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旅路〜パライソの森⒉〜
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「囲え!
逃すな!」
槍を得意とするメンバーが“エルフの里の戦士”の逃走を阻止し、近接が得意な者や魔法が使える者が攻撃を仕掛ける。
誰しもが“エルフの里の戦士”を相手に気を抜いてはいなかった。
中には初めて対峙する若いメンバーもいた。
形勢が良い状態の時こそ、危険だとイドリアルは知っていた。
何よりも目の前の“エルフの里の戦士”が慌てる事もなく、冷静に周りを観察していた。
チラリと視線を変えると、戦っている他の塊を見ても同じだった。
ーーーチッ。良くない・・・良くないね。
イドリアルの不安を他所に、我慢が出来なくなった狼獣人のアズロが“エルフの里の戦士”に襲いかかった。
「オラァァ!」
「やめろ!アズロ!」
時が止まったようだった。
止めるイドリアルの声とアズロが“エルフの里の戦士”に喉ものに剣を突き付かれているのが同時だった。
「引け。
雑多な者ども。
犬のしつけも出来ないとは愚かな事だ。
囲ったから何だと言うのだ。
我が降伏すると考えていたとすれば、片腹痛い。」
仲間の命を考えれば、無闇に飛び込む事も出来なくなった。
「俺の事は気にするな!」
騒ぐアズロの頭を掴み、盾のように立たせた“エルフの里の戦士”は感情も見せずに囁いた。
「黙れ、駄犬。
犬は犬らしく、崇高なる種族に従え。」
獣人は己のアイデンティティに誇りを持っている。
狼の獣人であるアズロにとって、犬と言われる事程に侮辱はなかった。
ーーークソ。
手が出せない。
人数が多いからといって、情勢が好転しているようには感じていなかったイドリアルの不安が当たってしまった。
ーーー奴らは、いつでも我らを根絶やしに出来る自信があるのだ。
人質を取られた今、敵が賽を持っている。
周りを見ても、皆同じように眉間に皺を寄せている。
相手の次の出方で、現状が変わってしまう事をイドリアルは知っていた。
「仲間だ。愛だ。友情だ。
そんな事を抜かしているから、弱みになるのだ。
馬鹿馬鹿しい。
ダークエルフ・ルミエール様の考えは正しいのだ。
尊いのはダークエルフ・ルミエール様のみ。
後は、犠牲になったとしても至高の喜び。」
とつとつと話す“エルフの里の戦士”に手も足もでないガーディアンのメンバーは苦渋な顔をしていた。
誰として動く事が出来ない事が分かると“エルフの里の戦士”は初めてニヤリとした。
「教えてやろう。
失うとは何か。
犠牲とは何か。
何も意味がないと言う事を。」
アズロに向けていた剣に力を込め、振り上げた“エルフの里の戦士”にイドリアルの悲鳴めいた声を上げた。
「やめろぉぉぉ!」
スパーン!!
乾いた音がした。
ドサッと倒れたのは“エルフの里の戦士”の方だった。
「えっ・・・。」
何が起こっているのかが分からないなか、立て続けに乾いた音が響いている。
残りの3つの塊で驚きの声が上がっている。
どれも“エルフの里の戦士”が倒れているようだった。
「・・・終わったのか?
何が起こった・・・。」
訳が分からないイドリアルであったが、機械仕掛けの人形のように振り返った。
そこには、木の上で変な筒を手にした真っ黒な青年が微笑んでいた。
逃すな!」
槍を得意とするメンバーが“エルフの里の戦士”の逃走を阻止し、近接が得意な者や魔法が使える者が攻撃を仕掛ける。
誰しもが“エルフの里の戦士”を相手に気を抜いてはいなかった。
中には初めて対峙する若いメンバーもいた。
形勢が良い状態の時こそ、危険だとイドリアルは知っていた。
何よりも目の前の“エルフの里の戦士”が慌てる事もなく、冷静に周りを観察していた。
チラリと視線を変えると、戦っている他の塊を見ても同じだった。
ーーーチッ。良くない・・・良くないね。
イドリアルの不安を他所に、我慢が出来なくなった狼獣人のアズロが“エルフの里の戦士”に襲いかかった。
「オラァァ!」
「やめろ!アズロ!」
時が止まったようだった。
止めるイドリアルの声とアズロが“エルフの里の戦士”に喉ものに剣を突き付かれているのが同時だった。
「引け。
雑多な者ども。
犬のしつけも出来ないとは愚かな事だ。
囲ったから何だと言うのだ。
我が降伏すると考えていたとすれば、片腹痛い。」
仲間の命を考えれば、無闇に飛び込む事も出来なくなった。
「俺の事は気にするな!」
騒ぐアズロの頭を掴み、盾のように立たせた“エルフの里の戦士”は感情も見せずに囁いた。
「黙れ、駄犬。
犬は犬らしく、崇高なる種族に従え。」
獣人は己のアイデンティティに誇りを持っている。
狼の獣人であるアズロにとって、犬と言われる事程に侮辱はなかった。
ーーークソ。
手が出せない。
人数が多いからといって、情勢が好転しているようには感じていなかったイドリアルの不安が当たってしまった。
ーーー奴らは、いつでも我らを根絶やしに出来る自信があるのだ。
人質を取られた今、敵が賽を持っている。
周りを見ても、皆同じように眉間に皺を寄せている。
相手の次の出方で、現状が変わってしまう事をイドリアルは知っていた。
「仲間だ。愛だ。友情だ。
そんな事を抜かしているから、弱みになるのだ。
馬鹿馬鹿しい。
ダークエルフ・ルミエール様の考えは正しいのだ。
尊いのはダークエルフ・ルミエール様のみ。
後は、犠牲になったとしても至高の喜び。」
とつとつと話す“エルフの里の戦士”に手も足もでないガーディアンのメンバーは苦渋な顔をしていた。
誰として動く事が出来ない事が分かると“エルフの里の戦士”は初めてニヤリとした。
「教えてやろう。
失うとは何か。
犠牲とは何か。
何も意味がないと言う事を。」
アズロに向けていた剣に力を込め、振り上げた“エルフの里の戦士”にイドリアルの悲鳴めいた声を上げた。
「やめろぉぉぉ!」
スパーン!!
乾いた音がした。
ドサッと倒れたのは“エルフの里の戦士”の方だった。
「えっ・・・。」
何が起こっているのかが分からないなか、立て続けに乾いた音が響いている。
残りの3つの塊で驚きの声が上がっている。
どれも“エルフの里の戦士”が倒れているようだった。
「・・・終わったのか?
何が起こった・・・。」
訳が分からないイドリアルであったが、機械仕掛けの人形のように振り返った。
そこには、木の上で変な筒を手にした真っ黒な青年が微笑んでいた。
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