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旅路〜デザリア・王宮〜
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「シー!!アレックスさん、声が大きい!
誰かに聞かれたら、どうするんですかっ!?」
慌てるイオリにアレックスがギョッとした。
「スッ・・スマン・・・。」
「大丈夫だ。
この部屋には盗聴防止魔法がかけられている。
・・・イオリ殿。
それは本当の事か?」
シモン・ヤティムが神妙な顔でイオリに問いかけた。
「シモンさんと別れて入った先は、谷のエリア・・・あの渓谷の風景と全く一緒でした。
違うとすれば・・・清流も流れ、キラキラした光の玉が幾重にも浮かんでいたんです。
木々や水だけではありません、小動物から中型の動物、鳥までもがエネルギーに満ち溢れていました。
あれが、本来のダンジョンの姿なんだと思います。
皆さんが思い描く最終の部屋の魔獣であるジョムシードは、番人であり本当のダンジョンの主である神鳥のカモフラージュなんだろうと思います。
彼らはその先にいますから・・・。」
王は一息つくとイオリに問いかけた。
「・・・では。
この国は神鳥様が創った幻の姿ということか?
我らは・・・我らの先祖達はまやかしの中で生きていたと?」
「それは違います。」
イオリは即座に否定した。
「彼らは、絶対神リュオン様から世界の均衡を保つ為に砂漠の地を守る役目を与えられた。
それには人の力が必要でした。
彼らはアーマッドさんを良い人と言いました。
だから、彼らはダンジョンの奥底で世界の均衡を保つ事に力を注ぎ、アーマッドさんとその家系・・・
デザリア家の人々に地上を守る事を願ったのでしょう。
それゆえに国造りに手を貸した。
デザリアという国は虚構の世界ではなく、守護神と人が対になって守る奇跡の国なんです。」
ニッコリとするイオリを前に王ダマン・デザリアは涙を流した。
王だけではない。
宰相ナロ・シウバも筆頭魔法使いシモン・ヤティムも溢れ出る涙を抑えていた。
「そうか・・・。
神鳥様が、そうおっしゃられたか・・・。」
地上の人間達は、その事を忘れダンジョンの核を守る彼らを“願いを叶える鳥”と俗物扱いをしていた。
本来の彼らは共に地を守る存在であったのだ。
自分達の代わりに守護神の話を聞いてきてくれた若者に王は視線を向けた。
「・・・其方は、もしや・・・“神に愛され・・。」
「デザリア王っ!」
そこまで静かに聞いていたディビットが真剣な顔で首を横に振るとダマンは「ハッ!」と口を閉じた。
しかし、己の考えが当たっている事をディビットの顔が物語っていた。
「・・・そうか。
・・・・そうであったか。
これも絶対神様の思し召しなのだろう。」
何者かも分からぬ若者がもたらせた驚きと安心感の正体を理解したダマン・デザリアはこの出会いに感謝した。
「約束しよう。
もう2度と“エルフの里”の者をダンジョンに入れさせぬ。
地上は我らが守ってみせよう。」
イオリの耳にクスクスと笑うトルトルとポルポルの声が聞こえたのだった。
誰かに聞かれたら、どうするんですかっ!?」
慌てるイオリにアレックスがギョッとした。
「スッ・・スマン・・・。」
「大丈夫だ。
この部屋には盗聴防止魔法がかけられている。
・・・イオリ殿。
それは本当の事か?」
シモン・ヤティムが神妙な顔でイオリに問いかけた。
「シモンさんと別れて入った先は、谷のエリア・・・あの渓谷の風景と全く一緒でした。
違うとすれば・・・清流も流れ、キラキラした光の玉が幾重にも浮かんでいたんです。
木々や水だけではありません、小動物から中型の動物、鳥までもがエネルギーに満ち溢れていました。
あれが、本来のダンジョンの姿なんだと思います。
皆さんが思い描く最終の部屋の魔獣であるジョムシードは、番人であり本当のダンジョンの主である神鳥のカモフラージュなんだろうと思います。
彼らはその先にいますから・・・。」
王は一息つくとイオリに問いかけた。
「・・・では。
この国は神鳥様が創った幻の姿ということか?
我らは・・・我らの先祖達はまやかしの中で生きていたと?」
「それは違います。」
イオリは即座に否定した。
「彼らは、絶対神リュオン様から世界の均衡を保つ為に砂漠の地を守る役目を与えられた。
それには人の力が必要でした。
彼らはアーマッドさんを良い人と言いました。
だから、彼らはダンジョンの奥底で世界の均衡を保つ事に力を注ぎ、アーマッドさんとその家系・・・
デザリア家の人々に地上を守る事を願ったのでしょう。
それゆえに国造りに手を貸した。
デザリアという国は虚構の世界ではなく、守護神と人が対になって守る奇跡の国なんです。」
ニッコリとするイオリを前に王ダマン・デザリアは涙を流した。
王だけではない。
宰相ナロ・シウバも筆頭魔法使いシモン・ヤティムも溢れ出る涙を抑えていた。
「そうか・・・。
神鳥様が、そうおっしゃられたか・・・。」
地上の人間達は、その事を忘れダンジョンの核を守る彼らを“願いを叶える鳥”と俗物扱いをしていた。
本来の彼らは共に地を守る存在であったのだ。
自分達の代わりに守護神の話を聞いてきてくれた若者に王は視線を向けた。
「・・・其方は、もしや・・・“神に愛され・・。」
「デザリア王っ!」
そこまで静かに聞いていたディビットが真剣な顔で首を横に振るとダマンは「ハッ!」と口を閉じた。
しかし、己の考えが当たっている事をディビットの顔が物語っていた。
「・・・そうか。
・・・・そうであったか。
これも絶対神様の思し召しなのだろう。」
何者かも分からぬ若者がもたらせた驚きと安心感の正体を理解したダマン・デザリアはこの出会いに感謝した。
「約束しよう。
もう2度と“エルフの里”の者をダンジョンに入れさせぬ。
地上は我らが守ってみせよう。」
イオリの耳にクスクスと笑うトルトルとポルポルの声が聞こえたのだった。
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