続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路 〜カプリースへ〜

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 久々の再会を果たした彼らが大人しく時間を過ごす訳もなく。
 その日はアースガイル、ミズガルドの両軍乱れ込みながらの宴が催された。
 楽しげに走り回る子供達を見て、互いを牽制し合っていた兵士達も遠慮がちに笑い合う。

 一際盛り上がったのは、キャンプ地に並ぶ豪華な食事の数々だった。

 イオリの料理から離れていたポーレット公爵家の次男は飢えに飢えた野生の虎の様ながっつきを見せて、ミズガルドの公爵当主を驚かせた。

「はしたない。」

 睨みつける兄・ニコライの視線から逃げたしたヴァルトは従者のテーブルに紛れて豚の角煮を嬉しそうに頬張った。

「足りていますか?」

 空になった皿を片付けるイオリにニコライは微笑んだ。

「ああ十分だ。
 お前も旅の途中なんだから、程々にして休めよ。」

 イオリを気遣いながらも、ニコライはしっかりとカレーの皿を確保していた。

「いやー。イオリ殿は実に多彩だな。
 私も最近は旅をする事が増えたが、こんなに充実した食事にありつけたキャンプは初めてだ。
 アースガイルの兵士の士気の高さの一端は食事だったか。」

「イオリのおかげで我がポーレットは食の街に成長していますからね。
 是非、ご家族と共に遊びに来てください。」

 ニコライの誘いにイグナートは嬉しそうに頷いた。

「ポーレット公爵の助言を元に、我がカレリン領も奴隷改革を推進しています。
 一度、直に見てみたいと思っていました。
 機会を作り、お伺いしましょう。」

 アースガイルとミズガルドの貴族は順調に交流を続けているようだ。
 嬉しそうなイオリを前にカレーを頬張るニコライが話し始めた。

「実はな、我々は1度デザリアに到着してデザリア王に拝謁しているんだ。
 その時に、イオリに会いに行きたいと願い出たら快諾して下さってな。
 こうやって会えたからには、明日にはデザリアに戻り会談の続きをしようと思っている。」

 この不自然なキャンプに納得したイオリは大きく頷いた。

「あっ、やっぱり最初はデザリアの港に到着したんですね。
 デザリアはどうでした?」

「冒険者が戻っていますよ。」

 ニコライとの会話に割り込んできたのはリルラだった。
 グランヌスで別れてからの短期間でデザリアまで戻ったのだから感心させられる。

「ダンジョンが開放されてから冒険者達が戻り、物流も回復しています。
 イオリ様が旅立ってから随分と活気が戻っていると思いますよ。」

「そっかぁ。
 良かった。」

 ニコライとイグナートもイオリが問題のダンジョンを開放した事は聞き及んでいた。

 世界の平和の均衡が崩されようとしている今、目の前の若者の果てしない力に頼らなければならない歯痒い事態を苦々しく思っている彼らは極めて真面目なのだろう。

 しかし、そんな事を露程にも思わせずニコライは、イオリを優しい顔で見つめた。

「リルラからイオリの次の行き先を聞いたぞ。
 “カプリース”とはお前も大概苦労するな。」

 どこか呆れた様なニコライにイオリは苦笑するのだった。
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