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旅路〜イルツク〜
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ロビン・グラトニーが領主アナスタシア・ギロックの迫力に顔が引き攣っていると、応接室の扉がノックされた。
執事が扉を開けると真っ黒な姿の青年と真っ白な狼が姿を表した。
「イオリ殿。
どうぞ。お入り下さい。
当、領地のグラトニー商会の支部長をご紹介させて下さい。」
嬉しそうなアナスタシアに微笑むとイオリは一礼して部屋に入った。
イオリが2人に近づき立ち止まるとロビンは立ち上がり頭を下げた。
「こちらはグラトニー商会イルツク支部長であられるロビン・グラトニー殿です。
我らの街にはかけがえのない存在です。
ロビン殿。
こちらがSランク冒険者のイオリ殿です。
ポーレットより参られ、今回の問題解決にお力を貸していただきました。」
イオリは申し訳なさそうに挨拶をした。
「初めまして。
冒険者をしています。イオリです。
他の家族は次の旅の準備に別行動をとっています。ご容赦を。
会頭ロスさんやアーベルさんにバートさんを始め、グラトニーの皆さんには大変お世話になっています。
ご挨拶が遅れて申し訳ありません。」
「とんでもございません。
イオリ様のご活躍は冒険者としてだけでなく、甥バートより聞き及んでおります。
我々に新しい風を吹き込んで頂いたイオリ様には感謝しております。」
するとイオリは顔を輝かせた。
「バートさんの叔父さんなんですか?」
「はい。
バートの父、リロイの弟でございます。」
「リロイさんの弟さん!?
確かに目元が似ていますね。
王都に行った時にお世話になりました。
バートさんには無理難題を押し付け、気ままに冒険者をしている身です。
申し訳ありません。」
頭を掻いて照れるイオリをアナスタシアは「あらあら。」と微笑み、流石のロビンも口を綻ばした。
「バートが申しておりました。
イオリ様の歩いた道は雑草や岩が転がっていても、清らかに舗装され花々が咲いたように華やかになると。
ただ、歩くスピードが速すぎるとも言っておりました。」
「あははは。
短期間に色々とお任せしましたからね。
怒ってました。
清らかな道って・・・。
俺の欲望に巻き込んでいるに過ぎないんですけどね。」
クスクスするアナスタシアにロビンは首を傾げた。
「アナスタシア様。
ポーレットには砂糖がダグスクには塩がございますが、我々イルツクには何がございましたでしょうか?
恥ずかしながらグラトニーの支店を任されている身でありますのに、首を傾げております。
“ぽっぷこーん”とは何でしょう?」
「私も驚いたのです。
イオリ殿がおやつとして食べさせて下さったのです。
是非、ロビン殿にも召し上がって頂いてイルツクへの導入に尽力していただきたいのです。
イオリ殿!
さぁ、お願いします。」
イオリは苦笑すると腰バックを漁り出した。
「ポップコーンは乾燥したトウモロコシを加熱し味を付けた食べ物です。
一度、理解していただければ調理としては簡単です。
ただ、全てのトウモロコシがポップコーンになるわけではなく、特定のトウモロコシが必要になります。」
イオリが取り出したプライパンと鍋蓋に簡易コンロを興味深そうに見ていたロビンは最後に出された乾燥トウモロコシに目を瞬いた。
「あの・・・イオリ様。
本当にソレを食べるのですか?」
干からびたトウモロコシにロビンは顔を硬らせた。
「それに、特定のトウモロコシとは何でしょう?
トウモロコシはトウモロコシではないのですか?」
ロビンの一言にイオリは「あっ!」と声を出した。
この世界に来て数年、人と交流を持って3年・・・初めての事を知った気がした。
「品種という言葉をご存知ではない?」
イオリは再び自分が時限爆弾のスイッチを押した音が聞こえた気がした。
執事が扉を開けると真っ黒な姿の青年と真っ白な狼が姿を表した。
「イオリ殿。
どうぞ。お入り下さい。
当、領地のグラトニー商会の支部長をご紹介させて下さい。」
嬉しそうなアナスタシアに微笑むとイオリは一礼して部屋に入った。
イオリが2人に近づき立ち止まるとロビンは立ち上がり頭を下げた。
「こちらはグラトニー商会イルツク支部長であられるロビン・グラトニー殿です。
我らの街にはかけがえのない存在です。
ロビン殿。
こちらがSランク冒険者のイオリ殿です。
ポーレットより参られ、今回の問題解決にお力を貸していただきました。」
イオリは申し訳なさそうに挨拶をした。
「初めまして。
冒険者をしています。イオリです。
他の家族は次の旅の準備に別行動をとっています。ご容赦を。
会頭ロスさんやアーベルさんにバートさんを始め、グラトニーの皆さんには大変お世話になっています。
ご挨拶が遅れて申し訳ありません。」
「とんでもございません。
イオリ様のご活躍は冒険者としてだけでなく、甥バートより聞き及んでおります。
我々に新しい風を吹き込んで頂いたイオリ様には感謝しております。」
するとイオリは顔を輝かせた。
「バートさんの叔父さんなんですか?」
「はい。
バートの父、リロイの弟でございます。」
「リロイさんの弟さん!?
確かに目元が似ていますね。
王都に行った時にお世話になりました。
バートさんには無理難題を押し付け、気ままに冒険者をしている身です。
申し訳ありません。」
頭を掻いて照れるイオリをアナスタシアは「あらあら。」と微笑み、流石のロビンも口を綻ばした。
「バートが申しておりました。
イオリ様の歩いた道は雑草や岩が転がっていても、清らかに舗装され花々が咲いたように華やかになると。
ただ、歩くスピードが速すぎるとも言っておりました。」
「あははは。
短期間に色々とお任せしましたからね。
怒ってました。
清らかな道って・・・。
俺の欲望に巻き込んでいるに過ぎないんですけどね。」
クスクスするアナスタシアにロビンは首を傾げた。
「アナスタシア様。
ポーレットには砂糖がダグスクには塩がございますが、我々イルツクには何がございましたでしょうか?
恥ずかしながらグラトニーの支店を任されている身でありますのに、首を傾げております。
“ぽっぷこーん”とは何でしょう?」
「私も驚いたのです。
イオリ殿がおやつとして食べさせて下さったのです。
是非、ロビン殿にも召し上がって頂いてイルツクへの導入に尽力していただきたいのです。
イオリ殿!
さぁ、お願いします。」
イオリは苦笑すると腰バックを漁り出した。
「ポップコーンは乾燥したトウモロコシを加熱し味を付けた食べ物です。
一度、理解していただければ調理としては簡単です。
ただ、全てのトウモロコシがポップコーンになるわけではなく、特定のトウモロコシが必要になります。」
イオリが取り出したプライパンと鍋蓋に簡易コンロを興味深そうに見ていたロビンは最後に出された乾燥トウモロコシに目を瞬いた。
「あの・・・イオリ様。
本当にソレを食べるのですか?」
干からびたトウモロコシにロビンは顔を硬らせた。
「それに、特定のトウモロコシとは何でしょう?
トウモロコシはトウモロコシではないのですか?」
ロビンの一言にイオリは「あっ!」と声を出した。
この世界に来て数年、人と交流を持って3年・・・初めての事を知った気がした。
「品種という言葉をご存知ではない?」
イオリは再び自分が時限爆弾のスイッチを押した音が聞こえた気がした。
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