように告げた、メーリスと合う時間まで本を読むことにした。
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