ようこそときめき部!~夢も恋も見つかる⁉ときめきだらけの部活動

四条葵

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2、ようこそ、ときめき部へ!

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 ときめき部の活動場所である多目的教室に足を踏み入れると、そこは、いわゆる混沌カオスと表現するのに相応しい空間だった。


 広いはずの教室が、物であふれかえっていて、辺りがごちゃごちゃと物で埋めつくされている。
 しかもその置いてあるものが多種多様だった。
 望遠鏡が置いてあったり、盆栽があったり、何故かマイクや、プリンターのようなものもあって、統一感がまるでなかった。


「こ、ここがときめき部……?」


 ときめき、って言葉から、キラキラしたイメージを持っていたんだけど、その雑多なときめきどころではないごちゃごちゃの部屋を見て、私はぽかんと口を開けた。

 ときめき部、っていうよりも、ごちゃごちゃ部って感じ…………。


「いやあ、ごめんねぇ、散らかってて~」


 三滝先輩はあはは~と頭をかきながら、椅子に乗せられていたプリンターをその辺の床に下ろした。


「さ、ここにどうぞ」
「あ、ありがとうございます……」


 用意してもらった椅子に腰を下ろして、改めて辺りを見回してみても、やっぱり室内は物であふれかえってごちゃごちゃしていた。
 私の向かいに丸椅子を持ってきた三滝先輩は、私ににこりと笑いかける。


「で、真面目にときめき部に入部希望? ええと、」
「さ、咲森 みのりです!」
「みのりちゃん。ちなみにときめき部の、なに部の入部希望なのかな?」
「え? ……え?」


 ときめき部の、なに部????


 三滝先輩の言っている意味がわからなくて、私は思わず首をかしげた。

「なんだ、知らずにここへ来たのか」


 夏目先輩がいつからか傍で文庫本を読んでいて、その本をぱたんと閉じて言った。


「えっと……、すみません……。よくわからずに来てしまいました……」


 先輩二人に囲まれ、私が小さくなっていると、部屋の奥、物が高く積まれたところから聞きおぼえのある声がした。


「あれっ? 咲森さん?」


 物と物の間からひょこっと顔を出したのは、星名くんだった。


「えっ、星名くん?」


 星名くんは相変わらず人好きのする笑みを浮かべて、こっちにやってくる。


「みのりちゃんと星名ちゃんは、知り合い?」


 三滝先輩に聞かれて、「同じクラスなんです」と星名くんが爽やかに答える。
 「ね?」と話を振られて、私はこくこくとうなずいた。


「星名くんも、ときめき部の体験入部に来たの?」
「うん。というか、俺はもう入部も決めてる」
「ええっ! そうなんだ!」


 入学一日目にして、ときめき部に入部を決めるなんて。星名くん、決断力あるな……!
 優柔不断な私とは大違い。


「二人が知り合いなら、星名ちゃん、ときめき部について説明してあげてよ」


 三滝先輩に言われ、星名くんが「わかりました」とうなずく。


「咲森さん、さっき三滝先輩に『ときめき部の、なに部の入部希望』か、って聞かれたよね?」
「う、うん……」


 ときめき部のなに部、ってどういう意味なんだろう?

 私の疑問に答えるように、星名くんはていねいに説明してくれる。


「ときめき部は、五つの部活があわさった部活動なんだ」
「あわさる? 五つの部活が合体してる、ってこと?」
「その通り! 文芸部、写真部、軽音部、放送部、そして天文部。この五つの部活動がまとまった部が、ときめき部!」
「そうだったんだ!」


 三滝先輩が少し困ったように眉を下げながら、補足してくれる。


「どの部活動も部員が一人しかいないんだ。部活動は三人以上いないと成り立たないから、こうして五つの部を合体させて、ときめき部って名前で活動してるわけ」
「なるほど……!」
「活動自体はバラバラだ。文芸部は文芸部の活動を、写真部は写真部の活動を。それぞれの部が、この教室でそれぞれの部活をしている」


 夏目先輩の説明に、私はそっか! だから! と納得した。


 この教室は物であふれていて、しかもその物に統一感がない。
 きっとそれは、五つの部が使う備品が、雑多に置かれているからなんだ!


「ちなみに、ときめき部、という部活名の由来は……?」


 私の質問に、「ああ、それはね」と三滝先輩が自信たっぷりに言う。


「いろんな部活があって、夢と希望がつまってるから! ね? ときめくでしょ?」


 私は目をぱちぱちと瞬かせる。
 横で夏目先輩が盛大にため息をついた。


「三滝が勝手にときめき部とかいう、変な部活名で登録したんだ」
「変な部活名ってひどくない? いろんなジャンルがあって夢いっぱいじゃん! ときめくじゃん! で、みのりちゃんはときめき部の、なに部に入部希望?」
「え?」


 三滝先輩が、私にずいっと顔を寄せる。


「もちろん、写真部だよね? 写真部は俺一人だから、みのりちゃんが入部してくれたらすっごく嬉しいなぁ。二人きりで、色々教えてあげるよ?」


 三滝先輩を押しのけて、夏目先輩が言う。


「いや、咲森は文芸部に入れ。お前は他の女子みたいな態度はとらないし、本も好きそうだ。ならきっと文章も書ける。文芸部に決まりだ」
「え? え?」


 きらきらのお顔から距離を取るように、私は星名くんに助けを求めた。


「ほ、星名くん……!」


 けれど星名くんは、困ったように眉を下げて笑った。


「えっと……、俺、実はときめき部の天文部に入部したんだけど、部員が俺しかいないんだ。咲森さんが天文部に入ってくれたら、すっごく嬉しいんだけど……」


 えへへ、と笑う星名くんに、私は目をぱちくりさせる。
 どうやらこの場に、私を助けてくれる人はいないみたい?


「どう? みのりちゃん? 写真部! 楽しいよ~」
「文芸部一択だろ。他に考える余地などない」
「咲森さん、天文部どう? きみと一緒に星が見れたら嬉しいな」


 三滝先輩、夏目先輩、星名くんから、それぞれの部に勧誘されて、私の頭は混乱した。

 ど、どうしたらいいの!?

 すぐに決断できない優柔不断な私は、ひとまずこう言うことにした。



「と、とりあえず! 体験入部からはじめることにしますっ!?」



 そんなこんなで、私はひとまず、ときめき部に仮入部することになったのだった。



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