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新たな旅 ーミズガルドー
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ミズガルドの王宮“クレムゾンパレス”は現在、混乱の中にいた。
貴族は我先にと逃げ始め、国王の安全など誰も気にしていない。
「だ・・・誰か・・・。
ワシを助けろ!!助けろ!!」
玉座の後ろでブルブルと震えていた国王イヴァンをグイっ!と引っ張る男がいた。
「何をしているんです?兄上。
さっさと立ってください。逃げますよ。」
病弱だと馬鹿にしていた義弟トーレチカがイヴァンを強引に立たせると足早に階段を降りていく。
「ヴァルト様の言いつけだ。
安全な場所まで供をしよう。」
ヴァハマンの元暗部リルラがトーレチカの側にやってきた。
「面倒をかける。」
トーレチカは一言かけると、騒ぐ兄を引き連れてリルラと他の元奴隷達と会場を後にした。
「おのれ!我らの邪魔をしおって!!
この邪心の怪物め!!」
怒るエルフの戦士達は異形と化したドミトリー・ドナードに遅いかかては魔力と魂を奪われていく。
ドミトリー・ドナードはその力を得て益々と大きくなっていった。
『あはははははは!!良いぞ!良いぞ!
やはり、私は間違っていなかった!
私の実験は成功したのだアァァァ!!』
今や、会場を壊し体の一部が城から出始めているドミトリー・ドナード。
イオリは見上げると静かに睨み付けていた。
『イオリ!!どうする?逃げる?逃げる?』
ゼンはイオリを心配して駆け寄ってくると袖を引っ張っている。
「イオリ!!」
ヴァルトは大きな声を上げながらも従者達を連れてイオリの側にやって来た。
「聞こえるんです・・・。」
「聞こえる?何がだ??」
イオリの言葉にヴァルト達は首を捻った。
「ドミトリー・ドナードの体の至る所から《助けて》って聞こえるんです・・・。」
悲しそうな顔をしたイオリはドミトリー・ドナードから目を離さずに一筋の涙を流した。
『あれは、あの男が奪い取ってきた多くの人間や生物の魂の声でしょう。
私にも聞こえます。』
ルチアは王宮と同じくらいの大きさに変化するドミトリー・ドナードを見上げた。
「犠牲者の魂か・・・哀れだ。」
ヴァルトも同じく見上げると己には聞こえない声を聞こうと耳をすませた。
今や、ミズガルドの王都の市民にも王宮の変化は気づかれていた。
街中でもパニックが起こり、弱き者が踏み付けにされたり引きずられたり地獄絵図の様であった。
その中でも貴族や、豪商達が馬車を使い王都を離れようとしていた時だった。
「静まれーーー!!
無意味な行動をすれば助かる命も助けられなくなる!!
善良なミズガルドの民ならば、落ち着いて騎士達の指示に従い避難しろ!!」
現れたのはトーレチカ大公領の旗を掲げた騎士達であった。
「主、トーレチカ大公様の命により全ての者の避難を誘導する。
落ち着いて、指示に従え。
貴族であろうと、金持ちであろうと、奴隷であろうと同じ様に助ける!!
皆が力を合わせれば犠牲者を少なくできるのだ。
さぁ、分かったら落ち着いて行動しろ!!」
すぐに貴族と奴隷と同等に扱うトーレチカ大公に不満が現れたが、騎士によって拘束をされると王宮に現れた魔獣の恐怖があってか大人しく従う者が増え出した。
「この国はどうなってしまうんだろう・・・。」
「お終いだ・・・お終いだ・・・。」
国を憂う声が上がる中
「どうせ腐った国だ。いつかはこうなる運命だったのさ。」
「さっきの貴族の慌てっぷりは気分が良かった。」
など、国に不満を持っていた者達がいた事も確かであった。
恐怖の中、王都を見下ろせる丘に避難をした市民が目撃したのは王宮・クレムゾンパレスを囲い込む程の大きな大きな真っ黒な蛇であった・・・。
貴族は我先にと逃げ始め、国王の安全など誰も気にしていない。
「だ・・・誰か・・・。
ワシを助けろ!!助けろ!!」
玉座の後ろでブルブルと震えていた国王イヴァンをグイっ!と引っ張る男がいた。
「何をしているんです?兄上。
さっさと立ってください。逃げますよ。」
病弱だと馬鹿にしていた義弟トーレチカがイヴァンを強引に立たせると足早に階段を降りていく。
「ヴァルト様の言いつけだ。
安全な場所まで供をしよう。」
ヴァハマンの元暗部リルラがトーレチカの側にやってきた。
「面倒をかける。」
トーレチカは一言かけると、騒ぐ兄を引き連れてリルラと他の元奴隷達と会場を後にした。
「おのれ!我らの邪魔をしおって!!
この邪心の怪物め!!」
怒るエルフの戦士達は異形と化したドミトリー・ドナードに遅いかかては魔力と魂を奪われていく。
ドミトリー・ドナードはその力を得て益々と大きくなっていった。
『あはははははは!!良いぞ!良いぞ!
やはり、私は間違っていなかった!
私の実験は成功したのだアァァァ!!』
今や、会場を壊し体の一部が城から出始めているドミトリー・ドナード。
イオリは見上げると静かに睨み付けていた。
『イオリ!!どうする?逃げる?逃げる?』
ゼンはイオリを心配して駆け寄ってくると袖を引っ張っている。
「イオリ!!」
ヴァルトは大きな声を上げながらも従者達を連れてイオリの側にやって来た。
「聞こえるんです・・・。」
「聞こえる?何がだ??」
イオリの言葉にヴァルト達は首を捻った。
「ドミトリー・ドナードの体の至る所から《助けて》って聞こえるんです・・・。」
悲しそうな顔をしたイオリはドミトリー・ドナードから目を離さずに一筋の涙を流した。
『あれは、あの男が奪い取ってきた多くの人間や生物の魂の声でしょう。
私にも聞こえます。』
ルチアは王宮と同じくらいの大きさに変化するドミトリー・ドナードを見上げた。
「犠牲者の魂か・・・哀れだ。」
ヴァルトも同じく見上げると己には聞こえない声を聞こうと耳をすませた。
今や、ミズガルドの王都の市民にも王宮の変化は気づかれていた。
街中でもパニックが起こり、弱き者が踏み付けにされたり引きずられたり地獄絵図の様であった。
その中でも貴族や、豪商達が馬車を使い王都を離れようとしていた時だった。
「静まれーーー!!
無意味な行動をすれば助かる命も助けられなくなる!!
善良なミズガルドの民ならば、落ち着いて騎士達の指示に従い避難しろ!!」
現れたのはトーレチカ大公領の旗を掲げた騎士達であった。
「主、トーレチカ大公様の命により全ての者の避難を誘導する。
落ち着いて、指示に従え。
貴族であろうと、金持ちであろうと、奴隷であろうと同じ様に助ける!!
皆が力を合わせれば犠牲者を少なくできるのだ。
さぁ、分かったら落ち着いて行動しろ!!」
すぐに貴族と奴隷と同等に扱うトーレチカ大公に不満が現れたが、騎士によって拘束をされると王宮に現れた魔獣の恐怖があってか大人しく従う者が増え出した。
「この国はどうなってしまうんだろう・・・。」
「お終いだ・・・お終いだ・・・。」
国を憂う声が上がる中
「どうせ腐った国だ。いつかはこうなる運命だったのさ。」
「さっきの貴族の慌てっぷりは気分が良かった。」
など、国に不満を持っていた者達がいた事も確かであった。
恐怖の中、王都を見下ろせる丘に避難をした市民が目撃したのは王宮・クレムゾンパレスを囲い込む程の大きな大きな真っ黒な蛇であった・・・。
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