249 / 452
王都 〜王城・デーゾルドの行方〜
247
キトリ・フラマン女男爵
王都に名を並べるである彼女が父親から爵位を譲り受けたのは学院を卒業した年の事だった。
爵位も高くなく、絵画に入れ込む父親が貴族の仕事とやらを放り出した結果、長女の彼女が後目を継ぐ事になった。
本来であれば、3歳下の弟が後継と決まっていたが、早く現役を退きたい父が我慢できずに、時期を早める事となったのだ。
それでは弟が不満に思うのではないか、と言えばそうでもない。
父譲りで芸術に興味を持った弟はのんびりとした性格で、とてもじゃないか貴族の後継なんてやりたくないという性分である。
上昇志向の強い姉の方が適任であった事も理由だろう。
何度も言うが、フラマン家は貴族であるが決して爵位が高い訳ではない。
文官家系であり、領地を持たない事から王城へ出仕している。
キトリ・フラマンも、その流れは変わらず父の紹介で王族の庭園の管理部、中でも財務を担当していた。
王城での華やかな仕事が待っているかと思えば、庭園の管理部・・・会う人間といえば自分と同じうだつの上がらない低位貴族や庭職人という地味な職場だった。
貴族の令嬢で王城に務める者の仕事といえば、侍女が一般的で中には王族の側に侍る者もいる。
キトリ・フラマンは王城内で楽しそうに仕事をする侍女達を羨んだ。
彼女の楽しみと言えば、仕事終わりに気のおける仲間達と過ごす時間だった。
学院時代からの仲間は彼女の境遇に同情し、愚痴に付き合ってくれるし、美味しい酒や楽しい遊びも教えてくれる。
そんな仲間達の中心にいるのがシャムル・モンストル伯爵だった。
学生時代から社交上手なシャムル・モンストルは同世代の中でも目立つ存在だった。
もっともキトリ・フラマンにとっては年上の頼りになる兄のような人だ。
道路や水脈などの工事管理を担うモンストル伯爵家の当主として、地方の貴族にも顔が広い。
何よりもシャムル・モンストルが開く夜会は毎回趣向が華やかで楽しい。
普段の鬱憤が晴れやかになるようだった。
国王より自重を促されてから少なくなったのが残念であるが、小さな集まりはほぼ毎日の様に行われていた。
数週間前までは・・・。
ある日、シャムル・モンストルの体調不良の知らせが届いた。
伝染病故に当分は屋敷に近寄らないようにと書き留めてあったが、キトリ・フラマンは心配して仲間達と共に見舞いにモンストル邸を訪れた。
対応したのは執事であり、いつもの柔かな笑顔が青白ものだっった。
想像以上の大病なのか屋敷全体にとてつもない臭いが充満していた。
流石に訪れた者達は臭いのキツさに閉口し、見舞いの言伝を頼み屋敷を辞した。
シャムル・モンストルが開催する集まりがなくなると、キトリ・フラマンの不満解消の場が無くなってしまった。
最初の頃は敬愛するシャムル・モンストルの心配で落ち込んでいたが、次第に酒や社交の楽しさが忘れられずに華やかな場を求めて夜な夜な何処かしらで開かれている夜会に出る様になった。
しかし、それもシャムル・モンストルが齎せてくれる刺激的なものとは比べようのない凡庸な夜会だった。
そんな中の王城での茶会である。
国でも有力な貴族の奥方や令嬢達との交流だけでなく、今回結婚式を挙げる王太子や第二王子が挨拶に出てくると聞いていたし、ポーレット公爵家の2人の公子も出席するらしい。
そんな華やかな場にキトリ・フラマンが行かない訳がなかった。
王都に名を並べるである彼女が父親から爵位を譲り受けたのは学院を卒業した年の事だった。
爵位も高くなく、絵画に入れ込む父親が貴族の仕事とやらを放り出した結果、長女の彼女が後目を継ぐ事になった。
本来であれば、3歳下の弟が後継と決まっていたが、早く現役を退きたい父が我慢できずに、時期を早める事となったのだ。
それでは弟が不満に思うのではないか、と言えばそうでもない。
父譲りで芸術に興味を持った弟はのんびりとした性格で、とてもじゃないか貴族の後継なんてやりたくないという性分である。
上昇志向の強い姉の方が適任であった事も理由だろう。
何度も言うが、フラマン家は貴族であるが決して爵位が高い訳ではない。
文官家系であり、領地を持たない事から王城へ出仕している。
キトリ・フラマンも、その流れは変わらず父の紹介で王族の庭園の管理部、中でも財務を担当していた。
王城での華やかな仕事が待っているかと思えば、庭園の管理部・・・会う人間といえば自分と同じうだつの上がらない低位貴族や庭職人という地味な職場だった。
貴族の令嬢で王城に務める者の仕事といえば、侍女が一般的で中には王族の側に侍る者もいる。
キトリ・フラマンは王城内で楽しそうに仕事をする侍女達を羨んだ。
彼女の楽しみと言えば、仕事終わりに気のおける仲間達と過ごす時間だった。
学院時代からの仲間は彼女の境遇に同情し、愚痴に付き合ってくれるし、美味しい酒や楽しい遊びも教えてくれる。
そんな仲間達の中心にいるのがシャムル・モンストル伯爵だった。
学生時代から社交上手なシャムル・モンストルは同世代の中でも目立つ存在だった。
もっともキトリ・フラマンにとっては年上の頼りになる兄のような人だ。
道路や水脈などの工事管理を担うモンストル伯爵家の当主として、地方の貴族にも顔が広い。
何よりもシャムル・モンストルが開く夜会は毎回趣向が華やかで楽しい。
普段の鬱憤が晴れやかになるようだった。
国王より自重を促されてから少なくなったのが残念であるが、小さな集まりはほぼ毎日の様に行われていた。
数週間前までは・・・。
ある日、シャムル・モンストルの体調不良の知らせが届いた。
伝染病故に当分は屋敷に近寄らないようにと書き留めてあったが、キトリ・フラマンは心配して仲間達と共に見舞いにモンストル邸を訪れた。
対応したのは執事であり、いつもの柔かな笑顔が青白ものだっった。
想像以上の大病なのか屋敷全体にとてつもない臭いが充満していた。
流石に訪れた者達は臭いのキツさに閉口し、見舞いの言伝を頼み屋敷を辞した。
シャムル・モンストルが開催する集まりがなくなると、キトリ・フラマンの不満解消の場が無くなってしまった。
最初の頃は敬愛するシャムル・モンストルの心配で落ち込んでいたが、次第に酒や社交の楽しさが忘れられずに華やかな場を求めて夜な夜な何処かしらで開かれている夜会に出る様になった。
しかし、それもシャムル・モンストルが齎せてくれる刺激的なものとは比べようのない凡庸な夜会だった。
そんな中の王城での茶会である。
国でも有力な貴族の奥方や令嬢達との交流だけでなく、今回結婚式を挙げる王太子や第二王子が挨拶に出てくると聞いていたし、ポーレット公爵家の2人の公子も出席するらしい。
そんな華やかな場にキトリ・フラマンが行かない訳がなかった。
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
「ちょっと待った」コールをしたのはヒロインでした
みおな
恋愛
「オフェーリア!貴様との婚約を破棄する!!」
学年の年度末のパーティーで突然告げられた婚約破棄。
「ちょっと待ってください!」
婚約者に諸々言おうとしていたら、それに待ったコールをしたのは、ヒロインでした。
あらあら。婚約者様。周囲をご覧になってくださいませ。
あなたの味方は1人もいませんわよ?
ですが、その婚約破棄。喜んでお受けしますわ。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。