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新たな旅 ー王都ー
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この日を待ちに待った貴族達は招待された誉と共に豪華な衣装を身にまとい王城へと集まった。
王城ではこの日に向けて王妃が好む黄色をメインに装飾が施されていた。
騎士を始め文官も従者もメイドも慌ただしく、かと言って音も立てずに動き回っていた。
当然、あのタヴァロス侯爵家の面々の気合いの入れようなど凄まじかった。
結局、あの後から7枚のドレスを購入し毎日どれにしようかと悩む日々。
やっとドレスが決まったかと思えば髪型やら装飾品の選定にも時間が掛かった。
付き合わされるメイドや使用人は連日疲弊していき、一家が馬車で出発すると安堵で倒れ込む者もいた。
「お父様!やっと、この日が来たわ。
楽しみね!」
「そうだな。
一生懸命にドレスを選んだんだ。お前が1番美しいだろう。」
そんな父娘に対して母であるドーリーは一抹の不安を口にした。
「でも、ギゼラが1番だったらロザリンダ様が嫌な気分にならないかしら?
あの方、夜会で目立つ令嬢を虐めるんですって。
うちのギゼラが目につけられたら・・・。」
そんな母の言葉に青ざめるギゼラに父・タヴァロス侯爵は笑った。
「ははは。ドーリーは心配性だな。
ロザリンダ様が気に入らなかったのは位の低い貴族達だ。
私達は平気だよ。むしろ、気に入っていただけるのではないか?」
「うふふふ。そうよ。
どこかの子爵や伯爵と違うもの。
私は王太子殿下ではなくニコライ様を慕っているのですから、気にしないでしょう。」
「オホホホ。そうね。
私の考えすぎだわね。
オルガ夫人ともお会いするのが楽しみだわ。」
実に楽しそうにタヴァロス侯爵家の馬車は王城へ進んでいった。
________
「姫様。出来上がりましてございます。」
メイドの声かけに目を開け鏡の自分を確認した。
「いいわ。」
「お扇子でございます。」
ミズガルドからついて来た婆やから扇子を受け取るともう一度、鏡の中の自分を確認した。
「参りましょう。」
扉を開け廊下に立っている騎士が頭を下げるのを静かな目で見据えた。
「ロザリンダ様。会場までお送りしましょう。」
「ブリエ・・・。」
ブリエと呼ばれたローブの男はロザリンダの手を引くように歩み出した。
「姫様。どうぞ、いってらっしゃいませ。」
婆やを含めミズガルドから一緒にきたメイド達も頭を下げて見送った。
「今日はギルバート殿下とお話しできるかしら?」
「えぇ、殿下はロザリンダ様の美しいお姿に見惚れることでしょう。」
「新しいお仲間もいるとか?」
「国王陛下の弟君一家でございますね。ポーレット公爵と申されます。
奥方様並びに御子息が御二人ご出席されるとか。」
ロザリンダは興味なさげに頷くと廊下の端から聞こえてくるにこやかな笑い声に不愉快そうに顔を歪めた。
「本当につまらない国ね。
貴族の中にも獣人やドワーフがいるのよ。まぁ、エルフは美しいから良いけれど・・・。」
「変わった国でございますね。
確かポーレット公爵の専属冒険者のパーティーにエルフの子供がいるとか。」
「まぁ、子供が働かされているの?野蛮ね。
エルフは愛しく愛でなければいけないのに。」
ローブの中でブリエは口元を緩ませるとロザリンダに囁いた。
「その冒険者は実に興味深い青年でしてね。
純白の狼を連れているとか・・・。」
「純白・・・。」
ロザリンダは呟くと扇子で隠した口元を卑しくも歪めていた。
王城ではこの日に向けて王妃が好む黄色をメインに装飾が施されていた。
騎士を始め文官も従者もメイドも慌ただしく、かと言って音も立てずに動き回っていた。
当然、あのタヴァロス侯爵家の面々の気合いの入れようなど凄まじかった。
結局、あの後から7枚のドレスを購入し毎日どれにしようかと悩む日々。
やっとドレスが決まったかと思えば髪型やら装飾品の選定にも時間が掛かった。
付き合わされるメイドや使用人は連日疲弊していき、一家が馬車で出発すると安堵で倒れ込む者もいた。
「お父様!やっと、この日が来たわ。
楽しみね!」
「そうだな。
一生懸命にドレスを選んだんだ。お前が1番美しいだろう。」
そんな父娘に対して母であるドーリーは一抹の不安を口にした。
「でも、ギゼラが1番だったらロザリンダ様が嫌な気分にならないかしら?
あの方、夜会で目立つ令嬢を虐めるんですって。
うちのギゼラが目につけられたら・・・。」
そんな母の言葉に青ざめるギゼラに父・タヴァロス侯爵は笑った。
「ははは。ドーリーは心配性だな。
ロザリンダ様が気に入らなかったのは位の低い貴族達だ。
私達は平気だよ。むしろ、気に入っていただけるのではないか?」
「うふふふ。そうよ。
どこかの子爵や伯爵と違うもの。
私は王太子殿下ではなくニコライ様を慕っているのですから、気にしないでしょう。」
「オホホホ。そうね。
私の考えすぎだわね。
オルガ夫人ともお会いするのが楽しみだわ。」
実に楽しそうにタヴァロス侯爵家の馬車は王城へ進んでいった。
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「姫様。出来上がりましてございます。」
メイドの声かけに目を開け鏡の自分を確認した。
「いいわ。」
「お扇子でございます。」
ミズガルドからついて来た婆やから扇子を受け取るともう一度、鏡の中の自分を確認した。
「参りましょう。」
扉を開け廊下に立っている騎士が頭を下げるのを静かな目で見据えた。
「ロザリンダ様。会場までお送りしましょう。」
「ブリエ・・・。」
ブリエと呼ばれたローブの男はロザリンダの手を引くように歩み出した。
「姫様。どうぞ、いってらっしゃいませ。」
婆やを含めミズガルドから一緒にきたメイド達も頭を下げて見送った。
「今日はギルバート殿下とお話しできるかしら?」
「えぇ、殿下はロザリンダ様の美しいお姿に見惚れることでしょう。」
「新しいお仲間もいるとか?」
「国王陛下の弟君一家でございますね。ポーレット公爵と申されます。
奥方様並びに御子息が御二人ご出席されるとか。」
ロザリンダは興味なさげに頷くと廊下の端から聞こえてくるにこやかな笑い声に不愉快そうに顔を歪めた。
「本当につまらない国ね。
貴族の中にも獣人やドワーフがいるのよ。まぁ、エルフは美しいから良いけれど・・・。」
「変わった国でございますね。
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「まぁ、子供が働かされているの?野蛮ね。
エルフは愛しく愛でなければいけないのに。」
ローブの中でブリエは口元を緩ませるとロザリンダに囁いた。
「その冒険者は実に興味深い青年でしてね。
純白の狼を連れているとか・・・。」
「純白・・・。」
ロザリンダは呟くと扇子で隠した口元を卑しくも歪めていた。
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