187 / 389
新たな旅 ー王都ー
349
しおりを挟む
「それじゃ、みんなはお留守番お願いね。
お土産は持ってこれるだけ貰ってくるわね。」
オルガ夫人は送りにきた子供達の頭を撫でた。
「うん。任せて!ここは僕達が守るから!」
「お土産は何かなー。」
「お庭に行こうよ!」
「ニナもお土産ー。」
子供達と離宮・シグマで留守番のアウラも鼻息を荒く頷いた。
「それじゃ、後をお願いします。」
「分かった。気をつけてな。」
流石に奴隷の身分のヒューゴを連れていけないと、茶会の護衛は従者達と騎士団長含め4人の騎士。
そしてゼンとソルを連れたイオリが行くことになった。
そうは言っても参加するわけではなく庭に立っていれば良いとの事であった。
ポーレット公爵夫婦は揃いの白地に仄かな菫色のグラデーションの礼装とドレスを纏い、テオルドの肩には小さなバンデが乗っていた。
ニコライは白と青を使った礼装、ヴァルトは白と緑と少しの赤を使った礼装とそれぞれの従魔の色を利用していた。
勿論、従魔達も腕に抱かれている。
従者達もそれぞれの礼服で身を整え、イオリに至っては上から下まで真っ黒のいつもの戦闘服であった。
「俺だけこんな格好でいいんですかね?」
不安気にノアに聞けば
「何を言う。黒はイオリの色だろう。しかも、アースガイルの名工カサドが作りし防具。
何よりも、ワイシャツにベストなどしっかりとした服装ではないか。
自信を持って行けばいい。
本日は国王陛下と話す事はないと思うが、視線は送られるだろうな。」
「ですよね・・・。」
だんだんと体が重くなったイオリは大きな溜息を吐いた。
________
茶会の会場であるエトワールには名前を呼ばれた貴族達がワラワラとテーブルを囲った。
慣れたベテラン貴族達は思い思いに寛いでいるが、若き貴族子息や令嬢は興奮していた。
もしかしたら、結婚相手が決まるかもしれないからである。
滅多に入ることの出来ない王城で、しかも名庭エトワールで出逢ったとあれば話題も尽きないだろう。
そんな中、ローブを被った男性に付き添われてミズガルドの第3王女ロザリンダが姿を現した。
それまで騒がしくしていた貴族達が一斉に静かになった。
ご自慢のピンク色のフワフワ髪を結い上げて、大きめな髪飾りをつけていた。
鮮やかな真っ赤なドレスが彼女のオーラをより引き立てていた。
ロザリンダが席に座ると同席の令嬢達が褒め叩いていた。
そんな時だった。
「ポーレット公爵!テオルド・ドゥ・ポーレット閣下ご入場!!
並びに奥方オルガ・ポーレット様。御子息ニコライ・ドゥ・ポーレット様。ヴァルト・ドゥ・ポーレット様ご入場!!」
先ほどまでの静けさが嘘のようにエトワールは華やいだ。
「お久しぶりにございます。ポーレット公爵閣下。」
「オルガ様。相変わらずお美しいですわ。」
「見て!ニコライ様とヴァルト様よ。
お二人ともまだ婚約者がいらっしゃらないのよね?
お声かけ頂きたいわー。」
「「「ステキねー!!」」」
声がかけられる中、ポーレット公爵一家は上座、つまり国王一家と同じテーブルについたのであった。
ポーレット公爵の登場により盛り上がりを見せた茶会の場が一気に鎮まった。
「国王陛下、王妃殿下、王太子殿下、ディビット殿下がご入場されます!!」
騎士の声に反応した貴族達が一斉に立ち上がり礼のポーズをとり国王陛下一家を迎え入れた。
同じく頭を下げながらもイオリは自分とは別世界の空間を静かに観察し続けた。
「面をあげよ。」
国王陛下の第一声により、茶会が初められようとしていた。
お土産は持ってこれるだけ貰ってくるわね。」
オルガ夫人は送りにきた子供達の頭を撫でた。
「うん。任せて!ここは僕達が守るから!」
「お土産は何かなー。」
「お庭に行こうよ!」
「ニナもお土産ー。」
子供達と離宮・シグマで留守番のアウラも鼻息を荒く頷いた。
「それじゃ、後をお願いします。」
「分かった。気をつけてな。」
流石に奴隷の身分のヒューゴを連れていけないと、茶会の護衛は従者達と騎士団長含め4人の騎士。
そしてゼンとソルを連れたイオリが行くことになった。
そうは言っても参加するわけではなく庭に立っていれば良いとの事であった。
ポーレット公爵夫婦は揃いの白地に仄かな菫色のグラデーションの礼装とドレスを纏い、テオルドの肩には小さなバンデが乗っていた。
ニコライは白と青を使った礼装、ヴァルトは白と緑と少しの赤を使った礼装とそれぞれの従魔の色を利用していた。
勿論、従魔達も腕に抱かれている。
従者達もそれぞれの礼服で身を整え、イオリに至っては上から下まで真っ黒のいつもの戦闘服であった。
「俺だけこんな格好でいいんですかね?」
不安気にノアに聞けば
「何を言う。黒はイオリの色だろう。しかも、アースガイルの名工カサドが作りし防具。
何よりも、ワイシャツにベストなどしっかりとした服装ではないか。
自信を持って行けばいい。
本日は国王陛下と話す事はないと思うが、視線は送られるだろうな。」
「ですよね・・・。」
だんだんと体が重くなったイオリは大きな溜息を吐いた。
________
茶会の会場であるエトワールには名前を呼ばれた貴族達がワラワラとテーブルを囲った。
慣れたベテラン貴族達は思い思いに寛いでいるが、若き貴族子息や令嬢は興奮していた。
もしかしたら、結婚相手が決まるかもしれないからである。
滅多に入ることの出来ない王城で、しかも名庭エトワールで出逢ったとあれば話題も尽きないだろう。
そんな中、ローブを被った男性に付き添われてミズガルドの第3王女ロザリンダが姿を現した。
それまで騒がしくしていた貴族達が一斉に静かになった。
ご自慢のピンク色のフワフワ髪を結い上げて、大きめな髪飾りをつけていた。
鮮やかな真っ赤なドレスが彼女のオーラをより引き立てていた。
ロザリンダが席に座ると同席の令嬢達が褒め叩いていた。
そんな時だった。
「ポーレット公爵!テオルド・ドゥ・ポーレット閣下ご入場!!
並びに奥方オルガ・ポーレット様。御子息ニコライ・ドゥ・ポーレット様。ヴァルト・ドゥ・ポーレット様ご入場!!」
先ほどまでの静けさが嘘のようにエトワールは華やいだ。
「お久しぶりにございます。ポーレット公爵閣下。」
「オルガ様。相変わらずお美しいですわ。」
「見て!ニコライ様とヴァルト様よ。
お二人ともまだ婚約者がいらっしゃらないのよね?
お声かけ頂きたいわー。」
「「「ステキねー!!」」」
声がかけられる中、ポーレット公爵一家は上座、つまり国王一家と同じテーブルについたのであった。
ポーレット公爵の登場により盛り上がりを見せた茶会の場が一気に鎮まった。
「国王陛下、王妃殿下、王太子殿下、ディビット殿下がご入場されます!!」
騎士の声に反応した貴族達が一斉に立ち上がり礼のポーズをとり国王陛下一家を迎え入れた。
同じく頭を下げながらもイオリは自分とは別世界の空間を静かに観察し続けた。
「面をあげよ。」
国王陛下の第一声により、茶会が初められようとしていた。
2,068
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
異世界に転生したけど、ボクは何をすればいい?まずは生活を快適にすることから始めようか?!〜塩味だけの世界に前世の知識で美味い料理作ってく〜
あんり
ファンタジー
下門快斗は20歳で事故に遭い、ちょっぴり残念な女神様に異世界転生のチャンスをもらった。
新たな名はカイト・ブラウン・マーシュ。マーシュ辺境伯家の嫡男として生まれ変わるが、待っていたのは「塩味だけの料理」しかない世界!?
「そんなの耐えられない!ボクが美味しいご飯を作る!」
前世の知識で和食や沖縄料理を振る舞えば、パパ、ママたち異世界人は驚き、感動に打ち震え、夢中になる。
さらに女神様からは、全属性魔法+新たな魔法を作れる“創造魔法”の祝福を授かり、どんな傷も癒す聖水に変わる魔法のペットボトルを手にし、ついには女神の使いである幻獣・白虎と契約してしまう!
美味しいご飯と不思議な魔法、そして仲間たちに愛されて。
笑いあり、クスッとありの“グルメ&ファンタジーライフ”が、今ここに始まる!
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!
ちっき
ファンタジー
【書籍出ました!】
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く異世界での日常を全力で楽しむ女子高生の物語。
暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。