古の武器を強奪するため、他国へ潜入いたします〜やる気は、どこかに置いて来ました(笑)〜

いく

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(どうしてこんなことになってるんでしょうか?)


赤塚は特に危機感も感じないまま、今日一日の行動を思い返す。

公州国に入国してすぐに先に入り込んでいた諜報員と接触して、今までに調べ上げたデータや進み具合等々を確認。

終わったのがちょうど夕食の時間帯だったから、何か食べようと繁華街をふらついていた。

そしていきなり路地裏に引き込まれてー


「はぁ」


大きな溜め息も出るというものだ。

なんで自分は絡まれているんだろうか。


「兄ちゃん見ない顔だな、旅行かい?」


「そんなところです」


「金持ってる?」


「それなりには持ち合わせてますよ」


「じゃあさ、俺たちに少し分けてくれよ。今日の飲み食い代が乏しくてよ、困ってたとこなんだ」


「それは大変ですね」


自分よりいくらか背の高いガラの悪そうな男たちと、人通りのない路地裏で交わしている状況……明らかにたかられているとしか思えない。

五人の男に囲まれている状況を冷静に判断するとそんな感じだった。

目の前の男たちをみてもう一度大きな溜め息をつく。


「なぁ兄ちゃん、これなんだか分かってる?」


これイコール首に突きつけられているもの。

何でいちいちそんなことを聞くのかと、内心呆れながらも赤塚は答えた。


「あぁ、実銃みたいですね。
この国でモデルガンを持っているほうが珍しいみたいですし。
でもあまり良いものではなさそうですね、これならモデルガンと大して変わらないんじゃないですか?」


イライラとしたのも相まって、ついつい赤塚が嫌みを交ぜて応えたのが気にくわなかったらしい。

脅しで使われていた銃の銃口が、グイと赤塚の首にめり込んできたのだから。


「……痛いんですけど」


赤塚がそう苦情を口にするも、相手方は聞いてくれる気はないらしい。


「弾丸をぶち込まれたくなかったら有り金全部出せって、何度言ったらその頭は理解できるんだ? あぁ?」


変わらず銃口を押しつけながら脅迫してくる男に鬱陶しさを覚えながら、赤塚は怯えるわけでもなく、淡々と言葉を口にした。

たっぷりと皮肉を込めて。


「理解はしていますよ。
でも金を出せと言われて素直に出すお馬鹿さんって、今時珍しいと思いますよ。脅し文句をもう少し考えてみたらどうですか?
 例えばそうですね……『実は失業してしまって』とか。
『娘が病気で』とかはどうでしょうか?
もしかしたら同情してお金をくれる人がいるかもしれませんよ」


「兄ちゃん、俺らをおちょくってんのか?」


「よく分かりましたね、鈍そうだから気がつかないかと思いました」


赤塚は、思いっきり首を縦に振りながら肯定する。
銃口が食い込んだのは、今は気にしないでおいた。まぁ、多少痛いけれども。

ついでに、これ以上付き合う気はしなかったので、赤塚は面倒ながらも事態の終息に動くことにした。


「僕も暇ではないのでもう終わりにしてくれませんか? 
そろそろお腹もすいてきましたし、おちょくるのも飽きました。
というわけで帰らせていただきたいんですけど」


「誰が逃がすかよ」

赤塚は男たちのしつこさに眉をひそませた。

しつこい、しつこすぎる。


「もういい加減にしてください。
暇じゃないと言ったはずです。
これ以上僕を引き止めるのなら容赦はしませんよ」


銃口を突きつけていた男が、赤塚を見て馬鹿にするように鼻で笑った。


「おもしろい、お前に何ができるってんだ?
こっちはすぐにでもこの首に風穴開けることもできるんだ。
なんなら今あけてやろうか?」


「だからそういうのは遠慮しますって言ってるじゃないですか。
あなたこそ、一度頭に穴あけて風を通した方がいいんじゃないですか? 
少しはその頭が賢くなると思いますけど、元がダメならダメですね。
どうしようもありません」


「……最後の警告だ。
金を出すのか出さねえのか、二つに一つだ。
出さなきゃどうなるか分かってるよな?」


赤塚はもう何度目か分からないため息をついた。


「僕からも最後の警告をさせていただきますよ。
即刻僕の前から消えてください。
もし消えなかった場合、手を出させてもらいます」


「出すのか出さねえのかどっちだって聞いてんだよ!」


「……警告はしましたよ」


赤塚はポケットに手を突っ込んだ。

男たちはようやく観念したかとニヤニヤして、お互いに目配せをしている。
赤塚に銃を突きつけていた男も口元を緩め、突きつけていた銃の力を少し弱めた。

ふっと、赤塚は笑みをこぼした。

怪訝な顔をした男に気づかれるよりも前に、赤塚は隠し持っていたナイフを素早く引き抜いた。

ざっくりと男の手を引き裂けば、汚い悲鳴とともに男が持っていた銃が地面に落ちる。

男の仲間たちが何があったのかとこちらに視線を向けてきた。

腕から血を流してのた打ち回っている男を足でどかし、赤塚はまだ血が滴り落ちるナイフを振って血を払った。


血を払ったナイフを片手に、ゆっくりと赤塚は残った男の仲間たちを一瞥した。


「ひっ」


男の仲間の一人が後ずさる。


「馬鹿! ビビるな!」


さらに横にいる男が叫んだが、その声は上ずっていた。

赤塚は一歩、男たちに近づく。


「逃げー」


男の言葉は途中で不自然に切れた。

男の目の前に、誰かがいた。
背は高く、細身な体つきをしている。

赤塚の位置からも見えるそいつは、何も言わずに何かを放った。

それがヤバいものだと気づくのに、時間はかからなかった。

カチッという音がして、眩しすぎる光が路地裏を包み込む。

光が目に入るよりも前に、赤塚はすっと息を吸い込むと地面でのた打ち回っていた男を持ちあげ盾にした。

そして、男を持ち上げたまま視界を閉じる。

さっきまで前方で騒いでいた奴らとは違う誰かの気配。

かさっという微かな音。

騒いでいた男たちの声が一つまた一つと消えていく。

それに呼応してドサッという、男たちの体が地につく音が聞こえた。

誰かの気配はどんどん近づいてきている。

誰かが止まったと思った瞬間に声が途切れていくのをみると、この気配の主が何かをやらかしているとみて、間違いはなさそうだ。

五つ目の声が消え、気配は目の前まできている。

すでに気を失っている男を投げ捨て、赤塚は気配のほうに全集中力を向けた。
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