続々・拾ったものは大切に大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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王都 〜王城・デーゾルドの行方〜

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 キトリ・フラマン女男爵

 王都にである彼女が父親から爵位を譲り受けたのは学院を卒業した年の事だった。

 爵位も高くなく、絵画に入れ込む父親が貴族の仕事とやらを放り出した結果、長女の彼女が後目を継ぐ事になった。
 本来であれば、3歳下の弟が後継と決まっていたが、早く現役を退きたい父が我慢できずに、時期を早める事となったのだ。
 それでは弟が不満に思うのではないか、と言えばそうでもない。
 父譲りで芸術に興味を持った弟はのんびりとした性格で、とてもじゃないか貴族の後継なんてやりたくないという性分である。
 上昇志向の強い姉の方が適任であった事も理由だろう。

 何度も言うが、フラマン家は貴族であるが決して爵位が高い訳ではない。
 文官家系であり、領地を持たない事から王城へ出仕している。
 キトリ・フラマンも、その流れは変わらず父の紹介で王族の庭園の管理部、中でも財務を担当していた。

 王城での華やかな仕事が待っているかと思えば、庭園の管理部・・・会う人間といえば自分と同じうだつの上がらない低位貴族や庭職人という地味な職場だった。

 貴族の令嬢で王城に務める者の仕事といえば、侍女が一般的で中には王族の側に侍る者もいる。
 キトリ・フラマンは王城内で楽しそうに仕事をする侍女達を羨んだ。

 彼女の楽しみと言えば、仕事終わりに気のおける仲間達と過ごす時間だった。
 学院時代からの仲間は彼女の境遇に同情し、愚痴に付き合ってくれるし、美味しい酒や楽しい遊びも教えてくれる。

 そんな仲間達の中心にいるのがシャムル・モンストル伯爵だった。

 学生時代から社交上手なシャムル・モンストルは同世代の中でも目立つ存在だった。
 もっともキトリ・フラマンにとっては年上の頼りになる兄のような人だ。

 道路や水脈などの工事管理を担うモンストル伯爵家の当主として、地方の貴族にも顔が広い。

 何よりもシャムル・モンストルが開く夜会は毎回趣向が華やかで楽しい。
 普段の鬱憤が晴れやかになるようだった。
 国王より自重を促されてから少なくなったのが残念であるが、小さな集まりはほぼ毎日の様に行われていた。

 数週間前までは・・・。

 ある日、シャムル・モンストルの体調不良の知らせが届いた。
 伝染病故に当分は屋敷に近寄らないようにと書き留めてあったが、キトリ・フラマンは心配して仲間達と共に見舞いにモンストル邸を訪れた。

 対応したのは執事であり、いつもの柔かな笑顔が青白ものだっった。
 想像以上の大病なのか屋敷全体にとてつもない臭いが充満していた。

 流石に訪れた者達は臭いのキツさに閉口し、見舞いの言伝を頼み屋敷を辞した。

 シャムル・モンストルが開催する集まりがなくなると、キトリ・フラマンの不満解消の場が無くなってしまった。

 最初の頃は敬愛するシャムル・モンストルの心配で落ち込んでいたが、次第に酒や社交の楽しさが忘れられずに華やかな場を求めて夜な夜な何処かしらで開かれている夜会に出る様になった。

 しかし、それもシャムル・モンストルが齎せてくれる刺激的なものとは比べようのない凡庸な夜会だった。

 そんな中の王城での茶会である。
 国でも有力な貴族の奥方や令嬢達との交流だけでなく、今回結婚式を挙げる王太子や第二王子が挨拶に出てくると聞いていたし、ポーレット公爵家の2人の公子も出席するらしい。
 そんな華やかな場にキトリ・フラマンが行かない訳がなかった。

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