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旅路〜ダグスク〜
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「はぁ・・はぁ・・はぁ・・。
帰らなければ・・・帰らないと・・・。」
男は騎士だった。
仲間に託された使命がある。
「もう少し・・・もう少しで転移陣だ。
外に出れば・・人がいる。
ここで死ねない・・・
仲間が待ってるんだ!!」
そんな疲弊した男は、背後を狙われているとは気づかずに必死に光る転移陣に手を伸ばした・・・。
________
港町ダグスクに向かう馬車の旅は今日も賑やかだった。
「ねー。ヒューゴ。
ダグスクまでの街道に魔獣が出るって言ってたけどさぁ・・・これ何だろう?」
憮然としたロジャーが腰に手を当てて呆れていた。
「・・・ですね。
王城では魔獣の目撃情報があるって聞いてましたし、ギルドではゴブリンって聞いたんですけどね。
これは・・・。」
「どう考えても人間の盗賊だろう。」
馬車の行く道を塞ぐ荒くれ者達を見てヒューゴは首を捻った。
「情報の相互ですかね?」
するとアレックスが馬車を降りてきた。
「情報は間違ってなかっただろうさ。
ゴブリンは金目の物も集めるからな。
対処した冒険者が持ち帰りきれなかった宝を盗賊達が掠め取ったんだろう。
ついでに根城にして旅人からも金銭をもぎ取る算段なんだろうさ。
恐らく、冒険者もギルドに伝えているはずだ。
人数集めて帰ってくるよ。
それまでに、片付けておけば良いさ。」
いかにも悪人面という男達が剣を構えている。
「兄ちゃん達。
悪いな。ここは交通費を払わなきゃ通れないんだ。
分かったら金目の物を全て置いていきな。」
体の大きな男が声をかけてきた。
そこに子供達も様子を見ようと顔を覗かせた。
「お?ガキもいるのか?
子供は売り払えば金になる。
見れば、綺麗な顔してやがる。
これは高値が着くぞ。」
仲間に声をかければ、男達は笑い出した。
「そろそろ、冒険者ギルドが駆けつけるな。
面倒になる前にづらかるぞ。
その前の一仕事だ。」
舌なめずりでもしそうな男に双子は威嚇をしてナギとニナを馬車に隠した。
「はぁ、面倒事ってのは既に起こっているわけよ。
道を塞いでる時点で俺達も対処して良いって事だよね?」
ロジャーが頭を掻きながら、さも面倒そうに前に出た。
「お前ら数人ごときで何が出来る。
こっちは100人いるんだ。
痛い思いしたくないなら、ガキと金を寄越せ!」
男の怒鳴りを合図に盗賊達が襲いかかってきた。
が・・・。
ズトーン!!!
大きな音に盗賊達だけでなく、武器を構えたアレックスとロジャーも驚き首を竦めた。
一帯が静まると大男が膝を付き前のめりに倒れた。
「「「頭っ!!!」」」
驚く盗賊達をよそにスタスタと真っ黒な若者が盗賊の頭の元に歩み寄った。
「俺の家族を売るって言いました?」
気絶する頭を起こすように白い狼が首根っこを噛み揺り動かす。
「ガッ・・・うぅぅ。」
気絶から目を覚ましたのか盗賊の頭が呻いている。
「頭っ!?
お前!頭から離れろ!!」
ヒュンッ!
盗賊の1人が若者に掴みかかろうと手を伸ばすと顔面を何かが通り過ぎた。
震えながら首を捻れば、大剣が岩に突き刺さっていた。
「動くなよ。
当て損ったじゃないか。」
馬車の上から仁王立ちしていた男が怒りの形相で見下ろしている。
「あぁ・・・あぅ・・あ。」
黒い若者・・・イオリに手を伸ばそうとしていた盗賊は身動きが取れなくなった。
盗賊達は悟った。
自分達はヤバい奴を狙ったのだと。
「絶対にさせませんよ。
そんな事。」
イオリは両手に銃を構えると青い目をギラリと光らせた。
「子供達に手を出す事は許せんな。」
ヒューゴは馬車から降りると盗賊達を睨みながら指をコキコキと鳴らした。
「あ~。
怒らせちゃった。
金で終わらせておけば良かったのに。」
「あいつらにとって、子供達の方が大切だからな。
俺達も手伝おうか。」
ロジャーとアレックスは怒り暴れるイオリとヒューゴの背を何とも言えない顔で見つめた。
「・・・いや。
俺はこっちにいるわ。」
ロジャーの言葉にアレックスが振り向けば、馬車の中で子供達がお茶の準備をしていたのだった。
イオリ達が退治する事を信じて疑わない子供達にアレックスは苦笑した。
「だな。
終わる頃にはアイツらの気も済んでいるだろう。
おい、スコル。
俺達にも茶を入れてくれ。」
「いいよ。
ソルのハーブティーを冷ましたら淹れるね。
クッキー食べる?」
ドガーン!
「ぎゃー!!」
背中で盗賊達の悲鳴を聞きながらアレックスは馬車に乗り込んだ。
「あぁ、良い匂いだ。」
争いの中、呑気に馬車で茶を啜る。
今日も賑やかな旅だ。
ーーーーダグスクまで、あと数日。
帰らなければ・・・帰らないと・・・。」
男は騎士だった。
仲間に託された使命がある。
「もう少し・・・もう少しで転移陣だ。
外に出れば・・人がいる。
ここで死ねない・・・
仲間が待ってるんだ!!」
そんな疲弊した男は、背後を狙われているとは気づかずに必死に光る転移陣に手を伸ばした・・・。
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港町ダグスクに向かう馬車の旅は今日も賑やかだった。
「ねー。ヒューゴ。
ダグスクまでの街道に魔獣が出るって言ってたけどさぁ・・・これ何だろう?」
憮然としたロジャーが腰に手を当てて呆れていた。
「・・・ですね。
王城では魔獣の目撃情報があるって聞いてましたし、ギルドではゴブリンって聞いたんですけどね。
これは・・・。」
「どう考えても人間の盗賊だろう。」
馬車の行く道を塞ぐ荒くれ者達を見てヒューゴは首を捻った。
「情報の相互ですかね?」
するとアレックスが馬車を降りてきた。
「情報は間違ってなかっただろうさ。
ゴブリンは金目の物も集めるからな。
対処した冒険者が持ち帰りきれなかった宝を盗賊達が掠め取ったんだろう。
ついでに根城にして旅人からも金銭をもぎ取る算段なんだろうさ。
恐らく、冒険者もギルドに伝えているはずだ。
人数集めて帰ってくるよ。
それまでに、片付けておけば良いさ。」
いかにも悪人面という男達が剣を構えている。
「兄ちゃん達。
悪いな。ここは交通費を払わなきゃ通れないんだ。
分かったら金目の物を全て置いていきな。」
体の大きな男が声をかけてきた。
そこに子供達も様子を見ようと顔を覗かせた。
「お?ガキもいるのか?
子供は売り払えば金になる。
見れば、綺麗な顔してやがる。
これは高値が着くぞ。」
仲間に声をかければ、男達は笑い出した。
「そろそろ、冒険者ギルドが駆けつけるな。
面倒になる前にづらかるぞ。
その前の一仕事だ。」
舌なめずりでもしそうな男に双子は威嚇をしてナギとニナを馬車に隠した。
「はぁ、面倒事ってのは既に起こっているわけよ。
道を塞いでる時点で俺達も対処して良いって事だよね?」
ロジャーが頭を掻きながら、さも面倒そうに前に出た。
「お前ら数人ごときで何が出来る。
こっちは100人いるんだ。
痛い思いしたくないなら、ガキと金を寄越せ!」
男の怒鳴りを合図に盗賊達が襲いかかってきた。
が・・・。
ズトーン!!!
大きな音に盗賊達だけでなく、武器を構えたアレックスとロジャーも驚き首を竦めた。
一帯が静まると大男が膝を付き前のめりに倒れた。
「「「頭っ!!!」」」
驚く盗賊達をよそにスタスタと真っ黒な若者が盗賊の頭の元に歩み寄った。
「俺の家族を売るって言いました?」
気絶する頭を起こすように白い狼が首根っこを噛み揺り動かす。
「ガッ・・・うぅぅ。」
気絶から目を覚ましたのか盗賊の頭が呻いている。
「頭っ!?
お前!頭から離れろ!!」
ヒュンッ!
盗賊の1人が若者に掴みかかろうと手を伸ばすと顔面を何かが通り過ぎた。
震えながら首を捻れば、大剣が岩に突き刺さっていた。
「動くなよ。
当て損ったじゃないか。」
馬車の上から仁王立ちしていた男が怒りの形相で見下ろしている。
「あぁ・・・あぅ・・あ。」
黒い若者・・・イオリに手を伸ばそうとしていた盗賊は身動きが取れなくなった。
盗賊達は悟った。
自分達はヤバい奴を狙ったのだと。
「絶対にさせませんよ。
そんな事。」
イオリは両手に銃を構えると青い目をギラリと光らせた。
「子供達に手を出す事は許せんな。」
ヒューゴは馬車から降りると盗賊達を睨みながら指をコキコキと鳴らした。
「あ~。
怒らせちゃった。
金で終わらせておけば良かったのに。」
「あいつらにとって、子供達の方が大切だからな。
俺達も手伝おうか。」
ロジャーとアレックスは怒り暴れるイオリとヒューゴの背を何とも言えない顔で見つめた。
「・・・いや。
俺はこっちにいるわ。」
ロジャーの言葉にアレックスが振り向けば、馬車の中で子供達がお茶の準備をしていたのだった。
イオリ達が退治する事を信じて疑わない子供達にアレックスは苦笑した。
「だな。
終わる頃にはアイツらの気も済んでいるだろう。
おい、スコル。
俺達にも茶を入れてくれ。」
「いいよ。
ソルのハーブティーを冷ましたら淹れるね。
クッキー食べる?」
ドガーン!
「ぎゃー!!」
背中で盗賊達の悲鳴を聞きながらアレックスは馬車に乗り込んだ。
「あぁ、良い匂いだ。」
争いの中、呑気に馬車で茶を啜る。
今日も賑やかな旅だ。
ーーーーダグスクまで、あと数日。
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