続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜ルーシュピケ〜

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「これがクッキーでこれがカステラ。
 はい。マフィンもすっごい美味しいよ。」

「プリンもあるよ。
 茶色いのはカラメルって言って、ちょっと苦いの。
 でも甘いとの一緒に食べると最高だよ。」

「ヨーグルトもどーぞ。
 好きなフルーツソースをかけると良いよ。
 ニナはベリーのソースが好きー。」

 パティとナギ、ニナが所狭しとお菓子を並べていくのをコーラルは驚いて目を見開いていた。
 困ったようにキキ医師に助けを求める視線を送るが、当の本人は珍しい菓子達に目を輝かしている。

「ちょっと待て!」

 すると、スコルが暴走気味の妹弟にストップをかけた。
 やっと、息が吸えるとコーラルが安心して見上げると、スコルはポットを手に「チッチッチッ。」と首を横に振った。

「お菓子を食べるのに大切なのを忘れてるよ。
 まずはお茶を飲まないと。
 はい、カモミールのお茶だよ。」

 優しい香りのカモミールティーを配っていくスコルに大人達も微笑んでいる。
 
 小さいカップを使っているのは、色んなお茶を楽しむ為だ。

「如才ないわね。」

 紅茶やハーブティーを用意するスコルに感心するキキ医師の隣では夫のグリーズがポップコーンに手を伸ばした。

「ほう。
 これは、香ばしくて好きだな」

 甘い物が並ぶ中、当然のようにスナックも用意している。

「さぁ、お食べ。」

 コーラルはイオリに差し出された木の実がのったクッキーを受け取った。

 どうすれば良いのか、見渡せばキキ医師も美味しそうに食べているし、象のフェンバインなどは大きな口にバクバクと放りこんでいる。

「イオリのお菓子は美味しいよ。」

 ラックがニッコリしてボーロを口にする。

「僕の最初はボーロだったね。」

 小さな丸いお菓子をコロコロさせているラックに勇気を貰いコーラルはクッキーを口にした。

「・・・おいしい。」

 コーラルは小さく呟いた。

「・・・おいしい。おいしい。おいしい。」

 何度も「おいしい。」と口にしたコーラルの目からポロポロと涙がこぼれた。

「沢山あるから、好きなだけ食べるといい。」

 まだ少女と言える歳で、どれほどの苦しみを身に押し込んでいたのだろう。
 ヒューゴはコーラルが濡らした頬を布で拭った。

 感情を爆発させて泣き叫ぶのではなく、心を取り戻し涙を流すコーラルを見てキキ医師は安堵した。

 人族である大きな男ヒューゴに触れられても大丈夫な自分に自信を持ったコーラルはイオリを見上げた。
 
 微笑むイオリはやっぱり怖くない。

「・・・あのね。見たの。」

「・・・何を?」

 首を傾げるイオリの腕を掴みコーラルは震えた。

「無理しないで。」

 心配するキキ医師の声を拒絶するように激しく首を横に振ったコーラルは震える体を抑えるように力を込めた目でイオリを見据えた。

。」

 突拍子もないコーラルの言葉に誰しもが唖然とした。
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