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旅路〜イルツク〜
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砂嵐が起こっている土地にある洞窟の奥・・・
祭壇の前に無数の細い蝋燭が並び、火が灯されていた。
その内の3つの蝋燭の火が消えると1人の男が息をついた。
「散った命が出たか・・・。」
男は振り向くと同胞達を前に手を掲げた。
「同胞の命が潰えたようだ。
愚かしい事だ。
よもや、お前達の中に鍛錬を怠っている愚者はおらぬだろうな。
最早、ダークエルフ・ルミエール様の復活は時を期した。
再び、我らエルフが世界を掌握するのだ!!」
男の話を聞いていた一団は立ち上がると手をあげて吠えた。
「「「「「ダークエルフ・ルミエール様の御身の為に!!」」」」」
男達が崇める祭壇の奥で布越しに黒いシルエット揺れていた。
_________
「って訳で、こちらが“深淵のダンジョン”の主であり、イルツクの地を守護している“オリオン”さんです。」
実に簡単にお隣さんを紹介するようにイオリは満面の笑みで一同を見渡した。
「・・・何が何だか。」
「・・・えっ?ダンジョンの主って守護者でもあるの?」
「大きい亀さん!」
「何歳なの?」
「コミュニケーション取れるのか?」
合流組は事態が飲み込めないのか戸惑うばかりである。
『その者達もイオリの仲間か?』
突然、頭に響き渡る声にアレックスは身構えた。
それを手で制したイオリはニコニコと頷く。
「そうですよ。
双子とヒューゴさんは家族です。
アレックスさんとロジャーさんは友達ですよ。」
イオリに友達と言われ、照れるアレックスとロジャーを子供達が揶揄うように笑った。
「亀さん。
何歳なの?
何を食べたらそんなに大きくなるの?
いつも暗い所で寂しくないの?」
矢継ぎ早に質問するパティに慌てるイオリであったが、地を揺らすような笑い声が響いた。
『フォフォフォフォ・・・。
実に面白い子だ。
年は最早数えておらぬ。
いくつであったろうか。
我らは普段、食を得ぬ。
我らを思う民の力が生命のエネルギーとなるのだ。
しかし、先程のポップコーンなるものは面白かった。
暗い所で寂しいと聞かれれば、・・・いいや。
我らは様々なものを感知して生きておる。
この場に居ようとも様々な物が感じ取れるし見えるのだ。』
自身の質問に丁寧に答えてくれた事に感激したのかパティは走り寄るとオリオンの顔に張り付いた。
「生命のエネルギーか・・・。
以前、どこかで聞いたことがあるな。」
イオリが考え込むとナギが腰をツンツンとした。
《アマメだよ。
オリオンの感覚はアマメに似ているんだよ。》
「そうか!
アマメかっ!」
嬉しそうにするイオリにアレックスやディエゴ・ギロック騎士団長は首を傾げた。
「なんだ?それは?」
「アマメとは?」
イオリは皆んなに嬉しそうに説明した。
「以前、ポーレットの街を襲ったアマメという大きな鹿の魔獣がいたんです。
正確には欲に塗れた人間に自身の子供を誘拐されポーレットを襲う事に利用されたのですが・・・。
そのアマメはパライソの森の主なんです。
アマメが怒りで我を忘れると、同じくしてパライソの森が腐敗していったそうです。
何とか子供を救出しアマメの元に返した事でポーレットは許されたのですが、そのアマメとオリオンに流れる感覚に似ているんです。」
ポーレットに巨大な鹿が現れたと聞いた事のある2人は驚きながらも頷いた。
『当然だ。
アマメは我らと同じ存在なのだから。』
「やっぱり!」
大亀のオリオンの答えにイオリはニッコリとした。
砂嵐が起こっている土地にある洞窟の奥・・・
祭壇の前に無数の細い蝋燭が並び、火が灯されていた。
その内の3つの蝋燭の火が消えると1人の男が息をついた。
「散った命が出たか・・・。」
男は振り向くと同胞達を前に手を掲げた。
「同胞の命が潰えたようだ。
愚かしい事だ。
よもや、お前達の中に鍛錬を怠っている愚者はおらぬだろうな。
最早、ダークエルフ・ルミエール様の復活は時を期した。
再び、我らエルフが世界を掌握するのだ!!」
男の話を聞いていた一団は立ち上がると手をあげて吠えた。
「「「「「ダークエルフ・ルミエール様の御身の為に!!」」」」」
男達が崇める祭壇の奥で布越しに黒いシルエット揺れていた。
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「って訳で、こちらが“深淵のダンジョン”の主であり、イルツクの地を守護している“オリオン”さんです。」
実に簡単にお隣さんを紹介するようにイオリは満面の笑みで一同を見渡した。
「・・・何が何だか。」
「・・・えっ?ダンジョンの主って守護者でもあるの?」
「大きい亀さん!」
「何歳なの?」
「コミュニケーション取れるのか?」
合流組は事態が飲み込めないのか戸惑うばかりである。
『その者達もイオリの仲間か?』
突然、頭に響き渡る声にアレックスは身構えた。
それを手で制したイオリはニコニコと頷く。
「そうですよ。
双子とヒューゴさんは家族です。
アレックスさんとロジャーさんは友達ですよ。」
イオリに友達と言われ、照れるアレックスとロジャーを子供達が揶揄うように笑った。
「亀さん。
何歳なの?
何を食べたらそんなに大きくなるの?
いつも暗い所で寂しくないの?」
矢継ぎ早に質問するパティに慌てるイオリであったが、地を揺らすような笑い声が響いた。
『フォフォフォフォ・・・。
実に面白い子だ。
年は最早数えておらぬ。
いくつであったろうか。
我らは普段、食を得ぬ。
我らを思う民の力が生命のエネルギーとなるのだ。
しかし、先程のポップコーンなるものは面白かった。
暗い所で寂しいと聞かれれば、・・・いいや。
我らは様々なものを感知して生きておる。
この場に居ようとも様々な物が感じ取れるし見えるのだ。』
自身の質問に丁寧に答えてくれた事に感激したのかパティは走り寄るとオリオンの顔に張り付いた。
「生命のエネルギーか・・・。
以前、どこかで聞いたことがあるな。」
イオリが考え込むとナギが腰をツンツンとした。
《アマメだよ。
オリオンの感覚はアマメに似ているんだよ。》
「そうか!
アマメかっ!」
嬉しそうにするイオリにアレックスやディエゴ・ギロック騎士団長は首を傾げた。
「なんだ?それは?」
「アマメとは?」
イオリは皆んなに嬉しそうに説明した。
「以前、ポーレットの街を襲ったアマメという大きな鹿の魔獣がいたんです。
正確には欲に塗れた人間に自身の子供を誘拐されポーレットを襲う事に利用されたのですが・・・。
そのアマメはパライソの森の主なんです。
アマメが怒りで我を忘れると、同じくしてパライソの森が腐敗していったそうです。
何とか子供を救出しアマメの元に返した事でポーレットは許されたのですが、そのアマメとオリオンに流れる感覚に似ているんです。」
ポーレットに巨大な鹿が現れたと聞いた事のある2人は驚きながらも頷いた。
『当然だ。
アマメは我らと同じ存在なのだから。』
「やっぱり!」
大亀のオリオンの答えにイオリはニッコリとした。
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