続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜デザリア・ガレー〜

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「ねー。
 イオリ様は何をしているの?」

 商人ギルドのサブマスの娘であるマイカが木の上を見上げた。


ーーーー街を見渡せる場所はないか?

 イオリに尋ねられると子供達は山間に続く丘に案内した。
 そこに佇む1本の大きな木を目を付けると、スルスルと登っていくイオリをキラキラした目で子供達は見つめていた。

 木の先端に腰掛けたイオリが黒い筒を構えているが見えているが、ガレーの子供達は何をしているのかは分からない。

「スナイパーライフルっていうイオリの武器を構えてるんだよ。
 ふあぁ。」

 スコルが退屈そうにアクビをしながら答えると、ガレーの子供達は興味深々だ。

「スナイパーライフルって何?」

 アシィールを始めガレーの子供達は矢継ぎ早に質問してくる。

「ここからの攻撃って遠距離武器って事?」
「魔法なの?」
「見たい見たい!!」
「結局何してるの?」

 困った顔をしたスコルが無言でヒューゴに助けを求めた。

 苦笑したヒューゴが代わりに答える。

「スナイパーライフルはイオリが持つ長距離を狙える特別な武器だ。
 危険であるがイオリ以外は誰も使う事が出来ない。
 魔法を使っているがイオリは魔法使いではないぞ。
 イオリは千里先の獲物も仕留める事が出来るんだ。
 今か?
 さぁな。
 街を一望してるんだろう。気にするな。」

「「「「「「凄い!」」」」」」

 淀みないヒューゴの解説にガレーの子供達は口を揃えて称賛した。
 英雄を目にして興奮気味のガレーの子供達を見て双子は誇らしげだった。

ポロンポロン♪

 木に背を預けナギがライヤーを奏で始めた。

ポロンポロロン♪

 優しげな音色が風に乗って、どこまでも響いている。
 騒いでいた子供達も近づいてきて円を囲みながら聞き惚れてた。

「初めて聞く音楽だ。
 美しいね。」

 アシィールが呟くとナギはニコッとした。

「ナギが作曲したの。」

 ニナがすかさずに宣伝する。

「ナギは吟遊詩人になるのか?
 先月にガレーにも来ていたな。」

 オランが言えばナギは驚いて演奏をやめた。

「吟遊詩人・・・ボクが?」

「とっても素敵な曲だったし、歌も歌えるんだろう?」

 困っているナギを見てヒューゴが微笑みながら頭を撫でた。

「したい事をしたい時にする。
 それで良いんじゃないか?」

 ヒューゴの優しい声にナギはホッとしたように頷いた。

「そうだね。
 今は冒険者の方が楽しいよ。」

 ナギの言葉にニナも満足そうにニッコリとした。



「イオリー!
 まだぁ?」

「はやくー!
 カカオのおじちゃんの所に行くんでしょ?」

 既に飽きたのだろう。
 双子が木の上を見上げて叫んでいる。

 イオリから返事はない。
 
 ヒューゴは溜息を吐くと双子の側に寄っていく。

 すると木々の向こうからソルが戻ってきたのが見えた。
 イオリがスナイパーライフルの引き金を引くいたのも、その直ぐの事だった。
 
 
 
 
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